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山とぷう太郎
大仁田山周辺 季節の植物

奥武蔵を彩る植物をご紹介

初夏の渓流沿いのヤブデマリ

大仁田山周辺の奥武蔵で見られた季節を彩る植物をご紹介。

この地域は首都圏近郊にありながら、澄んだ空気と透明感のある渓流、豊かな自然環境が魅力的なエリアです。

四季折々に多彩な表情を見せる身近な植物の姿を紹介します。

当サイトにて山登り入門コースとして紹介している
山で楽しく食べ歩き! お散歩マーケットの開催されるエリアの最寄りの最高峰が大仁田山です。

参照:大仁田山へのアクセス ▶


山とぷう太郎 実用メニューページ

より詳しい内容はコチラへ

▶初心者の為のトレッキング入門

▶トレッキングに必要な装備

▶富士山に登る時の注意

▶トレッキングを楽にする体作り

▶奥武蔵よも山情報

山で楽しく食べ歩き! お散歩マーケット

大仁田山周辺 季節の植物 メニュー

アオキ

アオキは照葉樹林内や沢沿いの道などでよく見かけるガリア科の常緑低木。冬でも青々と葉を茂らせ、青いことから青木の名がついたそうです。

雌雄異株花期は4月から5月頃。

綺麗な赤い実のなるアオキ

楕円形のやや大きな赤い実は秋頃から春にかけて赤く熟します。

クリスマスカラーの艶やかな赤い実をつけるアオキは日本特産の植物で江戸時代に日本を訪れた西洋人にとっては憧れの植物だったそうです。

クリスマスカラーの実をつけるアオキ

その当時、赤い実のなる雌株を西洋に持ち帰ってみたものの、雌雄異株とは知らなかったために結実させることができなかったそうで、以来雄株を持ち帰ることが長年の悲願だったということです。

そして約200年の時を経て、イギリス人のロバート・フォーチューンが来日した際に雄株を持ち帰り、悲願を達成したのだとか。


3月中旬、雌株芽吹きの様子です。

アオキ雌株の芽吹き
アオキ雌株の芽吹き 上から見た所

3月中旬、雄株芽吹きの様子です。雌株と比べがたくさんです。

アオキ雄株の芽吹き
沢山の蕾をつけたアオキ雄株の芽吹き

4月上旬、雌株若葉と一緒に現れ始めました。

アオキ雌花の蕾と新緑

雌花にはの中央に雌しべがあって、雄しべはありません。

新緑が美しいアオキと赤い雌花
アオキ雌花 拡大

4月上旬、雄株若葉と一緒に現れ始めました。

アオキ雄花の蕾と新緑

雄花雄しべの黄色い花粉があって、雌花と比べると華やかな印象です。

アオキ雄花
アオキ雄花 拡大
花粉を出しているアオキ雄花 拡大

アオキは民間の生薬として火傷や創傷、凍傷、利尿などに用いられていたそうです。

アオツヅラフジ

ブドウのような実をつけるアオツヅラフジ

アオツヅラフジブドウのような白い粉をふき、美しいをたくさんつけます。名前にあるようにツヅラ(かご)作りに活躍したつる性の植物です。

アオツヅラフジの実

アオツヅラフジは雌雄異株で6月から8月にかけて、それぞれに淡い黄色の小さな雌花雄花を多数つけます。

どちらも先端が2裂した花弁が6枚、花弁と同色の萼片を6枚つけます。

アオツヅラフジの雌花
アオツヅラフジの雌花
アオツヅラフジの雌花
アオツヅラフジの雄花
アオツヅラフジの雄花
アオツヅラフジの雄花

蔓にきれいな実のつくアオツヅラフジ

淡い緑色から徐々に深い藍色へと変化し、秋になると目立ってきます。

きれいなアオツヅラフジの実

その中に緑色のゼリー状の果肉に包まれたアンモナイトの化石のような種子が入っていて面白いです。

植物の造形の素晴らしさに脱帽。

アンモナイトのようなアオツヅラフジの種子
アンモナイトのような種子の入った
アオツヅラフジ

カリガンダキ川のアンモナイトの化石
カリガンダキ川のアンモナイトの化石 拡大
ヒマラヤのカリガンダキ川で
見つけたアンモナイトの化石
水晶の結晶と混在するアンモナイトの化石
水晶の結晶と混在するアンモナイトの化石 拡大
水晶の結晶と混在するアンモナイトの化石

アオツヅラフジとヘクソカズラの実が美しく絡み合ってぶらさがっている
アールヌーボーの作品のような
アオツヅラフジとヘクソカズラ

アカメガシワ

アカメガシワの美しい芽吹き

4月中旬頃から5月上旬頃にかけて、アカメガシワ赤芽槲)の赤い新芽新葉が新緑の中で目をひきます。

アカメガシワの表を覆う赤い星状毛

この赤色の正体は星状毛。赤いの下には普通の緑色のが隠れています。

アカメガシワの表を覆う赤い星状毛をこすって出てきた緑色の若葉

が大きくなるにつれて星状毛は脱落していきます。

アカメガシワの葉

アカメガシワは日当たりの良い河原や山野の林縁や崩壊地、伐採跡地など、荒地に先駆けて育つパイオニア植物で温暖な地域では身近に見られます。

は食用・薬用にもなるトウダイグサ科の落葉高木です。


アカメガシワの花

アカメガシワは6月から7月にかけて円錐花序を立ち上げ、たくさんのを咲かせます。雌雄異株なので、雌花雄花をそれぞれの枝先につけます。

たくさん咲き始めたアカメガシワの雌花
アカメガシワの雌花序
白いアカメガシワの雄花
アカメガシワの雄花
アカメガシワの雄花序

アカメガシワの黄葉

美しいアカメガシワの黄葉

秋には条件が揃えば、鮮やかな黄葉となります。


アカメガシワの冬芽・葉痕

冬芽は裸芽でふかふかとした星状毛に覆われていて、動きを感じさせてくれる頂芽の姿は愛らしいです。

防寒具を着込んだかのようなアカメガシワの冬芽

アカメガシワについて詳しくはコチラで紹介しています。

▶ 参照:アカメガシワ

アケボノソウ

花冠の様子が夜明けの白んだ空に残る星々に見立てられたのが名前の由来と言われるアケボノソウ

磁器に絵付けされたようなアケボノソウの花

象牙色の花弁に点描されたような濃紫の細点と大きめのやや緑がかった黄色の斑点はまるで絵付けを施された磁器のよう。の径は2cm程と小さめ。

アケボノソウの花

アケボノソウは9月から10月頃、やや湿り気のある山の沢沿い等でひっそりとを咲かせるリンドウ科センブリ属の植物です。

開きたてのアケボノソウの花
横から見たアケボノソウの花

アケボノソウの花冠の裂片数は変異が多いらしいですが、4〜6裂しているものが多いようです。

アケボノソウの蜜腺

緑がかった黄色の斑点は蜜腺でアリがよく訪れています。

アケボノソウの蜜腺にきたアリ
アケボノソウの蜜を求めにきたアリ
アケボノソウの蜜腺に訪れたアリ

花弁の中央近くにがこんもりと出ている様子は不思議で面白い光景です。

蜜が出ている雌性期のアケボノソウの花

をたっぷり出して、昆虫を惹き寄せて柱頭に他のの花粉をつけてもらう作戦なんでしょう。

花弁状で水滴状にたまっているアケボノソウの蜜
アケボノソウの柱頭
雌性期のアケボノソウの花 横から見たところ
蜜が出ている雌性期のアケボノソウの花  横から見たところ 拡大

11月下旬、室内で水差しをしておいたところ、開花から1週間後、はじわじわとで出続け、半球状になるほど溜まっていました。

蜜がたっぷりと溜まっているアケボノソウの花

授粉も行われず、柱頭は輝いたまま。おみやげをたっぷり用意してお客様の訪問を待ちわびているようです。

蜜がたっぷりと溜まっている受粉前のアケボノソウの花

花弁の裏側からが光る様子もホタルみたいで素敵です。

蜜をたっぷりと留めるアケボノソウの花

薄暗い緑陰の中、星型の花弁と太陽や月、明けの明星や星々のような模様と光る柱頭や花粉、がたくさん咲いた時こそ曙の星のきらめきを感じさせたのかもしれません。

開花期のアケボノソウの花と蕾

の断面は四角く、高さは60〜90cmになります。

背の高いアケボノソウの葉と花

11月になると果実が目立つようになります。

秋のアケボノソウ
実になりたてのアケボノソウ

緑色から徐々に褐色になり、最初は口が開くような形になって2裂します。

完熟した頃のアケボノソウ

11月中旬、の状態を観察に行くと、刈り取られて無残な姿に。小さなをつけているものもありました。

刈りとられたアケボノソウ

小さめの枝を数本いただいてじっくり観察することに。上記の室内で水差しして観察したものはこの時のもの。

口を開けているアケボノソウの実

果実の形は揃ってコーラスをしているか、うがいをしているか、はたまた口をあけたみたいに見えてユニーク。

口を開けているアケボノソウの実

果実の口を開いてみると、小さな黒い種子がたくさん詰まっていてポロポロとこぼれ落ちます。

アケボノソウの実の中にたくさん入っている小さな黒い種子
アケボノソウの実の中にたくさん入っている小さな黒い種子
アケボノソウの果実と小さな黒い種子

こんなにたくさんの種子がばらまかれるのであれば、刈りとられたとしても今後もまた、たくさんのアケボノソウを見ることができそうです。

アケボノソウの果実1つの中に入っていたたくさんの小さな黒い種子

アズマイチゲ

アズマイチゲは春の訪れを告げるように落葉樹林の縁などに可憐な姿を現します。3月上旬頃の様子。

凛として咲くアズマイチゲの花

のわずかな期間、駆け足でを広げてを咲かせ、一年分のエネルギーを蓄えた後は地上から姿を決してしまう春の妖精とも呼ばれる早春植物です。

春の妖精(スプリングエフェメラル)

早春植物の代表的な植物は、カタクリフクジュソウエンゴサク類など。

虫の少ない短い期間に効率よく虫に授粉してもらうため、目立つキレイな花を咲かせたり、群生するものが多いです。

光が弱くて気温が低いと虫が来ないので花を閉じます。春は花の痛むような風の強い時も多いので合理的な戦略。


東一華アズマイチゲ)の名前の由来は関東地方に多く、1本の茎に1輪しかをつけないことからだそうです。

やわらかいが垂れるように展開するのが特徴。

アズマイチゲの花 拡大

白い花びらのように見えるのはすべて萼片花弁は退化して無いそうです。

緑色の葉の茂るアズマイチゲの白い花

3月中旬にはが緑色に茂り、同じがまだ咲き続けていました。

緑色の葉とアズマイチゲの白い花
花粉を出すアズマイチゲの花 拡大

キンポウゲ科イチリンソウ属の植物で毒性があります。学名はAnemone raddeanaといってアネモネとは仲間です。

同じキンポウゲ科イチリンソウ属に有名なニリンソウがあります。

参照:ニリンソウ ▶

アセビ(馬酔木)

