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おもしろい木の実 ムクロジ
ムクロジを食べてみた

ムクロジは食べられる!?
ムクロジの種子や芽吹きの頃の新芽を食べてみた珍味グルメレポートと
種子の選別、堅い殻の割り方を紹介

羽つき羽根黒い玉として使われているムクロジの種子

ムクロジの実と種子と羽つきの羽根

核果であるムクロジの種子)は非常に堅い。

ムクロジの核

割ってみると、まるで堅果のよう。

煎ってから剪定バサミで割ってナッツのような仁が現れたムクロジの種子

調べてみると食べられるらしいので実験的にムクロジの種子の中にあるを加熱して食べてみました。

思いがけずおいしいです!見た目もさることながら味も食感もナッツのようで、クセがないのに素直な旨味があって、おつまみにも良さそう!

その割にとして定着していないのは、非常に堅い殻からナッツを取り出す労力の割に可食部が少な過ぎるからでしょうか。


ムクロジは、果皮洗剤利用されるので、別名ウォッシュナッツとか、ソープナッツとか呼ばれています。

ということで、便宜上ナッツ扱いをしますのでご了承ください。

ムクロジ果実核果

ムクロジ種子とも表現されます

果実の中心部にあると中に入ったもので種子を意味する または 種子堅い殻のこと
子房壁のうち外側の部分は果肉となり、内側の部分が種子を包む堅い殻となるもの

果実種子の別称
子葉となるためのの栄養分である胚乳とからなる

黒い堅い殻内果皮なのかもしれませんが、専門家ではないのでご了承ください

煎ったムクロジの種子の仁

このムクロジナッツ油脂止血解熱咳止め等のとして用いられていたそうです。

成分としてはオレイン酸が含まれているそうですが、としての情報量が少なく、微量要素の確認がとれていないので、安全を期して食べ過ぎないように注意したいと思います。

※個人的にはムクロジナッツを食べてやや膨満感があったものの何ら問題は無かったのですが、大量に食べて良いかは不明なので試してみたい方は自己責任でお願いします。


その他にも芽吹きの頃の新芽発芽後のスプラウトも食べてみました。

ムクロジの新芽

参照:ムクロジの新芽を食べてみた ▶


ムクロジに関するページ

羽根つきの羽根数珠石鹸に使われたムクロジ文化歴史に関してはコチラ

おもしろい木の実 ムクロジ ▶


ムクロジ種子発芽栽培・成長に関してはコチラ

ムクロジの成長 ▶


ムクロジの木と四季折々の姿はコチラ

ムクロジの木 ▶

ムクロジを食べてみた メニュー


ムクロジの種子の選別

食用にはできるだけ大粒のきれいなを選び、良い種子を選抜します。

きれいなムクロジの実

まず、ハサミカッターなどで中の種子を取り出します。剪定バサミを使うのがオススメです。

ムクロジの実の実の断面と核

乾燥した果肉の外側はやや堅めで、切ると飴状でねっとり。

果皮と種子を分けたムクロジの実

種子果皮を分けます。

果皮シャンプー洗剤手洗い等、伝統的に石鹸のように使われていた有益なものです。また、飴色の半透明の質感が気に入っているので、きれいなものは保存しています。

参照:石鹸として使われていた ▶

カビたものや虫食い穴のあるものは取り除きます。

果皮を剥いて取り出したムクロジの種子

を張った容器に種子を入れると、浮かぶものと沈むものとに分かれるので、沈んだ種子だけを選びます。

水に入れてムクロジの種子を選抜する

種子の上部は綿毛のようながまとわりついていますが、これはに浸した後にスポンジで擦ると、簡単に取り除くことができます。

水に入れて沈んだムクロジの種子

種子の量が多い時は、まとめてザルに入れ、ザルごとぬるま湯の入った容器の中でこすり洗いすると、簡単に産毛が取り除けます。

水に入れて産毛が浮いてきたムクロジの種子
ムクロジの種子を水に入れた後、浮いてきた産毛がまとまってきている
ムクロジの果皮についていた産毛をまとめたもの

種子をまとめて洗うと、種子についていた産毛が絡まって繊維の塊となります。乾燥させると果皮のオレンジ色に染まったフェルトのようになりました。

選抜して洗ったムクロジの種子

水気を拭き取り、乾燥させます。

黒豆と似た雰囲気です。

洗って乾燥したムクロジの種子

見た目はきれいでも、赤っぽい種子不稔である可能性があるので取り除きます。

赤っぽいものが混じるムクロジの種子
赤っぽいムクロジの種子

赤褐色の種子を割って確認してみるとが正常にできていない。

赤っぽい不稔のムクロジの種子の中身

ムクロジの仁の取り出し方

ムクロジを取り出すには堅い殻を割る必要があります。

何と言っても羽根つきの羽根の玉おもりの部分というひっぱ叩かれるところに使われているだけあって、とても堅牢です。ちょっとやそっとでは種子の中身がとり出せません。

※なんと、割るのに80~160kgの力が必要!?

