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オニグルミ
冬の散策ほっこり気分 オニグルミ
冬の散策をほっこりと楽しい気分にしてくれるオニグルミは冬芽や葉痕ファンの中でダントツの1番人気。
その理由は何といってもヒツジの顔やサルの顔に見えるとして定評ある葉痕のかわいくてユニークな表情。しかも割と大きめで、オニグルミのある河原沿い等に行けば簡単にすぐ見つけられるお手軽さ。
冬芽は春の芽吹きの頃まで待機している葉や花になる芽のこと。
葉痕(ようこん)は、枝に残る葉がついていた痕のことです。
目鼻などの表情に見えるものはその中の維管束の痕です。
オニグルミの冬芽は、細かい軟毛に覆われた葉が露出して越冬する裸芽タイプです。一番外側の葉は芽鱗の働きをし、冬の厳しい寒さや雨や雪、風や乾燥、紫外線から休眠中の冬芽を守る高機能な褐色系の短毛に覆われていますが、育つことなく春に脱落して役割を終えます。
温もりを感じさせる冬芽や表情豊かな葉痕が魅力的なオニグルミの四季の変化を追ってみました。
冬芽は植物によっていろいろなタイプがあり、タケノコのようにたくさんの上着を重ね着していたり、皮コートや毛皮を纏ったものなど冬の寒さや乾燥から身を護る、様々な工夫がなされています。
植物の冬芽と葉痕のついては、こちらで紹介しています。
▶ 参照:楽しい冬芽と葉痕の世界
オニグルミは古くから日本に見られる野生のクルミで山野の日当たりの良い林や湿り気の多い川沿いや河原沿いに生える落葉高木です。
大きな羽状複葉の葉をつけ、成長は速く、最終的には高さ20m以上、直径1m近い大木となります。
花期は4月下旬〜6月頃。雌雄同株の風媒花です。
長く垂れ下がった雄花序の上に雌花の穂が立ち上がります。
葉は互生で、奇数羽状複葉。葉柄を入れると80cmにもなります。
羽状複葉(うじょうふくよう):小葉が葉の中心の軸の両側に羽のように並んで、全体として1枚の葉を形成している葉のこと。
小葉は対生で4~10対あり、楕円形でほぼ無柄。小葉には細かい鋸歯があります。
葉の裏は星状毛が密生しています。
葉軸や花軸、果実等は腺毛や軟毛で覆われ、触れるとべとつきます。
これらの毛は植物の表皮細胞が伸びたもので、強い紫外線や小さな害虫からの防御、強風時による乾燥防止等の役割をしているそうです。裸芽の冬芽も毛で覆われて、厳しい寒さや乾燥対策をしているようです。
葉はびっしりと星状毛で覆われて武装しているように見えますが、食害虫には効果が無いようで、クルミハムシやトサカフトメイガの食害に遭った葉の姿は悲惨です。食害虫が活動的な時期は乾燥防止が主な役割かもしれません。
果実は卵球形をした核果状の堅果。3〜4cmの実が房状に数個つき、9〜10月に熟します。
堅果はリス等により散布されたり、川に落ちて、水の流れによって散布されます。
堅果の中の仁は脂肪分に富み、味は濃厚で保存性も良いですが、一般的に市販されるクルミのテウチグルミやシナノグルミと比べ、小さめで、殻が厚くて堅く、仁を取り出すのが困難なので流通量は少ないです。
オニグルミの鬼の名前は堅果の表面の深いシワが鬼の顔に見えるというのが定説です。
堅果の殻はスタッドレスタイヤの素材に使われる程、堅いです。
クルミ科 クルミ属
学名:Juglans mandshurica var.