植林の山に自生するアセビ

アセビ (馬酔木) は3月中旬から4月にかけ、スズランのようなを咲かせます。房状につける沢山のは舞妓さんの髪飾りみたいで可愛らしいです。

かわいらしいアセビの花

アセビツツジ科の植物なので、同じツツジ科ドウダンツツジブルーベリーの雰囲気が似ています。

スズランのようなかわいらしいアセビの花 拡大

アセビが漢字で馬酔木と表記されるのはが食べると神経が麻痺し酔ったような状態になるといわれる有毒植物だからです。そのためシカなどの食害を免れ山のあちらこちらで見かけます。

山の中で美しく咲き誇るアセビの花

山に自生しているものは白い花が殆どですが、偶然にも淡いピンク色の花を見かけました。植林された木々の合間に可憐に咲き誇っていました。

淡いピンク色の美しいアセビの花
淡いピンク色のアセビの花 拡大

赤味を帯びた新芽も美しいです。

アセビのきれいな芽吹き

アブラチャン

アブラチャンクスノキ科の落葉樹木。山地の渓流沿いなどでよく見られます。

早春にたくさんの黄色の花を咲かせるアブラチャン雄花

3月中旬から4月、やや黄緑色を帯びた小さな黄色のに先駆けて咲かせ、早春の山を彩ります。

アブラチャン雄花

アブラチャン雌雄異株雌雄異花雄株の方が数が多くて目立ちます。

アブラチャン雄花

花粉が目立つ雄花の方が雌花と比べると華やかな印象です。

きれいなアブラチャン雄花 拡大

散形状についた小さなは透明感があり繊細です。

咲きたてのアブラチャン雄花
アブラチャンの雄花

雌株雄株と比べると、疎らな感じ。雌花にはの中央に白い雌しべの柱頭が見えます。

アブラチャン雌花
アブラチャンの雌花

アブラチャンは清々しい葉色芽吹き新緑もきれいです。

アブラチャンの美しい新芽
アブラチャン花と美しい芽吹き
アブラチャンの芽吹き
アブラチャンの清々しい新緑
アブラチャンの清々しい新緑

特に光に透けた赤い葉柄と明るい緑色のコントラストが魅力的。

赤い葉柄が美しいアブラチャンの新緑
アブラチャンの新緑

5月上旬の雌株にはかわいらしい緑色のがつき始めます。

アブラチャンの新緑と小さな実
実がつき始めた頃のアブラチャン
アブラチャンの小さな実

6月上旬頃にはが少し大きく、丸くなっています。

枝にぶら下がるアブラチャンの未熟果
アブラチャンの丸くてかわいい未熟果

7月上旬になると、は直径が1.5cmのほぼ球形になって表面のざらつきが目立つようになります。

枝にたくさんぶら下がるアブラチャンの丸くてかわいい実

たくさんの緑色の丸いが好き勝手な方向になる様子はかわいいです。

枝にぶら下がるアブラチャンの丸い実

8月中旬頃の様子です。

たわわに実るアブラチャンの丸い実
 サクランボにそばかすがついたようなアブラチャンの緑色で丸い実

9月下旬頃からが褐色になり、弾けてかわいい丸い種子が姿を見せているものもありました。

褐色になってきたアブラチャンの実
アブラチャンの実が割れて種子が出てきたところ

チョコレート菓子みたいで楽しい。

アブラチャンの実が弾けたところ
弾けて種子が出て来たアブラチャンの実

たくさんついていたは次々と枝から落ちて、寂しくなってきます。

たわわに実った完熟したアブラチャンの実

環境によっては冬になってもが落ちずに残っていることもあります。

完熟したアブラチャンの実

11月中旬頃から美しい黄葉が秋を彩ります。

美しいアブラチャンの黄葉
アブラチャンの黄葉

雄株にはすでに多くの冬芽がついています。

黄葉するアブラチャン雄株にたくさんついている冬芽
黄葉するアブラチャン雄株の花芽

を落とすと、冬芽が目立つようになります。特に雄株は玉のような花芽がたくさん並んでいます。

アブラチャン雄株の花芽

冬芽は球形で柄のついている花芽と先の尖ったとんがり帽子形の葉芽があります。

アブラチャンの冬芽(花芽と葉芽)

雌株冬芽の数は雄株に比べて少なく、花芽葉芽がセットでついているものが多いです。

アブラチャンの花芽
アブラチャン雌株の花芽

クロモジダンコウバイも同じクスノキ科で似たを咲かせます。

▶ 参照:️クロモジ(黒文字)

️▶ 参照:ダンコウバイ


アブラチャン(油瀝青)は樹皮や種子に油分が多いことが名前の由来で、かつては灯油として利用されていたそうです。

イシミカワ

10月中旬~11月頃、瑠璃色のが宝石のように美しいイシミカワが目を惹きます。イシミカワは河原や道端などの日当たりの良い場所で見られるタデ科イヌタデ属のつる性植物です。

托葉の上で皿に盛られたようにイシミカワの美しい実とまだ色づいていない実

繁殖力が旺盛でがあるため、厄介者として刈り取られてしまうのか、意外と見る機会が少ない植物です。

繁茂したイシミカワに実がついている

イシミカワの美しく色づいて果実に見えるものは花被)です。

淡緑色から青色へと変化するイシミカワの実

が先終わると、花被は肉厚となって淡緑色からピンク、色鮮やかな青から藍色へと美しく変化します。

イシミカワの実 七変化

丸い托葉の上のは、まるでお皿に盛られた宝石のようで美しいです。

托葉の上で皿に盛られたようにイシミカワの美しい実

同じのイヌタデ属の仲間の中でもお皿のようになる托葉や漿果のようになる花被が個性的です。

托葉は葉柄のつけ根にある葉の形をしたもので、タデ科は筒状の托葉鞘が多い

タデアイの托葉鞘 拡大
横から見たタデアイの托葉鞘
同じイヌタデ属のタデアイの托葉鞘

イシミカワ托葉鞘は上部が皿形の全縁で花芽を護る苞葉状となっているよう

横から見たイシミカワの托葉
やや下から見たイシミカワの托葉
イシミカワの托葉

の裏の葉脈上に下向きの短い刺があり、刺さると痛いです。

横から見たイシミカワ 茎を葉の裏にトゲがある。托葉の上に色づいた丸い実がのっている

イシミカワは巻きつくことなく、このをひっかけながら、立体的に絡んで広がって伸びていきます。

イシミカワの標本風

は三角形に近い矢じり形でやや長い葉柄や花序の基部に丸くてお皿のような托葉がぐるりと1周、を抱くようについています。

宝石を散りばめたようなイシミカワの美しい実

つる性のイシミカワは伸びるごとに花芽をつくっていくので長い期間、を楽しめます。


イシミカワの花

イシミカワから開くまでの花被は小さくて、に近い淡緑色をしていて目立ちません。

美しく色づいたイシミカワの実と隣で咲く薄緑色の花被

花期は7〜10月で、苞葉の上に盛られたような短い花穂をつけます。

キャベツのような托葉と葉に包まれて姿を現したイシミカワの蕾
イシミカワの花 拡大

5中裂した花被は大きく開くことがないので、開花しても目立ちません。

イシミカワの花 正面拡大
花粉が輝くイシミカワの花 正面拡大

は一斉に咲くことがなく、同色のと開花した花と未熟果が同一花穂の中に混在するため、パッと見ると、かも分かりづらいです。

淡緑色のイシミカワの蕾となりたての実が混在する花穂

イシミカワの種子

肉厚となった花被に包まれて黒くて丸いツヤのある痩果が入っています。

花被が破れて痩果が見え始めたイシミカワの実

イシミカワなどタデ科の植物の種子痩果の中に1つあります。

熟して花被が破れ始めたイシミカワの痩果
青いイシミカワの実の花被を剥がすと、果皮は白くて肉厚。中に黒くて丸いツヤのある痩果が入っている
青いイシミカワの実と痩果
定規と並べた青いイシミカワの実と痩果

堅い果皮を取り除くと、種子が入っています。

イシミカワの痩果と果皮と種子
痩果の果皮を取り除いたイシミカワの種子

種子の中にはでんぷん質の白い粉状のものも入っていました。

堅いイシミカワの果皮を剥いて種子が姿を表したところ
イシミカワの種子の断面

痩果:果実の中に1つ種子が包まれている果実。薄くてかたい果皮と種子が密着しているので、一見すると種子のように見える果実。

果実:子房が膨らんで大きくなったもの

種子:子房の中の胚珠が熟したもの

ウリノキ

緑色から藍色へ変化するウリノキの実

7月から8月、ウリノキが美しい藍色をつけてきれいです。

ウリノキの実

が落ちやすいこともありますが、鳥や昆虫に人気があるらしくて、すぐにがなくなってしまいます。

藍色に見えるウリノキの実
藍色に光るウリノキの実

黒っぽく見えるが光の加減で鮮やかな青色に反射します。

美しい藍色のウリノキの実 拡大

初夏、七夕飾りを吊り下げたみたいなユニークなウリノキの花を見ることが出きます。開花と共に花びらがカールして、西洋音楽家の肖像画のカツラのような雰囲気で笑えます。

初夏に咲くウリノキの花
白くカールした花弁に黄色の長い雄しべが特徴的なウリノキの花
ユニークなウリノキの花

3〜4cmの白くて細長い蕾は畳んだ傘みたいにソフトに捻れていて何となく千歳飴みたいなカンジもします。

細長くねじれる特徴的な形状のウリノキの花の蕾
受粉後に落ちたウリノキの花

ウリノキは杉の植林の進んだ谷筋の道で見かける事の多い落葉低木で、瓜の葉に似た大きな特徴的な葉を広げます。若葉が鮮やかで綺麗です。

美しい藍ウリノキの若葉

冬期はちょっと寂しいです。

ウリノキの冬芽

3月下旬頃の冬芽の様子。

3月下旬のウリノキ

冬芽は褐色の毛に覆われています。

3月下旬のウリノキの冬芽

4月上旬頃の芽吹きの様子。

ウリノキの芽吹き

こちらは花芽もあります。

4月上旬のウリノキの芽吹き
ウリノキの混芽の芽吹き

オオイヌノフグリ

早春からたくさんの美しい空色の花を咲かせるオオイヌノフグリ

美しい空色に縁取られたの中心部は眩しい程に白く、その煌めきは夜空のにも似ています。当たり前の存在で見過ごされがちなところもまた然り。

オオイヌノフグリの花

オオイヌノフグリ星の瞳と呼ばれることがありますが、それは雄しべの先の2つ瑠璃色のように見えることに由来すると思われます。

星の瞳の名を持つ咲きたてのオオイヌノフグリの花

オオイヌノフグリの花は半日ほどの寿命です。ぱっちりとした青い瞳は陽の光により開花する比較的わずかな時間しか見る事ができません。

星の瞳の名を持つ咲き始めのオオイヌノフグリの花 拡大
星の瞳の名を持つ咲きたてのオオイヌノフグリの花 拡大

早朝に笑顔であいさつをしているように見える瑠璃色の瞳はユニークです。

笑顔に見えるオオイヌノフグリの花

陽の光を受けるに従って、白い花粉があふれ出てはうるうると輝きます。

花粉を出し始めているオオイヌノフグリ 拡大

開花時に既に自家受粉しそうなものもあります。

開花時に既に自家受粉していそうなオオイヌノフグリ大
開花時に既に自家受粉しているオオイヌノフグリ 拡大
開花時に既に自家受粉していそうなオオイヌノフグリ 花粉拡大