参照:のん木草・みどり見て歩き

はっきり言ってクルミよりも堅い!

ハンマーを使ってもなかなか

かなり手ごわいです。

剥くのに苦労する剥苦労事(ムクロジ)なんてネ。


ムクロジの種子を割るピンポイント

難攻不落のようなムクロジの種子ですがウィークポイントがあります。

種子のへそと思われる一文字ライン() で、ここが唯一の割り口です。

フカフカのがついている側の上部5〜6mmのラインが目印。

ムクロジの黒い種子
黒い種子の産毛で覆われている側に
一文字の線がある

一文字ライン種子が発達する時、胚珠心皮胎座と呼ばれる部分にくっついてたのようです。

種子形成に必要な栄養分をここを通じてもらっていたため、若干スキがあります。


種子を割る道具

ラチェット式太枝切りバサミ刃先一文字ラインにセットして切れば簡単に堅い種子を切断できます。

ラチェット式太枝キリバサミでムクロジの種子を切っているろころ

簡単ですが、種子はひしゃげます。

太枝キリバサミで切ったムクロジの種子

剪定バサミはコンパクトで手軽で、比較的にきれいにを取り出せますが、力を入れ過ぎると中のまで割れてしまいます。

ムクロジの種子断面
剪定バサミで割ったムクロジの種子断面

参照:剪定バサミを使って
ムクロジの種子の中身を取り出す ▶

切る時にポリ袋の中で作業すると、種子の飛び散りが防げます。

切断する時は種子すべりやすく危険ですので、ケガのないようにご注意ください。


ノコギリを傷つけずに、堅い殻だけ割ることができて良いのですが難易度が高め。時間もかかります。

ムクロジの種をきれいに割ったところ
仁を傷つけずに堅い殻だけ割ってみた
ノコギリのみ使用

万力も悪くはなかったですが、中身がひしゃげます。


大きめのプライヤーも良かったのですが、も一緒に砕けて食べにくくなってしまうのが残念でした。

煎ってからプライヤーで割ったムクロジの種子

種子を加熱してから割る

ムクロジの種子の堅いからを取り出すには加熱して煎ってから割ると割れやすくなります。


完熟前の種子を食べる場合には加熱をしなくてもカッターで簡単に中身を取り出すことができます。

万力を使って種子を割ってみる

万力バイス)を使ってムクロジの種子を割ってみることにしました。

種子のへそと思われる一文字ラインに力が加わるように万力をセットしますが、万力を使っても、なかなか手ごわいムクロジの種子。こんなに過剰に堅くて発芽できるんだろうかと疑問がわくほどです。

発芽の様子を知りたい方はコチラへ


ようやく割れ、中から栗の実のような色の中身が姿を見せました。

ムクロジです。

ムクロジの実を割って種子がでてきたところ
ムクロジの渋皮のついた仁

は蓋つきの瓶というか、のヘタがついたみたいな形で、渋皮のような種皮に覆われています。

剪定バサミを使って
  ムクロジの種子の中身を取り出す

一文字のライン刃先が合うようにセットして、じわじわとを食い込ませます。こうすると、滑りにくくなります。

ムクロジの種子に剪定バサミで切り込みを入れて中を開ける方法

種子の中のナッツを割らないように、堅い殻のみを切断できるように刃先を一旦外して、種子を回転して再びを食い込ませます。

これを繰り返し、に一周の切れ込みを入れることで、を開けることができます。

ものによってはカチコチに堅くて、力を入れすぎてまっ二つに割れてしまったものもありますが、おおむねだけのカットに成功しました。

剪定バサミで半分の殻を取り除いたムクロジの種子

切る時にポリ袋の中で作業すると、種子の飛び散りが防げます。

種子煎ってから割った方が若干切断しやすくなります。

種子を煎ってから剪定バサミで割った後に取り出したムクロジの仁
種子を煎った後に剪定バサミで割って取り出したナッツのようなムクロジの仁
煎ってから剪定バサミで割って仁が現れたムクロジの種子