sachalinensis
英名:Japanese walnut
材名:ウォールナット
属名 Juglans は Jovis(ゼウス)
+glans(果実)
種小名 mandshurica は満州
変種名 sachalinensis はサハリン 由来
無骨な枝にカワイイ羊の皮を被ったようなオニグルミの葉痕探しは冬の散策を楽しくさせてくれます。
帽子のように見えるのは頂芽です。
頂芽は幹や茎の先端にある芽のことで、一番大きい芽です。オニグルミには葉芽と雌花芽が待機しています。
その他の丸っぽい芽は側芽で、らせん状について主芽と予備芽とが一緒についています。主芽が無事に開葉すれば、控えの予備芽は開葉しないことが多いです。この中には雄花序が待機しています。
葉痕の周りに出ている羊の帽子や手のように見える春待芽に触れてみると、しっとりフカフカとしていて、高級なスエードのようにしなやか。
これらは短い褐色系の軟毛に覆われていて冬の厳しい環境から中の芽を護る芽鱗のような役割をして、春になると潔く脱落します。
トーテムポールや十一面観音の如く数多くの顔が所狭しと並んでいたり、愛嬌のあるポーズをとっていたりと、個性豊かな姿を見ることができます。
羊以外のおとぼけ顔もかわいい。
これらの葉痕達は生育環境によっていろいろな表情に変化します。
オニグルミの冬芽については
大仁田山周辺 季節の植物内にても紹介しています。
▶ オニグルミ
3月下旬、芽吹き始めました。
側芽から雄花序が出てきました。
本格的な芽吹きの季節を迎えると、羊さんの頭は、リオのカーニバルの踊り子さん達のように豪華な装いになっていました。物凄い存在感です。大きく育つ羽状複葉の芽だけにボリューム満点です。
このボコボコとしたアクセサリーは雄花の蕾で、オニグルミは葉の展開と同時に開花します。
なので、前年の葉の落ちた痕である羊さんの額あたりに雄花序が現れ、異様にゴテゴテとにぎやかになっていたわけです。
※葉腋とは、葉の付け根のこと。
こちらのかわいこちゃんのフェルトタッチの帽子は大きくて重そうだけど、温かそう。
この中から雌花序が出てきます。
花穂といっしょに出てきた白い毛に包まれたフカフカの肉厚な新葉が何とも愛らしいです。
若いオニグルミは花芽をつけないので芽吹き後になっても羊さんたちはスッキリ顔です。
オニグルミは雌雄同株で新枝の先端に直立するのが雌花序で、雄花序は前年枝の葉腋から垂れ下がります。
春は冬と違い、急速に葉の様子が変わるので、見逃してしまいがちですが、日々の変化が楽しい季節です。
展開したての葉先が手のように見えてユニークです。
その後の開花と新緑の様子は、
参照:オニグルミの花 ▶
フカフカした芽吹きとかわいい葉痕のセットも魅力的。
オニグルミは風媒花。爽やかな風の力を借りて、長い長〜いたくさんの雄しべから花粉を飛ばして、それをチャーミングな雌しべがキャッチして実をつけるという戦略です。
雌花が樹冠の上の方に出ているのは、自家受粉を避けるために、少しでも遠くの雄花の花粉を受け取るのが目的でしょう。
4月下旬にはオニグルミの花が姿を現し始めました。
雌花は、頂芽から穂状の花序を直立させます。その下には長い雄花序が垂れ下がります。
オニグルミの雌花はとても毛深く、柱頭はかき氷のイチゴのシロップのようで色鮮やかです。
子房や花軸についた腺毛はべたべたして害虫避け効果が高そうです。
子房を覆う腺毛が赤味を帯びているものは紫外線の強い環境のせいだと思われます。
高木で日当たりの良いところに花をつけるので紫外線対策はバッチリというわけなんですね。
柱頭も花粉がつきやすいようにベタついています。
逆に、下から見ると、雄花序ばかりで、日影になるような場所に雌花は見えません。
珍しく日陰環境にあった雌花の柱頭は黄緑色でした。オニグルミの雌花は柱頭が赤いのが特徴だと思っていたら、環境によって無駄なエネルギーを使わないようにしているのかもしれません。
受粉を終えて柱頭が褐色に変化しています。
棒状だった雄花序は次第に伸びて、花の間隔が開いていきます。
雄花序の小苞が開いて葯が姿を現します。
葯が開いて花粉を飛ばす雄花序。
あどけなさが残るオニグルミの実。
実が重くなってくると果穂は下向きの房なり状態になります。
初夏には大きくなって目立ってきました。
実の表面は褐色の腺毛が密生して、触るとべとつきます。
6月下旬のオニグルミの未熟果。
7月中旬、実が重くなってきて垂れ下がってきました。
8月中旬、汚れがついて実に貫禄が出てきました。
夏も終わろうとする頃は葉を蝕まれた悲惨な状態のオニグルミを見かけますが、腺毛と果皮のタンニンに護られて果実は問題が無いようです。