オオバコ科クワガタソウ属というだけあって、2本の雄しべが兜の鍬形の形に似ています。 ※旧ゴマノハグサ科

鍬型の雄しべのオオイヌノフグリ 花拡大

星の瞳は午後になると、白くまばゆい花粉で覆われます。

花粉を出し始めたオオイヌノフグリの花 中心部拡大

夕方になると、を閉じ始め、4枚に見える合弁花はその日のうちに閉じてポトッと落花します。

夕方のオオイヌノフグリの花

名前の由来はイヌノフグリの実の丸い形からですが、オオイヌノフグリの実ハート形です。

オオイヌノフグリの実
オオイヌノフグリの実 拡大

試しに室内で成長観察をしてみると、の来ない環境でも自家結実していたので自家受粉をするようです。

自家結実したオオイヌノフグリの実
オオイヌノフグリの実がなっている様子

その後、完熟して種子もできていたので授粉の助けがなくても種子をつける事がわかりました。

完熟したオオイヌノフグリの実と種子
完熟して開いたオオイヌノフグリの実を正面から見たところ その中に入っていた種子

瑠璃色とかコバルトブルー群青色藍色等、いろいろな青色に表現される花の色は秋から冬の澄んだ深い空色、春先の温かい淡い空色、爽やかな夏の空色を内包していてとても綺麗です。

のんびりと地上の星を眺めてみるのも楽しいです。

オニグルミ

オニグルミが大きな奇数羽状複葉のを落とすと、その葉柄の痕である葉痕冬芽が目立つようになります。

オニグルミの冬芽

そこにはなどの動物みたいな顔ぶれが表情豊かに並んでいたり、防寒服を着込んだような姿もあって面白いです。

おちゃめな表情のオニグルミの冬芽と葉痕
かわいらしい表情を見せるオニグルミの冬芽と葉痕

オニグルミはクルミ科の落葉高木で、そのは水に浮き、川の流れに乗って種子を散布させます。そのため川沿いで見かけることが多いです。

川沿いに育つオニグルミ
河原に実を落としそうなオニグルミ

果実は核果状の堅果で、堅い殻に包まれているため、果肉が腐っても中身が腐ることなく美味しいです。

オニグルミの堅果とその中身

渓流沿いの道を歩いていると、河原にオニグルミの若木もよく見られます。

河原に群生するオニグルミの若木

オニグルミの若木は直線的な独特の枝ぶりをしています。

オニグルミの若木の枝ぶり

種子が漂着しやすく、生育に適した場所だったのか、河川敷に林を形成している所もあります。

オニグルミの林

オニグルミについて詳しくはコチラで紹介しています。

▶ 冬の散策ほっこり気分 オニグルミ

カキノキ

秋になると、あちらこちらで朱色に色づいた柿の実柿の葉が輝き、景色を美しく彩ります。

朱色の実をたわわにならす柿の木
朱色のたわわに実る柿
美しいカキの紅葉

カキ新緑もまた明るくてツヤやかでとてもきれいです。

美しいカキの新緑

カキ雌雄同株の植物で5月中旬から6月上旬にを咲かせます。

富有柿次郎柿等は雌花しかつけない品種です。

蕾をつけた美しいカキの新緑

カキの雌花は単独で咲き、大きな襟飾りのようなが目立ちます。

、咲きかけカキの雌花
カキの雌花
結実したカキの雌花

カキの雄花スズランのような壷型のかわいらしいを複数咲かせます。

カキの雄花

カキの雄花は時期が過ぎるといっせいに落ちてしまいます。

地面に大量に落ちたカキの雄花
落花したカキの雄花
落花したカキの雄花 拡大

カテンソウ

カテンソウの雌花と雄花

カテンソウは湿った川沿いや林の陰で地面に広がるように群生するイラクサ科の多年草で、3月中旬から4月頃にとても小さなを咲かせます。

かわいらしい和菓子のようなカテンソウの蕾 拡大

ピンク色のお菓子のようなかわいい姿は雄花カテンソウは同じ株に雄花雌花をつけますが、雌花のつけ根にを咲かせ、目立ちません。

雄花と雌花を咲かせるカテンソウを横から見たところ

受粉後の雌花の様子。

カテンソウ雌花 拡大

カテンソウに頼らず、花粉を風で飛ばして運ばせるので、花弁香りもない地味なです。

ピンク色の蕾が開きかかった可愛らしいカテンソウ

しかし、雄花花粉の飛ばし方が実にユニークです。

2本の雄しべを展開したカテンソウの花 拡大

じゃんけんをするようにグーからパーに弾けて開く雄しべ忍術のように白い煙状の花粉を飛ばします。吹き戻し (ピロピロ笛) やバネ仕掛けのようにも見える面白いです。

カテンソウの雄花 拡大

クワ科のヒメコウゾ雄花も同様に弾けて花粉を飛ばします。

オオイヌノフグリと比べても、ずっと小さなですが、見事に生き残り戦略が組み込まれています。

オオイヌノフグリとカテンソウの大きさの比較
カテンソウの群生

キササゲ

花を咲かせるキササゲ

キササゲは中国原産のノウゼンカズラ科の落葉高木で6月~8月頃に淡黄色のを咲かせます。

キササゲの花 拡大

光のよく当たる川岸などに生育していて、キリに似た大型の葉が風に揺れる姿はダイナミックです。

河原に育つキササゲ

赤飯に使われるササゲの莢に似た細長く垂れた果実をつけるのでキササゲ (木大角豆) と名前がついたそうですがは食べられません。

8月中旬頃に、とぎっしりとぶら下がった果実を見ることができます。

キササゲ

5〜15mになる高木のため、避雷針代わりに雷除けの木としてお寺や神社に植栽されることが多かったそうです。

キツネノカミソリ(狐の剃刀)

群生して咲くキツネノカミソリ

8月初旬から中旬、明るい林縁などで見られるキツネノカミソリ彼岸花に似た雰囲気のがお盆の頃に群生する様子は見応えがあります。

お盆の頃に咲くキツネノカミソリの花の群生

狐の剃刀という名前も妖艶です。

盛夏に咲くキツネノカミソリ

彼岸花同様、の時期との時期が異なります。水仙に似たは夏に落ち、直立しただけがついているようになります。

キツネノカミソリ 拡大

四十八曲りルートの登山道近くにあるの白鬚神社周辺でも見られます。

お盆の頃に咲くキツネノカミソリの花

キバナアキギリ

キバナアキギリ (黄花秋桐) は秋に黄色のキリに似たを咲かせるのが名前の由来となったシソ科の多年草。

山野のやや湿った日陰に生育します。

クリーム色の花を咲かせるキバナアキギリ

学名が Salvia nipponica という、日本原産サルビアで、淡い黄色と紫色の色合いが特徴的なを咲かせます。

横から見たクリーム色のキバナアキギリの花 拡大

上の方の紫色で細長く延びているのが雌しべで、その下の2つの紫色が花粉を出している雄しべ。通常は花弁の上の方 (上唇部) に隠れています。

普段、雄しべを上唇に隠しているキバナアキギリの花

の中央で目立つ2つの赤紫色のものはの退化した仮雄しべ。これに誘われて虫たちがやって来るようです。

やや正面から見たキバナアキギリの花
正面から見たキバナアキギリの花

仮雄しべは、花粉を出す上の雄しべと繋がっています。授粉上手なハナバチを求めて潜り込む時、ここに乗ると、上部のがシーソーのように降りてきて花粉ハチの背中やお尻に触れる仕組みになっています。

花粉のついた雄しべが見えるキバナアキギリの花 正面
キバナアキギリの紫色の花粉を出さない葯室 拡大

花粉をつけたハナバチが別のを訪花した際に雌しべ柱頭に触れることで他家受粉できるようになっています。

横から見たキバナアキギリの雌しべと雄しべ

キュウリグサ

キュウリグサは花径2~3mmくらいの小さなを野原や道端で3~5月に多数咲かせるムラサキ科の植物です。

可憐なキュウリグサの花

小さいながらよく見るとワスレナグサに似た可憐なです。

キュウリグサの花 拡大

群生しますが、とても小さいので見過ごされがちな存在です。

をもむと胡瓜のようなにおいがするというのが名前の由来だそうです。

群生するキュウリグサ

同じムラサキ科の植物のヤマルリソウキュウリグサと比べると大きめで、清楚な美しいを咲かせます。

参照:ヤマルリソウ ▶︎

クコ

クコは日当たりの良い川沿いの土手や道端などに生えるナス科の落葉低木。

たくさん実るクコの実

晩夏から初冬にかけて艶やかな朱色のが水滴のようにぶら下がります。

水滴のように美しく実るクコの実

この枸杞子(クコシ)という生薬となり、肝臓や腎臓の働きを高め、目の妙薬として知られています。疲労回復や腰膝痛、頭痛やめまい等に薬膳料理としても使われます。また、果実酒は強壮薬として用いられてきました。

朱色のクコの実 拡大

ナス科だけあって小ぶりながらも、はナスと雰囲気が似ています。

クコの実 拡大

は枸杞葉、は地骨皮(ジコッピ)といって民間的に用いられています。

参考文献:家庭でつくれる薬膳 主婦と生活社


花期は7〜10月。小さめの赤紫色のを咲かせます。

枝に複数の花を咲かせるクコ

葉の緑色にクコの花色が映え、色合いが上品で優美です。

上向きの色鮮やかなクコの花

咲き始めの頃の葯がに対して大きめで存在感があります。

クコの花 拡大

花弁の基部の白色と紫色の筋のような模様がなかなかオシャレです。

横から見たクコの花 拡大

枝には多数の棘があるのでご注意を。

クサギ

クサギは山野に生えるシソ科の落葉小低木で、盛夏にあちらこちらでを咲かせて、辺り一帯にすばらしい芳香を漂わせます。※旧クマツヅラ科

クサギの花

また、花の咲く過程が面白いです。

袋状のから花筒が伸びてのようなかわいい蕾が姿を現し、開花します。

クサギの花 拡大

クサギの花はまず最初に長い雄しべが得意気に伸びます。花粉を出し終えると雌しべが上に反り返り、花柱の先端が2つに開くようになっています。

これは、自家受粉を避けるために雄性先熟になっているからです。

※先に伸びた雄しべが垂れ下がり、雌しべが立ち上がっている状態。(上写真 右上)