すべてがきれいに取り出せるわけではありませんがプライヤーで砕けたよりは大きな塊で取り出せるので食べやすくなりました。

種子を煎ってから剪定バサミで割って現れたムクロジの傷ついた仁

ムクロジナッツを取り出す

割れ方によっては渋皮がついたままで現れます。

種子を煎ってから割って現れた渋皮に包まれたムクロジの仁

渋皮爪楊枝ピンセットを使って剥がします。

種子を煎ってから剪定バサミで割ってから現れた渋皮に包まれたムクロジの仁
煎ってから剪定バサミで割ったムクロジの種子 幼根部が渋皮に包まれている

幼根部の周りを覆う渋皮を剥がす時には折れやすいので注意します。

半分にカットされた後、取り出されたムクロジナッツ
加熱していない生の種子

引っかかりやすいの部分は丁寧に渋皮をはがしてから抜け勾配になる下の方向に引き抜きます。

種子を煎ってから剪定バサミで割ってから取り出したムクロジの仁

金属の耳かきたこ焼きをひっくり返すようにするとナッツがきれいに取り出せます。

金属製の耳かき

こちらは加熱前の生の種子ですが、やり方は同様です。

半分にカットされた後、渋皮を取り除いたムクロジナッツ

続けているうちに、要領を得たのかキレイにムクロジナッツを取り出せるようになりました。が、危険が伴うので、推奨しているわけではありません。

食べる目的で、単にナッツを取り出すだけならば、剪定バサミで半分に割ってから、耳かきですくい出す渋皮も簡単に剥がれて効率的。

大量にとり出したムクロジナッツ
大量にとり出しムクロジナッツ

今回はとても大量にムクロジナッツ取り出しので、非公認ながらギネス記録になったような気がしました。(笑)

ナッツを取り出したい方はあくまでも自己責任でお願いします。

種子を食べてみた

ムクロジの種子は食べられるという事なので、完熟ムクロジの種子を選んで食べてみました。これは万力で割った種子です。これが記念すべき第1回目の試食です。


調理方法は素材の味がわかるように、シンプルにホイルの蒸し焼き塩茹で

ムクロジの仁

塩のみの素焼きにした場合は、大豆の間の味と食感で、ほんのりとした焼きエノキタケ風味です。

塩茹で茹でピーナッツのよう。
食べやすくおいしいです。主観的感想ですがクセもなく普通のナッツとして食べられます

ちょっと冒険して生の実をかじってみたところ少し粉っぽく、生のとよく似ていて問題なく食べられました。が、労力の割に中の実はとても小さいので空腹を満たすのには難ありです。

ムクロジの仁
殻から取り出したムクロジの中身

意外にも、完熟手前の青い未熟果の時だと種子の中身が取り出しやすい上に、味や食感は枝豆のような感じでおいしかったです。

ムクロジの種子を煎って食べる

種子をフライパンに入れ、弱火から中火で香ばしい香りがするまで煎ります。心地の良いがします。

フライパンでムクロジの種子を煎っているところ

外見は少し、褐色を帯びた色となりました。

煎ったムクロジの種子

堅いのでプライヤーを使ったところごと割れてしまいました。

香ばしくてナッツのようです。軽くをふると、コクのある煎り大豆というか、マカダミアナッツのようでおいしいです。

煎ってからプライヤーで割れたムクロジの種子

おいしいですが、小さく砕けて食べにくい。そこで剪定バサミで割ってみることにしました。煎って加熱されたせいかの時と比べて割れやすくなり、が丸ごと取り出しやすくなりました。

比較的きれいに取り出したムクロジの仁

ナッツの風格十分です。

比較的きれいに取り出したナッツのようなムクロジの仁

とても食べやすくなりました。

煎ったムクロジナッツ

しかし、苦労した割にはすぐ食べ終わってしまうのが残念です。

ムクロジの未熟種子の仁
ムクロジ・バターロール

意外にもムクロジの仁は枝豆のように
未熟な時においしく食べられる!?

種子の中に入っていたムクロジの未熟な胚

完熟する前のムクロジはまるでバターロールのようにツヤやかで、みっちりふっくらしておいしそうです。

種子の中に入っていたバターロールのようなムクロジの未熟な胚

ムクロジ種子は完熟すると種皮堅い殻となり、バターロールのようなとなり、を形成しますが、完熟前は堅い殻になる前なのでカッター包丁で簡単に切ることができます。そのため未熟なを簡単に取り出すことができます。

未熟な種子の中に入っているバターロールのようなムクロジの胚

そして、完熟前のはまるで枝豆のようにおいしくて食べることができます。(※あくまでも個人的見解です。)


8月下旬、台風通過後にムクロジ未熟果がたくさん落ちていました。

台風通過後に拾ったムクロジの未熟果

緑色ですが、ムクロジの実の形が既にできあがっています。

台風通過後に落ちていたムクロジの未熟果
台風通過後に落ちていたムクロジの双子の未熟果

種皮は黄緑色からややオレンジ色を帯び始めていました。

ムクロジの未熟果の中種子

中には既にムクロジ・バターロールの姿がありました。

ムクロジの未熟果を割って胚を取り出したところ

この頃から枝豆風で食べられます。

あくまでも私的見解ですので、食べる時は自己責任でお願いします。

ムクロジの未熟果の中の胚を取り出したところ
枝豆のようなムクロジの未熟果の中の胚

素揚げにしてみたところ、口の中に旨味が残って美味でした。

ムクロジの食べごろ

ムクロジバターロールが食べられるとすると食べごろは?