9月下旬の様子。やや黄色味を帯びてきて完熟までもう一歩。
10月上旬、実が黒っぽくなてきたものが見られます。
10月中旬、落葉も増え、実は黒く皺のよったものも出てきました。
10月下旬、黒いオニグルミの果実は完熟したものと思われます。果皮は草木染めの黒の染料になります。
通常、オニグルミの果実は9月から10月に熟して黒くなって落果しますが、真冬になっても枝先に残る実も時折見かけます。
2月中旬、枝先に残る実と冬芽。
さすがにこの頃になるとしわくちゃで、梅干しみたいです。
6月上旬のオニグルミの未熟果。
半分に割ってみると、液体が入っていてこぼれ出てしまいました。
切断面は褐色に変色していきます。これは果皮に含まれるタンニンによるものだと思われます。タンニンは動物や虫等の食害を防御する役割をします。
オニグルミの実は内果皮が木質化した核果状となり、その外側を肉質の花床や苞が包む偽果となります。
花床:花弁やめしべ、おしべなどを支えている部分のこと。花托。
偽果:子房以外に由来する構造が果実の大部分を占める果実は偽果とよばれる。
参照:果実 ▶
オニグルミは川沿いや河川敷などで見かけることの多い樹木です。
それには理由があって、オニグルミの種子は川の流れを利用して種子を拡散するからです。イメージ的にはどんぶらこと、流れる桃太郎の桃のような感じです。
オニグルミの堅牢な殻の中には空洞があり、種子も脂肪分なので、水に浮くことができます。しかも、堅牢な殻は長い期間、乾燥や腐敗、虫等から内部の種子を護ります。
そして、核の内部の種子は完熟すると、脂肪を多く蓄える子葉となり、数年間の休眠後でも発芽する能力を保ち続けます。
そのため、洪水や氾濫などの攪乱が起きた後の河原でも、条件が揃えば問題なく発芽することができます。
オニグルミは十分な陽光があると、成長がとても速い上に、ユグロンという他の植物に対して成長阻害効果を持つアレロパシーを発散して優位に成長する戦略をとっています。
また、乾燥を嫌うため、生育環境として川沿いや河川敷等は適地なのでオニグルミやその群落をよく見かけるのはそのような理由からです。
河川敷では同時期に種子がたどり着いて発芽したと見え、同級生の木が林を形成している場所があります。
その他にもリスにより樹上から運び去られて落下したり、越冬用に地中に貯蔵されたオニグルミの種子を埋めたリスが食べ忘れてしまうことで発芽することもあります。
栄養豊富で高カロリーな実は運んでくれるリスやネズミたちへのご褒美のようなもの。だから、ドングリやクルミは食べられることも想定済みで多くの実をつけるのでしょう。
完熟しているオニグルミの実の中を見てみます。
リスが齧るように堅果の合わせ目を彫刻刀で削って開けてみることに。
堅くて握りが悪いのでリスって凄いなぁと思いながらリスのように回転させながら削って割ってみました。
リスがせっせと齧った名残りとして山道でよく見かけるオニグルミの殻のような割れ口です。
核の内部の種子は大部分がたっぷりの脂肪を蓄える子葉です。
市販されているテウチグルミと比べて子葉となる中身の仁はやや小さめですが、おいしいナッツです。
その後、太枝切りバサミを使ったら瞬時に割れました!道具作りの人間も凄い。
さて、葉痕ができる前の葉はどのようになっているのでしょうか?葉が出揃った頃に観察してみました。
新緑の頃も相変わらずお茶目な感じでかわいいです。自ら作った快適な緑陰でくつろいでいるみたい。
羊さん予備軍の葉があちらこちらに出ています。若い枝には短毛と軟毛が見られます。
まわりにたくさん出ている羽状複葉の太くて長い柄が秋に落ち、新たな羊さん達が現れるのですね。
葉柄が落ちかかり、まさに葉痕が姿を現そうとしているオニグルミ。
晩秋にニューフェイスがデビュー。葉の落ちたてと見えて、顔の部分がまだ緑色です。
温かそうな毛をまとい、越冬準備ができたところで本格的な冬がやって来ます。
オニグルミの若木の樹皮は灰褐色で平滑で、若木の幹には羊顔の葉痕の形跡が残っています。
木は新芽から1年だけ伸びて、あとは年輪を増やすだけで伸びることはありません。
なので、幹が太くなるにつれ、羊顔の葉痕は横広がりになります。
幹や枝は毎年同じ分量を伸ばすわけではないのですが、その後は年ごとに積み重なるように成長して樹高が高くなります。
その結果、幹が太くなるにつれて、羊顔は判別しにくくなります。
幹が太くなるにつれて暗灰色になり、縦に割れ目が入ります。
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