紫色の葯の輝くクサギ クサギの雄性期の花 拡大

きれいなクサギの花
紫の花粉が輝く頃のきれいなクサギの花

紫の花粉が輝く頃が綺麗で、開花時は花の蜜がたくさん出ていると思われ、カラスアゲハモンキアゲハクロアゲハなどの黒っぽい色のアゲハチョウ訪花が目立ちました。

クサギを訪花するミヤマカラスアゲハ
クサギの蜜を吸うミヤマカラスアゲハ
クサギの蕾や開花した花 拡大

夜には甘い香りに誘われてスズメガ等がやって来るそうです。24時間営業の甘味処は大繁盛というわけですね。


葉や茎に傷をつけると嫌な臭いがするという事からクサギ (臭木) という名がついたそうです。

花を咲かせるクサギ

そこで、をちぎって揉んでみて臭いを確認しましたが、個人的には、臭いが名前になる程の酷い臭いだと感じませんでした。何となく薬っぽい臭いがするかなぁ、といった程度でした。

クサギの花序

似たような理由で名前がついたとされるコクサギミカン科で科が異なります。

▶ コクサギ


9月上旬、濃いかわいらしいピンク色の萼にラッピングされているクサギの実の赤ちゃんの姿もまた綺麗。

濃いかわいらしいピンク色の萼にラッピングされているクサギの実の赤ちゃん

賑やかに咲き誇っていたが姿を消す頃、美しい実が姿を現し始めます。

赤い萼から青や淡い緑色の実が弾けだすクサギ
赤い萼から姿を表したクサギのきれいな実

名前通りに臭い時期等があるのかもしれませんが、もう少し素敵な名前でも良かったと思われる植物です。


秋には星形の濃いピンク色のに縁取られたトルコ石ラピスラズリのような綺麗なブルー系のが姿を現し、華やかです。どの青色も美しく、多彩な青色に心奪われます。特に明るい地球色がお気に入りです。

濃いピンクの萼に濃い青い実のコントラストが美しいクサギの実
濃いピンクの萼に青い実のコントラストが美しいクサギの実
宝石のように美しいクサギの実

このは染色で空色を出すのに使われます。青色を出すのにと同様、有益な植物です。


きれいな空色をだす藍染めについては興味のある方はコチラ

▶︎ 手軽に空色を楽しむ趣味の藍染め


クサギの幼木の冬芽から芽吹きまでの様子です。裸芽の表面は越冬用の短毛で覆われています。

クサギの葉痕と冬芽
クサギの幼木の芽吹き
クサギの幼木の芽吹き 拡大
新しい葉がで始めた頃のクサギの葉痕

ザリガニ異星人のような印象の赤いとなった芽吹きもユニークです。

これほどまでに赤いのは紫外線の強い環境だったからかもしれません。

芽吹き始めた赤いクサギの冬芽

クサギの新緑は産毛で覆われ不透明でくすんだ感じですが、透過光で見ると彩りが綺麗です。

クサギの新緑
白い毛で覆われたクサギの新緑
美しいクサギの芽吹き

オニグルミと質感が似た雰囲気で肉厚な感じです。

近くで見ると若葉は繊細な白い産毛に覆われ、ビロードのような質感で素敵な触り心地です。

美しい産毛に覆われたクサギの新葉

陽射しの弱い環境で育ったは赤みが弱く、上品な色合いです。

白い産毛が美しいクサギの新葉

クズ

8月下旬から9月中旬にかけて見頃を迎えるクズの花秋の七草の1つ。
上品で綺麗なワインカラーのからは甘いフルーティーな香りがします。

咲き始めのきれいなクズの花

クズは房状のの下から上へと徐々に新しいを咲かせます。

きれいなクズの花

秋の七草

万葉集山上憶良が詠んだ歌より

ハギオバナ (ススキ) 、クズナデシコオミナエシフジバカマアサガオ

アサガオについてはキキョウ説が有力

▶ 参照:ハギ

たくさん花を咲かせるクズの花

和菓子葛根湯に、は家畜の飼料、丈夫なはカゴや紐等に利用されてきた有益なマメ科の植物。

最近は需要が減り、旺盛すぎる繁殖力のせいで厄介者となっています。

たくさんの花を咲かせるクズの

かつて、日本からアメリカデビューしたクズは現在グリーンモンスターと呼ばれ侵略的外来種に指定されるほど。

旺盛に生い茂るクズの葉

日本では冬に落葉しますが、温暖な地域では猛烈な勢いで繁殖し続け、駆除の対象となっています。


そんなクズですが、ウサギさんはクズの葉、特に若葉が大好きです。

クズの葉

与える時は農薬などのかかっていないキレイな安全なを選び、与え過ぎには注意しましょう。

おいしそうにクズの葉を食べるうさぎ

クロモジ(黒文字)

クロモジ樹皮などに芳香のある精油成分が含まれていて、枝を折ると清々しい森の香りがするクスノキ科の落葉低木です。山地や丘陵地の林内でよく見られます。渋い黄緑色〜暗褐色を帯びた緑色の若い枝を広げた枝ぶりが特徴的。

美しい新緑とクロモジの雄花

クロモジ雌雄異株で、3~4月頃に淡い黄色の小さなを房状に咲かせます。花弁は半透明で繊細で綺麗です。

大仁田山頂上付近では雌株雄株も見ることができます。

雄株の方がよく見られ、雄花は花数も多くて花粉が目立つので雌花と比べると華やかな印象です。

美しい新緑とクロモジの雄花 拡大
クロモジの雄花 拡大

若葉には白い絹毛が輝き、しなやかでとてもきれいです。

黒い斑点模様のあるクロモジの枝とクロモジの雌花

クロモジ (黒文字) の名前は濃い緑色の枝に黒い斑点模様が出てきて黒い文字が浮き出てきたように見えることからついたそうです。


美しい新緑とクロモジの雌花

開花し始めた雌株芽吹きの頃の様子。雌花にはの中央に白い雌しべの柱頭が見えます。

開き始めのクロモジの雌花
クロモジの雌花蕾と咲き立ての花

雌花はあまり目立ちません。

咲き立てのクロモジの雌花

同じクスノキ科のアブラチャンダンコウバイも似たを咲かせます。

️▶ 参照:アブラチャン

▶ 参照:️ダンコウバイ


クロモジは晩秋に美しく黄葉し、落葉します。

クロモジの黄葉

クロモジ冬芽は独特で茎頂に尖った葉芽とその下に丸い花芽をつけます。

黄葉とクロモジの冬芽

落葉すると冬芽が目立ちます。

クロモジの冬芽

クロモジ樹皮芳香があるため、樹皮を残した材は高級楊枝として使われてきました。

和菓子に添えられるクロモジの楊枝
高級和菓子に添えられるクロモジの楊枝

鎮静抗菌抗ウィルス不眠症解消などに有効な成分があるとされ、最近は日本原産アロマとして人気があるのだそうです。

ゲンノショウコ

日本の代表的な民間薬ゲンノショウコ現の証拠)は下痢止めの作用が即効性で現れるので、現に良く効く証拠ということから名前がついたそうです。

花を咲かせるゲンノショウコ

別名神輿草みこしぐさ)の名も持ちます。一目瞭然、秋から初冬にかけてゲンノショウコのはじけたはくるりんと巻いてお神輿の屋根みたいな姿となり、祭りの雰囲気を醸し出します。

秋祭りムード漂うゲンノショウコの実

ゲンノショウコはフウロソウ科の多年草で花期は夏から秋にかけてです。

雄性期のゲンノショウコの花

ゲンノショウコは雌雄異熟の両性花。

雄性期のゲンノショウコの花

同じでも雄性期雌性期両性期が混在しているので風情が異なって見えます。

開きかけのゲンノショウコの花
開きはじめのゲンノショウコの花
柱頭が開き始め、葯が開いて花粉が出始めたゲンノショウコの花

雄性先熟という記述を多く見かけますが、そうでないものも見かけます。

開きかけのゲンノショウコの花  柱頭が開いている
柱頭が開き始めているが葯の開いていないたゲンノショウコの花
雄性期から雌性期へと移り変わるゲンノショウコの花
雌性期のゲンノショウコの花
ゲンノショウコの花 花粉が柱頭についている 拡大

赤花タイプも素敵です。

ゲンノショウコ赤花タイプ
赤花タイプのゲンノショウコの花
赤花タイプのゲンノショウコの花のしべ部分

が終わるとキャンドルみたいなになります。

ゲンノショウコの未熟果

は徐々に褐色となり、キャンドルの下の種子が目立ってきます。

実が弾ける前のゲンノショウコの実

種子が完熟すると、キャンドルの下部が5裂して巻き上がって、その勢いで種子を飛ばす仕組みとなっています。

種子を飛ばし始めたゲンノショウコの実

自力で種子を飛ばすゲンノショウコは近場に種子を散布するため親株の近くで群生します。


紅葉したゲンノショウコのお神輿は秋祭りの装いです。

紅葉したゲンノショウコ
紅葉したゲンノショウコのお神輿

晩秋のにぎやかな祭りが終わると、冬の到来です。

にぎやかな神輿草

またゲンノショウコと似た構造の植物で、初夏にを咲かせをつける帰化植物アメリカフウロも派手めの色合いをしていておもしろいです。最近道端などで見られるようになりました。

アメリカフウロの花
アメリカフウロの実
アメリカフウロ

コアジサイ

5月下旬から6月上旬にかけて大仁田山頂上付近で淡い青色のコアジサイの花の群生を見ることができます。

コアジサイの花

一見地味な印象ですが、よ〜く見ると繊細で、線香花火みたいに可憐に輝いていています。

線香花火みたいなコアジサイの花

紫陽花によく見られる装飾花は無く、全てが両性花です。

咲きたてが綺麗なコアジサイの花
咲きたてが綺麗なコアジサイの花 拡大

特に上品な淡い青色と白い花粉が輝く頃の清楚な雰囲気が素敵です。

コアジサイの花 拡大
花粉が美しく輝く頃のコアジサイの花 拡大
紫と白い色が美しいコアジサイの花 拡大
近くで見ると宝石のようにきれいなコアジサイの花 拡大
可憐なコアジサイの花