8月下旬頃、種子の中には既に未熟ナッツであるムクロジバターロールが形成されているものもあります。

試しに食べてみたら、シャクシャクとした歯ごたえで若い枝豆といった感じで美味。そこで、コンソメ味にして茹でて食べてみると、おいしく食べられました。


9月下旬に落下していた未熟果を採取して中を見てみたら、殆どが液体が無くて、緑色のバターロール状態のものばかり。

果皮をむいたムクロジの未熟果
果皮をむいたムクロジの未熟果
胚の色がクリーム色になってきたムクロジの種子の中
ムクロジの未熟果 種子の内部

ま〜るくてツヤツヤコロコロしてとてもかわいいです。

ムクロジ バターロール
ムクロジ バターロール
ムクロジ バターロール断面
ムクロジ バターロール断面

この時期のムクロジ未熟種子は堅い完熟期と比べ、取り出すのが簡単な上、味や食感も良いので、大豆枝豆の関係同様、青い時も食べごろだと考えて良いと思われます。

この頃はバターロールの色も新緑色から緑色が抜けて白っぽくなっているものもありましたが、味に大差は感じられませんでした。

ムクロジの胚の成長過程
ムクロジの胚の成長過程

10月中旬以降の完熟前の白っぽくなったムクロジナッツが少々、堅くなって渋皮も剥がれにくく、取り出しが少し面倒になります。

ですが、コンソメ味で茹でてみると、白〜黄緑色までそれぞれ風味が違うものの、味は以前より香ばしくコクが増して、おいしくなっていました。特に白いものはピーナッツに似ていて、おいしいです。

黄緑から白く変化する胚

食べてみたい方は殻が堅くなる前がチャンスです。


ムクロジ種子は完熟過程で種皮の色が黄緑色から赤褐色を経て黒褐色へと変化します。

参照:熟す前のムクロジの実 ▶

その頃、ムクロジとなる部分は液状からムクロジ・バターロールのような固形物となり、熟すにつれて枝豆色から徐々に緑色の色素が抜けて淡いピンクがかった白色になった後に乾燥して栗の実のような黄色に変化します。完熟する頃には水分が抜けて体積が小さくなります。

完熟過程のバターロールのようなムクロジの胚

完熟過程中のバターロールのようになったはどの時期も加熱すれば、おいしく食べる事ができます。

ただ、種皮が黒っぽくなってくると、木質化して取り出すのが困難となります。その時は種子を割る道具を使って中身を取り出すと、比較的簡単に食べることができます。

ムクロジのスプラウトを食べてみる

堅い種子の中にあったナッツがおいしかったので発芽後のもやし、名付けてムクロジ スプラウトを食べてみました。

ムクロジのもやし
塩茹でしたムクロジ スプラウト

食感はとても良いのですが、とても苦かったので食不適です。(笑)

苦さムクロジにとって一番無防備な時期にあたる発芽後身を守るための対策かもしれません。


この苦い思い出に懲りずに、1年後に実生の苗の新芽を食べてみたところ、意外にも山菜指定しても良いほど美味しかったです。

参照:ムクロジの新芽を食べてみた ▶

ムクロジの新芽を食べてみた

発芽後1年たった実生ムクロジの新芽サヤエンドウに似た味と食感でおいしかったです。食後の体調も問題ありませんでした。

発芽後、1年目のムクロジの新芽

山菜としてムクロジの芽があっても良さそうに思えたほどでした。 (笑)

発芽後ムクロジスプラウト苦い思い出とは対照的でした。

参照:ムクロジのスプラウトを食べてみる ▶

ムクロジの芽吹き

その後、春になると毎年ムクロジの芽を試食するようになりました。

みずみずしいムクロジの芽

カロテンが多そうなツヤツヤとした美しい緑色。いかにもおいしそう。

山菜のようなムクロジの芽

今後も育つことができるように頂芽だけを摘み、側芽は残します。

美しいムクロジの芽吹き

と同様、食としての情報量が少なく、微量要素の確認がとれていないので安全を期して食べ過ぎないように注意をしています

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