初冬の頃、コアジサイクロモジよりやや遅れて黄葉します。

コアジサイの黄葉

コウヤボウキ

秋にコウヤボウキの花大仁田山頂上愛宕山いぼとり地蔵様付近や山道などで見ることができます。

山道に咲くコウヤボウキの花

コウヤボウキは茎が細くて草のように見えますが、キク科の落葉小低木。

山道にカレンに咲くコウヤボウキの花

淡いピンク色のは小さくて目立たないですが、よく見るとリボンのようにくるりと巻いた花弁が魅力的。


コウヤボウキの蕾

は長い筒状の小花がまとまって形成された頭花で、枝先につきます。

咲きかけのコウヤボウキの花

筒状花の先が長く伸びて、不同に5つに深く裂けて先端がカールします。

鱗状に重なっているのは総苞片。

筒状花の間の濃いピンク色は冠毛。

可憐に咲くコウヤボウキの花

は両性花で、雄性期から雌性期へと移行します。

花粉を出す雄性期のコウヤボウキの花

雄性期、葯の先端から花粉が放出されます。

雌性期のコウヤボウキの花

雌性期は葯の筒の内側から柱頭が現れて受粉可能になります。


秋から冬にかけてがフカフカに変化した姿もまた面白いです。

花期を終えたコウヤボウキの花
ドライフラワー状のコウヤボウキの冠毛の中に残る筒状花

フカフカにみえるものは冠毛。

綿毛になったコウヤボウキの冠毛

タンポポの綿毛と同じで種子を風で飛ばす役割をします。

ドライフラワーのように美しいコウヤボウキの冠毛
ドライフラワーのように美しいコウヤボウキの冠毛の中心部 拡大
冠毛をつけたコウヤボウキの種子

冠毛は白いものが多いですが、ピンク色を帯びたものもあります。

ネムノキの花のような雰囲気の冠毛がピンク色のコウヤボウキ
冠毛がピンク色のコウヤボウキ

雪の残る大仁田山コウヤボウキ

雪の中残るコウヤボウキ
雪の中残るコウヤボウキ 拡大

総苞が開いて飛び立ちそうな種子

総苞片から飛び立ちそうなコウヤボウキの種子
開いた総苞片から飛び立ちそうなコウヤボウキの種子

種子が旅立った後に残された総苞片ものようで美しいです。

冠毛の飛んだあとに残ったドライフラワーのように美しいコウヤボウキの総苞片
冠毛の飛んだあとに残された美しいコウヤボウキの総苞片

とっても小さな冬芽は毛皮のコートで防寒対策。絹毛でおしゃれです。

コウヤボウキの冬芽

厳しい冬を乗り越えたふかふかの毛を纏った芽吹きもまた可愛らしいです。

コウヤボウキの芽吹き
ふかふかの毛を纏ったコウヤボウキの芽吹き
フェルトのような質感のコウヤボウキの芽吹き

ドライフラワーのような総苞片と新葉のコラボ。

昨年咲いた花の総苞片とコウヤボウキの芽吹き

コウヤボウキの名前の由来は高野山で茎を束ねての材料としたからだそうです。

コクサギ

コクサギは山野の沢沿いなどでよく見られるミカン科の落葉低木で、秋から冬にかけて美味しそうなナッツの殻のような果実を多数つけます。

おいしそうなナッツのように見えるコクサギの実

この果実には面白い仕掛けがあって、木質の内果皮が乾燥に伴いバネの役割をして種子を遠くへ弾き飛ばします。

種子が弾き飛ばされるすばらしい動画がこちらで紹介されています。

裂開して黒い種子を飛ばし始めたコクサギの実
裂開し始め、黒い種子が見えるコクサギの実を上から見たところ

コクサギ果実は2〜4個に分果する蒴果で、2つのものは遮光器土偶風で眼力が鋭くユニークです。

裂開し始め、黒い種子が見える2つに分果しているコクサギの実

種子は黒褐色で光沢があります。

コクサギの種子と殻

そして、種子を飛ばした後に、何事も無かったように殻を閉じます。

空になったコクサギの実

▶お散歩マーケット 秋の彩り コクサギ


果実は秋に熟し、緑から黄色へと変化します。

夏のコクサギの実
緑色のコクサギの実

コクサギのつき方が特徴的です。片側に2葉ずつ出る互生でコクサギ型葉序と呼ぶそうです。

また、コクサギカラスアゲハの幼虫の食草としても知られています。

夏に緑色の実をつけるコクサギの木

クサギ(臭木)のように特有の臭いがあるため、小形のクサギという意味合いから小臭木という気の毒な名がついたという説があります。

クサギシソ科で科が異なります。

▶ クサギ

緑肥に用いられ、コクサ(肥草)から名前がついたという説もあります。


秋から初冬にかけて葉が黄色や朱色に美しく色づきます。

秋に美しく色づくコクサギの葉
コクサギの紅葉

環境によってはも赤く色づいて綺麗です。

赤く色づいたコクサギの実

葉を落とすと冬芽葉痕が目立つようになります。頂芽が大きく、丸いのは花芽だと思われます。

コクサギの冬芽と葉痕

コクサギ冬芽はシャープなツートンカラーの芽鱗に覆われて小粋な感じ。三大美芽の1つといわれるのだとか。

オシャレなコクサギの冬芽

芽吹きも勢いがあってきれいです。

コクサギの芽吹き

コクサギの花

コクサギは雌雄異株で、4〜5月頃に黄緑色の雌花雄花をそれぞれの株に咲かせます。同時に艶やかな濃い緑色の若葉も展開し始めます。

コクサギの花

コクサギの雌花

雌花は数も少なく地味であまり目立ちません。柱頭の十文字が目立ちます。

コクサギの新緑と雌花
十字の柱頭が特徴的なコクサギの雌花
コクサギの雌花開花時
コクサギの雌花 拡大

コクサギの雄花

雄花は開花期に多数咲き乱れるため、雌花と比べ、華やかで目立ちます。

華やかなコクサギの若葉と雄花
開花したてのコクサギの雄花
コクサギの雄花 拡大
コクサギの若葉と雄花

また、コクサギの枝葉の煎液は殺虫効果があるとかで家畜の皮膚の寄生虫の駆除に外用したそうです。

ゴンズイ

ゴンズイは9月~11月に赤い実が人目を惹くミツバウツギ科の落葉小高木で雑木林の林縁などで見られます。

果実が弾け始め、赤と黒のコントラストが美しいゴンズイの実

赤い肉厚の果実が弾けると光沢のある黒い種子が果皮の縁に残り、鈴のようにぶら下がる姿面白く、鮮やかな赤と黒のコントラストが美しいです。

赤と黒のコントラストが美しいゴンズイの実
赤い実を房なりにつける美しいゴンズイ
たくさん赤い実をつける美しいゴンズイ

6月下旬頃に見られるゴンズイの未熟果は淡い彩りで可愛らしい。

淡い色のゴンズイの未熟果

シキミ(樒)

シキミは3月~4月にかけてクリーム色のを多数咲かせ、清々しい芳香を漂わせるマツブサ科の樹木。

乾燥させた樹皮は粉にして抹香として用いられたという香木で、昔から日本の仏教と関わりの深い植物です。

満開の花を咲かせるシキミの木

常緑の光沢のある美しい深い緑色で傷ついた時に良い香りを放ちます。

咲き始めの頃のシキミの花

はどこか神秘的な輝き秘め、美しくて素晴らしい香りです。しかしながら全木有毒のためか近寄るときに畏れのようなものを感じます。

きれいなシキミの花
神秘的な雰囲気のシキミの花

特に果皮猛毒シキミの実は植物として唯一劇物に指定されています。

シキミの実の成長過程

星型のになる過程は面白いです。

シキミの未熟果

秋から冬にかけてが熟すと、種子をはじき飛ばします。

シキミの実

シキミシイの実と間違えて食べて中毒を起こした例もありますので、特に子どもやペットが誤って食べる事のないようにご注意ください。

※毒性分の無い近縁のトウシキミは香辛料 (スターアニス・八角・大茴香)として用いられています。

実になり始めたシキミの未熟果

その毒性と強い香りによる消臭効果を利用して、かつて土葬だった時代にを荒らされないようにシキミの近くに植えたのだそうです。

シキミの花をたくさん咲かせる樒の巨木

シキミの青々とした巨木を前にして、
人間到る処青山ありという言葉が脳裏をよぎりました。

じんかん いたるところ せいざん あり

※人はどこで死んでも青山とする所はある。
しがらみに囚われず故郷を出て大いに活躍すべきである、との意。

青山とは青々と樹木の生い茂っている山。骨を埋めるのにふさわしい土地の事。


赤い実のなるミヤマシキミ (深山樒) は別の科 (ミカン科) の植物です。

シャクチリソバ

秋にソバとよく似た可憐な花を咲かせるシャクチリソバ (赤地利蕎麦) 。

シャクチリソバの花 拡大

小さいながら白い萼片に濃いピンク色の葯と黄色の蜜線の彩りがきれいなタデ科の多年草です。

蕾をつけたシャクチリソバの花
花盛りのシャクチリソバ

をつけ始めたシャクチリソバ

実をつけ始めたたシャクチリソバ

シャクチリソバは河川付近の路傍等で見かけるようになった帰化植物です。所によってはあたり一面を覆い尽くすほどに大群落を形成しているので繁殖力は旺盛なようです。

シャクチリソバの群落

原産地のインド北部~中国南部では伝統的な薬用植物として根を利用していたそうです。

群生するシャクチリソバ

晩秋から初冬にかけて、ソバに似たをつけます。

シャクチリソバの実

ジャケツイバラ

咲き誇るジャケツイバラの黄色い花

ジャケツイバラは日当たりの良い山野や河原に育つマメ科のツル性落葉木本植物。5月頃に鮮やかな黄色の美しいを咲かせます。

きれいなジャケツイバラの黄色い花 拡大

5枚の花弁のうち、上側の1枚だけがやや小さめで開くと蝶のよう。雄しべと同じ赤い色の模様があります。

咲き始めのジャケツイバラの花序
ジャケツイバラの雄しべと雌しべ

長めの花柄のついた丸いから徐々に開花する様子も面白いです。

ジャケツイバラの蕾 拡大
横から見たジャケツイバラの花
咲き始めのジャケツイバラ 拡大

近くで見るとあまり似ていませんが、遠目に見るとフジを逆さまにしたようなに見えるためか別名カワラフジと呼ばれます。

一面に咲き誇るジャケツイバラの花

ジャケツイバラ蛇結茨)という名はヘビが絡み合うようにして蔓(枝)が伸び、茎や葉軸に鋭いカギ状のトゲが多数あるのが由来だそうです。

ジャケツイバラの鋭いトゲ

は綺麗ですが、鉄条網のような枝にうっかり近づくのは危険です。

ジャケツイバラの鋭いトゲ 拡大
太くなったジャケツイバラのツルの鋭いトゲ

たくさん実るジャケツイバラの未熟果

5月下旬から6月上旬、小判のように平たくて大きなが目立ち始めます。爽やかな緑色で軽やかです。

緑色の小判がぶら下がったようなジャケツイバラの実

豆果の大きさは7〜10cmぐらい。

ジャケツイバラの未熟果 拡大

9月〜11月、種子が熟すと豆果の上部が開き種子が姿を現します。

豆果が開き始めたジャケツイバラ

妖怪の口みたいで恐ろしげ。

豆果の上部が開き始めたジャケツイバラの実

豆果は冬を越え、初夏になっても枝先に残っているものもあります。

木に残るジャケツイバラの実に種子が見えている
ジャケツイバラの種子

種子の生薬名は雲実(うんじつ)と呼ばれ、大腸菌などに抗菌作用があり、マラリアの解熱と下痢止めに使われるのだとか。


ジャケツイバラも綺麗です。

ジャケツイバラの芽吹き
ジャケツイバラの葉

シロダモ

春のお散歩マーケットの山道コースではうさぎの耳と呼ばれるシロダモの金属光沢に輝くフカフカの若葉を見ることができます。わずかな期間限定の季節の楽しみなので、興味のある方は探してみてくださいね。

ウサギの耳と呼ばれるシロダモの若葉

シロダモに興味のある方は

癒しのかわいいフカフカ植物内にて、詳しく紹介しています。

参照:うさぎの耳 シロダモ ▶

セキヤノアキチョウジ

セキヤノアキチョウジ (関屋の秋丁字) は箱根の関所の番小屋でよく見られ、丁字形のを咲かせることから名前がついたシソ科の多年草です。

秋に花を咲かせるセキヤノアキチョウジ

9月から10月頃にかけて、やや湿り気のある山陰で青紫色の可憐なを多数咲かせます。

青紫色の美しいセキヤノアキチョウジ

陽に当たると透明感が出て綺麗です。

青紫色の美しいセキヤノアキチョウジ

よく似たアキチョウジと比べ、花柄が長くて萼片が鋭いのが特徴です。

横から見たセキヤノアキチョウジの花

細長くて筒状のの先端は小魚が口を開けているようでユニークです。

正面から見たセキヤノアキチョウジの花
斜め正面から見たセキヤノアキチョウジの花

だんまりを決めたような口をしっかりと閉じたも可愛らしいです。

正面から見たセキヤノアキチョウジの蕾

▼左上の花は雌しべが見え、右の萼の中には種子の卵が見えます。

正面上から見たセキヤノアキチョウジの花

なにか物語を感じさせてくれる面白いの姿です。

セリバヒエンソウ

3月~5月にかけてセリバヒエンソウが可憐なを咲かせます。

きれいなセリバヒエンソウの花

セリバヒエンソウは草地や林の縁などで見かけるキンポウゲ科の帰化植物で原産は中国。年々繁殖範囲を広げていて、目にする機会が増えています。

正面から見たセリバヒエンソウ

セリバヒエンソウ芹葉飛燕草)の名はセリのようなツバメが飛んでるような形のからついたそうです。

いろいろな方向を向くセリバヒエンソウの花

とは言っても、の形自体は飛翔するツバメには見えません。

躍動感のあるセリバヒエンソウの花

しかし、セリバヒエンソウは二股となった花軸に2個並んで咲くため、があちこち気ままな方向を向くため躍動感があります。

ツバメが飛び交うように咲くセリバヒエンソウの花の群生

そこで群生する姿を見ると、軽やかで明るい黄緑色のの上で、淡い上品な紫色のが自由自在に飛び交うツバメのように見えてきました。

セリバヒエンソウの花と蕾

学名:Delphinium anthriscifolium

園芸種のデルフィニウムと同じ属の植物で、イルカDelphis)に似た形からついたとか。これも尾びれがないためにイルカよりもに見えますが、躍動感に因るものでしょうか?(笑)

センダン

梅雨入りの頃、シャングリラ付近で見事に咲き誇るセンダンの花を見ることができます。

満開のセンダンの花
センダンの花 拡大
美しく咲くセンダンの花 (6月上旬〜中旬)

ことわざにある「栴檀は双葉より芳し」のセンダン白檀のことを指し、この樹のことではありませんが、も美しい大木です。初冬に光り輝く実を房なりにつけます。

センダンの実
光り輝くセンダンの実

センニンソウ

センニンソウの白い花

センニンソウ (仙人草) は樹上に覆い被さるように育つツル性植物で、陽当たりの良い山野や沢沿いの道端などに自生するキンポウゲ科の有毒植物です。

滝のように咲き乱れるセンニンソウの白い花

夏から秋にかけて白い芳香のあるを咲かせます。はあたり一面を覆い、滝のように咲き乱れます。

白く咲き乱れるセンニンソウの花
センニンソウの雄しべ
雌しべが開いたセンニンソウ

羽毛状の綿毛を広げ始めた風車のようなセンニンソウの痩果

また、秋から冬にかけて羽毛状花柱をつけた仙人を髣髴させるユニークなも目を惹きます。

羽毛状の花柱をつけるセンニンソウの痩果

紅葉の時期に赤く色づいたも金魚のようできれいです。

赤い金魚のようなセンニンソウの痩果

12月頃に見られる白いフカフカのを纏った赤い色の実サンタクロースみたいな雰囲気を醸し出しています。

羽毛状の綿毛をつけたセンニンソウの痩果
羽毛状の綿毛をつけたセンニンソウの痩果 拡大

似た植物にボタンヅルがあります。
こちらは牡丹のようなの切れ込みがあるのが特徴です。

センニンソウ・ボタンヅルについては癒しのかわいいフカフカ植物内にて、詳しく紹介しています。

参照:風の舞姫 センニンソウ ▶

タマアジサイ

咲き乱れるタマアジサイの花

のようなつぼみが愛らしい玉紫陽花タマアジサイ) 。

タマアジサイの蕾
玉のようなタマアジサイの蕾 拡大

山地の沢沿いなどの湿った場所に自生し、7〜9月頃に(ほう)に包まれた球形つぼみが外側から順次はじけて、線香花火みたいに開花する様子もまた面白いです。

タマアジサイの蕾が弾け出した頃の様子
弾け始めたタマアジサイの蕾の花
タマアジサイの蕾が弾け、花が咲き始めたところ
タマアジサイの蕾が弾け、白い装飾花が咲き始めたところ

一般的なアジサイと比べると、花期が遅くて長いのが特徴です。

咲き始めたタマアジサイの花
美しく咲くタマアジサイの花
美しく咲くタマアジサイの花 拡大
タマアジサイの花 拡大

あまり目立ちませんが、白色を帯びた若葉の頃も赤い葉柄とのコントラストが綺麗です。

白い産毛に覆われたタマアジサイの芽吹きの葉と赤い 葉柄

新葉は白い産毛に覆われ、フカフカとした優しい手触りですが、成長と共にゴワつきます。

チカラシバ

チカラシバ花穂 拡大

チカラシバ力芝)はその名の由来が引き抜く時に力を要するというを強く張るイネ科の植物。

平地や道端等でよく見られるお馴染みの野草です。猫じゃらしと似た雰囲気ですが比べるとかなり大きめで剛毛で、チクチクします。

チカラシバの群生
チカラシバの群生のある秋の景色

夏から秋にかけて、紫色を帯びた細長いブラシのような花穂をつけ、熟したひっつき虫になるので厄介ですが、広々とした自然の中で見る群生は見応えがあります。

特に、雨上がりの露をまとった花穂の輝きは素晴らしいです。

光に透けるチカラシバ

手前がエノコログサ、中央右がチカラシバ、奥がススキです。大きさの違いがわかります。

ススキとチカラシバとエノコログサの生い茂る野原

チャノキ(茶)

初夏に美しく新芽が輝くお茶畑

緑茶として使われているお馴染みのチャノキはツバキ科の常緑樹。

美しいお茶の新緑

新茶となる初夏の艷やかなは眩しく輝き、とても美しいです。


たくさんのきれいな花を咲かせるお茶の木

10月から12月に白くて小さな花弁にあふれんばかりの黄色い雄しべが特徴的なを咲かせます。

半熟のゆで卵みたいなお茶の花の蕾

咲き始めの頃のはどことなくゆで卵のような雰囲気で愛らしいです。

お茶の白い花が開き始めて黄色の雄しべが姿を表したところ 拡大
ゆで卵みたいな咲きたてのお茶の白い花
チャの花の雌しべと雄しべ
花粉のついたチャの花の雌しべと雄しべ

山道を歩いていると野生化した樹木も多々見かけます。 茶の花は冬の季語だそうで、秋も終わりの少なくなった時期に目立ちます。

山道に咲くお茶の白い花

弾けたには丸くてかわいらしい茶色の種子が入っています。

弾けたお茶の実

ツリガネニンジン

 ベルのようなツリガネニンジンの可憐な花

ツリガネニンジンキキョウ科の多年草で、釣鐘状朝鮮人参に似た形のを持つ山野草です。

 ツリガネニンジンの可憐な花

8月から10月にかけて咲く淡い青紫色のベルのようなの姿が可憐です。

朝鮮人参のような強壮作用はありませんが、強壮・鎮咳・去痰薬として使われる薬用植物です。

ツリガネニンジンの可憐な花

ツリガネニンジンは自家受粉を避ける両生花で雄性先熟です。

 下から見たツリガネニンジンの可憐な花 拡大

雄花期の雌しべの先端は棍棒状。

 花柱先端が3裂した雌花期のツリガネニンジンの花

雌花期になると、雌しべの先端を浅く3裂させます。

雌花期のツリガネニンジンの花 花柱先端が3裂している

春の若葉は山菜として親しまれていて、トトキの名でも知られています。

山菜として人気のあるツリガネニンジンの若葉

ツリフネソウ

妖しく美しい花を咲かせるツリフネソウ

ツリフネソウ釣船草吊舟草)はに見立てられたことから名前がつけられたツリフネソウ科ツリフネソウ属の植物です。水辺などの湿潤な環境に自生します。

きれいに立っているツリフネソウの花

は8月から10月頃に見ることができます。秋の草むらで大きくて鮮やかな花色は存在感があり、目を惹きます。

ひと枝に三つの花を咲かせているツリフネソウ
美しく咲き乱れるツリフネソウの花の群生

の後ろのクルッと巻いた渦巻き状の距に甘い蜜をためていて虫を誘い込み授粉を促す妖しい雰囲気の花です。

横から見たツリフネソウの花
ツリフネソウの花の後ろのクルッと巻いた渦巻き 距

花の中にハナバチが潜り込むと背中に花粉がジャストフィットする仕組みは見事です。

ツリフネソウの花の中に潜り込むハナバチ
ツリフネソウの花に潜り込むハナバチ

正面から見た美しいツリフネソウの花

花弁の基部に短い花糸とが合着した白い5本の雄しべが、緑色の雌しべを包んでいます。

正面から見たツリフネソウ

緑色に見えるところは雌しべ子房柱頭に包まれていて見えません。

斜め横から見たツリフネソウのシベ部分
ツリフネソウのシベ部分

雄しべ花粉を出し終えると雌しべが現れ、両性期になるそうです。

ツリフネソウの蕊部分拡大 雄しべから花粉が出ている

11月上旬に見かけた、というよりはのようなツリフネソウ

小さなツリフネソウの花

ツリフネソウの実はパンパンに膨れると、クルンと跳ねるように弾けて中の種子が飛び散る自力散布タイプです。

花と実をつけるツリフネソウ
ツリフネソウのパンパンに膨れた実

試しににわずかに触れると、即刻弾けて果皮の部分が瞬時にクルクルと巻き、原型がわからない状態に

弾けた後のツリフネソウの実の様子

未熟なツリフネソウの実の中を見てみると緑色の種子2つ入っていました。見慣れない構造です。

未熟なツリフネソウの実の中 種子が2つ入っている

ツリフネソウもクルっと巻いてユニークです。


同様に種子を弾けて飛ばすホウセンカツリフネソウ属の一年草です。

ホウセンカ
距の部分がくるりと巻くホウセンカの花
実をつけたホウセンカ
ホウセンカ

ツルウメモドキ

ツルウメモドキは秋に熟すと黄色いが3裂し、鮮やかな朱色の種子が現れるニシキギ科の落葉つる性植物です。

青空に黄色い仮種皮から朱色の種子のコントラストが美しいツルウメモドキ

黄色と朱色のコントラストの美しい生け花花材リースなど、装飾用素材として用いられ人気があります。

青空に黄色い仮種皮から朱色の種子のコントラストが美しいツルウメモドキ 拡大

は野鳥により、散布されます。

秋に蒴果したツルウメモドキ 拡大

テイカカズラ(定家葛)

5月下旬から6月中旬にかけて、スギヒノキ等の植林された山道を歩いていて、フッとスイカズラのような爽やかな香りがしてきたら、辺りを見回してみてください。たくさんの白い花を咲かせているテイカカズラが背の高い大きめの木にびっしりと巻きついている姿を見ることができるでしょう。

杉の木を覆い尽くす程びっしりと巻き付くテイカカズラの花

定家葛の名前の由来は平安末期・鎌倉初期の歌人で小倉百人一首の撰者でもあった藤原定家ストーカーめいたの物語に拠ります。謡曲の中で定家が思い焦がれる式子内親王に死んでもなお蔦葛となって、離れる事なく、まとわりつく様子が語られています。

咲き乱れるテイカカズラの花
テイカカズラの花 拡大
テイカカズラの花の中心部 拡大

の構造の詳しい観察記録がこちらで紹介されています。

参照:はるなつあきふゆ夕菅の庭
テイカカズラ [花木(初夏)] ▶


真っ赤に紅葉したテイカカズラの葉も激しい情念を感じさせます。

テイカカズラの紅葉

ですが、奥武蔵の山付近で見かける多くのテイカカズラは1月の寒波がやってきても青々としていて、紅葉しないものが多いです。


テイカカズラサヤインゲンを長〜くしたような赤褐色2本セットの袋果に収納している大量の種髪つきの種子を冬の寒空に旅立たせます。

赤く色づくテイカカズラの実
赤く色づくテイカカズラの実
赤く色づくテイカカズラの実と種子を飛ばし始めたテイカカズラの実
種子を飛ばし始めたテイカカズラの実 拡大
テイカカズラの種子が飛びたつところ 拡大
飛びたつテイカカズラの種子
種子を飛ばし始めたテイカカズラの実

1月中旬飛びたつテイカカズラの種子
1月中旬 種子を飛ばすテイカカズラの実

真冬に乾燥しきったテイカカズラの実が登山道のあちらこちらに落ちていました。拾ってみると中には美しい種髪をつけた種子がぎっしりと格納され、飛び立つ機会を伺っていたようです。

乾いたテイカカズラの褐色の袋果から絹毛の種髪のついた種子が飛び立とうとしているところ
乾いたテイカカズラの褐色の袋果から絹毛の種髪のついた種子が飛び立とうとしているところ 拡大
絹毛の種髪のついた種子
絹のような美しい種髪
褐色の袋果から種髪のついた種子が姿を現すテイカカズラ 拡大
袋果から出たてのテイカカズラの種子

冬の風の強い日などは澄みきった青空にふわふわと舞うテイカカズラの種子を見ることができます。

テイカカズラはキョウチクトウ科の有毒植物。

ニリンソウ

咲き誇るニリンソウの花

ニリンソウは4〜5月頃に白い可憐なをつけるキンポウゲ科の多年草。

白い花びらのように見えるのは萼片で花弁は無く、の径は2cmほど。

ニリンソウの花 拡大

春の妖精スプリングエフェメラル)とも呼ばれる代表的な早春植物です。

ニリンソウの花 中心部拡大
群生するニリンソウの花

の時期に陽が射し込む山野の林内や渓流沿いの林床などのやや湿った場所で見かけることが多いです。

ニリンソウの花

ニリンソウ二輪草)の名は茎の先に花を2個つけることから。ひとつずつ時間差で咲くことが多いようです。

萼片がピンク色のニリンソウの蕾

個体差により、1〜4つのを咲かせることがあります。

萼片の数も5枚が多いけれど、もっと多いものも見られ、色もピンク色を帯びたものもあります。

ニリンソウの表面には淡い斑模様があり、花序の基部につく葉柄無いのが特徴です。

花が最盛期の頃のニリンソウ

ニリンソウの痩果

1つの茎から2輪の花が咲き揃う頃、先発隊の雌しべが膨らみ始めます。

子房が膨らみ始めたニリンソウの花

複数の雌しべがあるニリンソウは数個の痩果ができます。

子房が膨らみ始めたニリンソウの花 拡大

萼片が落ちる頃、ニリンソウには黄緑色から褐色になったものや小さな黄緑色のままの痩果が数個できています。

種子になりかかっているニリンソウ 拡大

痩果の数や状態は未熟そうなものから完熟したものまで個体差があります。

種子のなっているニリンソウ
ニリンソウの痩果いろいろ

痩果は軽く触れただけで、ポロポロと落ちてしまうほど外れやすいです。

いろいろな痩果が入り混じっているニリンソウ

終わりかけのから種子がこぼれ落ちそうになっているものもありました。

花からこぼれ落ちそうになっていたニリンソウの種子
ニリンソウの種子

種子の先端に痕跡的に残る黄色っぽいポッチの花柱エライオソーム的な役割をしているのでしょうか?

エライオソーム種枕)というのは植物が自分の種子アリに遠くへ運んでもらうためのご褒美的な役割をする栄養豊富な付着物のこと。

エライオソームを持つ植物にはスミレケマンの仲間、カタクリフクジュソウなどがよく知られ、ニリンソウにもあるといわれていますが、実際はどうなんでしょうか?

ニリンソウの種子にやってきたアリ

同じキンポウゲ科イチリンソウ属で華やかなアズマイチゲも紹介しています。

参照:アズマイチゲ ▶

ニワトコ

ニワトコは春に他の樹木に先駆けて芽吹くので縁起が良いとされてきた落葉低木です。陽当たりの良い山野の林縁などに自生しています。

ニワトコの冬芽
ニワトコの冬芽と葉痕

がセットで入った丸くて大きな冬芽 (混芽) とユニークな葉痕は冬の季節を楽しませてくれます。小さな冬芽葉芽です。(1月中旬頃の様子)


2月上旬に冬芽が開き始めました。

冬芽が開き始めたニワトコ

寒波が到来して雪が残る中、一足早い美しい緑色の芽吹きです。

冬芽が開き始めたニワトコ 拡大
冬芽が開き、葉を出し始めたニワトコ拡大

ニワトコの芽吹きは、まるで蝉が羽化するかのような躍動感があります。

冬芽が開き、丸まった葉を出し始めたニワトコ拡大

色彩の乏しい季節においてその芽吹きはひときわ映えます。

美しいニワトコの芽吹き

2月下旬頃、春の訪れを喜んでポールダンスを踊っているような芽吹き

ポールダンスを踊っているようなニワトコの芽吹き

力強く姿を現すニワトコのつぼみは樹になるブロッコリーのようで存在感があります。その後もスピーディーに成長します。(3月上旬頃の様子)

ニワトコの新芽

大きな頭飾りをつけたニワトコの葉痕もかわいらしい。

大きな頭飾りをつけたかわいらしいニワトコの葉痕と芽吹き

3〜5月にかけて円錐花序に黄白色の小さいをたくさん咲かせます。

たくさんの円錐花序をつけたニワトコ
円錐花序をつけるニワトコ
ニワトコの円錐花序
ニワトコの円錐花序 拡大
ニワトコの花 拡大
花粉の出ているニワトコの花 拡大

その後、になります。

実が着き始めたニワトコ

6〜8月にかけて赤から暗赤色に熟した果実は鳥の好物で、赤くなるとすぐになくなってしまいます。

色づき始めたニワトコの実

珍しく残っていた赤い実。

赤く色づいたニワトコの実
赤く熟したワトコの実
赤く熟したワトコの実 拡大

骨折の治療の際に湿布剤として枝や幹を煎じて水あめ状になったものを使用しため、接骨木 (セッコツボク) という呼び名もあるのだそうです。

ネコヤナギ

渓流沿いに自生するネコヤナギが2月下旬に見頃を迎えます。所によっては群落を見ることができます。

渓流添いに輝くフカフカしたネコヤナギ
渓流添いに群生するフカフカしたネコヤナギ
渓流添いで群生するフカフカしたネコヤナギ 拡大

ふかふかとしたネコヤナギの花は寒さ厳しい中、見る者の心をほっと和ませてくれる嬉しい存在です。


午後の光の中、コガモマガモなどの水鳥とネコヤナギが渓流でキラキラと輝いて、時も長閑に流れます。

ネコヤナギの花の咲く渓流添で仲良く泳ぐコガモの雄と雌
鮮やかな緑色に輝く首のきれいな雄のマガモ
つがいのマガモ
渓流添いで見られるフカフカしたネコヤナギ越しに泳ぐマガモの雄と雌
渓流添を仲良く泳ぐマガモの番の後ろ姿
ネコヤナギの花の咲く渓流越しに泳ぐコガモの雄

その少し上流ではダイサギが辛抱強く獲物を狙っていました。

渓流で獲物を狙うダイサギ

リズミカルに尾をフリフリする姿が愛らしい冬のふっくらキセキレイ

ふっくらとしてかわいい冬のキセキレイ
ふっくらとしてかわいらしい冬のキセキレイ

ネジバナ

5月から8月頃に日当たりのよい草地や芝生などで小さな螺旋状につけるネジバナ。ユニークなことに螺旋は右巻きであったり左巻きであったり、軌道修正していたりといろいろ。

草原に生えるネジバナ

ネジバナの別名はモジズリ (綟摺) 。

モジズリといえば百人一首

陸奥の しのぶ もぢずり 誰ゆゑに
乱れそめにし われならなくに


現代語訳:
あなた以外のだれのために、みちのくのしのぶもぢずりの乱れ模様のように心を乱す、わたしでありましょうか

ねじれて咲くネジバナの花

モジズリというのは、東北地方の信夫郡(しのぶぐん)で作られていた織物「信夫捩摺り」のよじれた模様とのつき方が似ているところから、このように呼ばれるようになったんだとか。

ねじれて咲くネジバナの花 拡大

特徴的なネジレは悶えているというよりは揚げドーナッツみたいなおもしろさがあり、なんだか美味しそうです。

可憐なネジバナ 花拡大

5mm弱の小さなですが、ラン科だけあって、よく見るとゴージャスで綺麗です。

ネムノキ

6月から7月にかけて、大仁田山を含む奥武蔵渓流沿いなど、あちらこちらでフワフワとしたピンク色のネムノキの花を見ることができます。

ネムノキの花

ネムノキマメ科の落葉高木で、芽吹きが遅いのが特徴です。

葉が出て来たと思ったら、意外と速くを咲かせているスロースターター

羽根のような葉が風を受けて波のように揺れ動くので、それに連動して揺られる枝先についた軽やかなは、舞うように揺られて清涼感があります。

軽やかに咲くネムノキの花

ほわほわとしたピンク色の鳥の羽毛のように見えるのは小さな花がたくさん集まっている雄しべです。

ネムノキの花 拡大

オジギソウのようなかわいいは夜になると閉じて垂れ下がり、眠るのだそうです。それでネムの木なんですね。

ノブドウ

色とりどりのきれいな実をつけるノブドウ

秋になるとノブドウの実は虹の七色のように変化に富んだとなり、とても綺麗です。

宝石のようなきれいなノブドウの実

ノブドウの実の素敵な色は虫の寄生によるものだとよく耳にします。その実態を考察をされている興味深いサイトを目にしました。▼こちらです。


カラフルなノブドウの実

ノブドウはブドウ科ノブドウ属のつる性植物で、野原や道端、山野などに自生し、は食用になりませんが、乾燥させた茎葉や根は蛇葡萄蛇葡萄根と呼ばれて関節痛などの生薬として用いられるのだそうです。


ノブドウの花
ノブドウの花 拡大

7月から8月にかけて、小さくて淡い黄緑色のをたくさん咲かせますが、夏の強い日差しの中、目立ちません。

ノブドウの花と実

8月下旬頃になると、が少し目立つようになります。

きれいなノブドウの実

ハギ

秋の七草の1つであるハギは夏から秋にかけて可憐なを咲かせます。

秋の七草については 参照:クズ ▶

きれいに咲く濃いピンク色のハギの花

普通、ハギというとヤマハギを指します。

ハギの仲間は種類が多く、よく見られるのが枝が長くて枝垂れやすいミヤギノハギヤマハギの枝はほとんど枝垂れません。

きれいに咲く濃いピンク色のハギの花 拡大

ハギは漢字でも草かんむりに秋という表現をされる秋を代表するで、山野に自生するマメ科の落葉低木です。

は日本人が作った国字という和製漢字で、中国語のは別植物だそうです。

古くから、日本人に親しまれてきた植物だったようで万葉集において最もよく詠まれたということです。

咲き乱れる濃いピンク色のハギの花

ですが、開花期混在してまばらな印象のためか、昨今では見過ごされがちな存在となっているようです。

枝先にたくさんの花をつけるハギ

暑さが和らぐ頃にの最盛期を迎え、初秋の風に軽やかに花枝が揺れる姿は風情があります。

白露も こぼさぬ萩の うねりかな

松尾芭蕉

 

花や葉にあふれるように白露を宿して、しなやかにたわんでいる萩の枝が、露を落とすことなく秋のそよ風になびいて、優美に大きくゆるやかに揺れている。

たくさんの白露を宿す濃いピンク色の花をつけたハギの枝

白いハギの花も清楚できれいです。

「白露もこぼさぬ萩のうねりかな」のイメージの白いハギの花

中秋の名月ハギの花で秋を楽しむのも良いのではないでしょうか。

中秋の名月

ハグロソウ(葉黒草)

きれいに咲くハグロソウの花

8月中旬から秋にかけて樹林の下などの半日陰の草むらの中で、ポツンポツンとピンクが目立つハグロソウ

キツネノマゴ科の多年草です。

横から見たハグロソウ

口を大きく開けたような2裂した花冠がシンプルながらユニークです。

正面から見たハグロソウの花 拡大

ハグロソウ (葉黒草) の名前は、木陰等の比較的暗い場所で育つ暗緑色のが黒っぽく見えたというのが由来だそうです。は角ばったに対生します。

秋の木陰でピンク色の花を咲かせるハグロソウ
角張った茎に暗緑色の葉を対生させ、ピンク色の花を咲かせるハグロソウ

ハナイカダ

6〜8月頃、ハナイカダのずんぐりとして艶のあるの中央にチョコンと鎮座する様子が奇抜で面白いです。

ハナイカダは山地や林縁のやや日陰の湿った環境で見られる落葉低木です。

葉の中央に濃い紫色になりつつある実がなっているハナイカダ

ハナイカダ花筏)という風流な名前はの中央の葉脈上につく様子がに乗っているように見えることに由来するそうです。


ハナイカダの花

ハナイカダは雌雄異株で4月から5月にかけて、それぞれの株に雌花雄花を咲かせます。どちらもと似た色の小さな目立たないです。

花柄が葉脈と合着して中央の葉脈上に小さな花を咲かせるハナイカダ

花柄葉柄葉脈の一部が合着しているため、主脈はのつく所までが太くなっています。

新緑の葉の下から見た開花期のハナイカダ

新緑の季節、若葉の裏からの影が見えるのもハナイカダならではの光景。

下から見た開花期のハナイカダ
影絵のように花が葉の中央に咲いているのがわかる下からみた開花期のハナイカダ

ハナイカダの雄花

ハナイカダ雄花は1枚のの主脈上に数個ずつ集まって咲きます。

葉の上に雄花を咲かせるハナイカダ
葉の中央の葉脈上に複数の雄花を咲かせるハナイカダ
葉の中央の葉脈上の複数の雄花が花粉を出しているハナイカダ
ハナイカダの雄花 拡大

ハナイカダの雌花

ハナイカダ雌花は通常、1枚のの主脈上に1つ咲きます。

雌花の咲くハナイカダ
ハナイカダの雌花 上から見たところと横から見たところ
ハナイカダの雌花 拡大
真上から見たハナイカダの雌花 拡大
ハナイカダの雌花 拡大

時として複数のを咲かせます。

複数の花を同一主脈上につけるハナイカダの雌花

受粉後の様子です。

受粉後のハナイカダ

ハナイカダの実

葉の中央に緑色の実がなるハナイカダの木

6月上旬頃から緑色のは徐々に大きくなって目立ってきます。

ハナイカダの葉の中央に緑色の実が1つずつなるハナイカダ

筏に乗ったが楽しいです。

2つの緑色の実がなっているハナイカダ

中には2つや3つのがついているものもあります。

3つの緑色の実がなっているハナイカダ 拡大

7月上旬には濃い紫色に色づき始めたものも見られます。

ハナイカダについた実が緑色から紫色に変化しているところ
紫色に変化したハナイカダの実

7月中旬から8月にかけて、黒紫色になり、ツヤツヤとして光るの上で目立ちます。

葉の中央に黒光りした実がなるハナイカダを横から見たところ

しばらくすると、葉からすっかりが無くなっていました。

鳥や野生動物にとってはお皿に盛られたご馳走なのかもしれません。

熟した花筏の実

ハナイカダの冬芽と葉痕

ハナイカダの冬芽と葉痕

ヒメコウゾ

芽吹きと共に雌花と雄花を咲かせるヒメコウゾ

ヒメコウゾは雌雄同株のクワ科の落葉低木で4月から5月にかけ、展葉と同じ頃に雌雄異花のを咲かせます。

雄花と雌花を咲かせるヒメコウゾ

奇妙な姿の雌花は新枝の上部につき、雄花は新枝の基部につきます。

葉の展開と同時に見られた雌花と雄花を咲かせるヒメコウゾ
雌花と雄花を咲かせるヒメコウゾ

この配置はヒメコウゾのような雌雄同株の風媒花に見られる特徴で、雌花柱頭に同じ株の花粉をつきにくくして自家受粉率を下げるようです。

また、花粉の飛散がで遮られないようにが茂る前に開花するようです。

太陽のオブジェのような奇妙な姿のヒメコウゾの雌花

前衛芸術の太陽のオブジェのようにも見える雌花の異様な風貌はウニのようにも、地球外生命体のようでもあり、ユニークです。

太陽のオブジェのような奇妙な姿のヒメコウゾの雌花 拡大

ボールのような球形に見えるのは雌花が集まった雌花序。鮮やかな赤紫色の糸状のものは花柱。

ヒメコウゾの雌花の花柱の先端部分 拡大

多数の雄花が集まった雄花序のつぼみはブドウクワのよう。

同じ枝に雌花と雄花を咲かせるヒメコウゾ

風媒花ヒメコウゾ花粉量が多いために葯が大きいのだそうです。

ヒメコウゾの雄花 拡大

雄花の萼片と雄しべは4個。

ヒメコウゾの雄花 拡大

花糸は、折りたたまれた雄しべが弾けるように伸びて花粉が飛び散る仕掛けとなっています。

咲きたてのヒメコウゾの雄花 拡大
花粉を出すヒメコウゾの雄花 拡大

イラクサ科のカテンソウも似たように弾けて花粉を飛ばしていました。

この花粉を飛ばす方法はイラクサ科・クワ科・ニレ科で見られるそうです。

参照:6-3. さまざまな送粉様式


ヒメコウゾは低山の林縁や道端、荒れ地になどで見られます。

多数の花を咲かせるヒメコウゾ

6月頃には徐々に朱色に熟します。

熟し始めたヒメコウゾの実
ヒメコウゾの実の熟す過程

クワキイチゴと雰囲気が似た綺麗で美味しそうなです。

たくさん実ヒメコウゾの実

甘くて食べられるものの、食感が悪く評判は良くないです。

熟したヒメコウゾの実

果実は痩果が集まった集合果で液質となった花被が痩果を包んでいます。

参考文献:草木の種子と果実 誠文堂新光社


和紙に使われるコウゾヒメコウゾカジノキの雑種で雌雄異株の落葉樹。

自然界では交配もあって区別が難しいのでヒメコウゾを通称コウゾとしてしている場合も多いのだとか。

成長の速いコウゾが中国から渡来するまではヒメコウゾが和紙の大事な原料の一つだったそうです。

コウゾと同様に和紙の原料として知られるミツマタに関してはこちら

▶ ふかふかのくす玉 ミツマタ

ヒメツルソバ

可憐なヒメツルソバ

ヒメツルソバストロベリーチョコレートを思わせるピンク色で、金平糖のような形の1cmほどの小さなを地面を覆い隠すように咲かせます。

ヒメツルソバの花 拡大

ヒマラヤ原産タデ科の植物で、花期は夏を除く初夏から晩秋までと長く、半野生化している程丈夫な植物です。

同じタデ科の植物の ミゾソバ金平糖のような可愛らしいを咲かせます。

参照:ミゾソバ ▶

ヒメツルソバの花

咲きたてのは濃いピンク色ですが、徐々に白っぽくなっていきます。

紅葉したヒメツルソバと花

秋にはがグラウンドカバー化した紅葉して、とのコンビネーションがきれいです。

フクジュソウ

フクジュソウの群生

フクジュソウは、枯れ色の早春に緑色の葉と光沢のある黄色の花を咲かせ、ひと際目立つ存在です。

フクジュソウの花

フクジュソウのように春一番に先駆けて開花するスプリング・エフェメラル春の妖精)の存在は色彩乏しい季節の山野歩きを楽しませてくれます。

きれいに咲くフクジュソウの花

フクジュソウの花が陽が当たると眩しく輝いて見えるのは太陽光を集めるように花びらを開いて反射させ、花の中の温度を上げる事で授粉にきてくれるたちを誘引するのだとか。

早春に綺麗な黄色の花を咲かせるクジュソウ
花粉を出すフクジュソウの花
眩しく光るクジュソウの花
フクジュソウの花 拡大

開いたの中に指先を入れてみると、ほんのり温かい感じがしました。

眩しく光るフクジュソウの花の中 拡大

開花期はまだ寒い時期なので、授粉してくれるたちに居心地の良い場所を提供するサービス戦略なんですね。

眩しく光るフクジュソウの花にいる昆虫
眩しく光るフクジュソウの花にいる花粉をつけた甲虫

あったか作戦の効果か、あちらこちらに緑色のがついていました。

受粉後のフクジュソウの花
フクジュソウの実 拡大
フクジュソウの実

※縁起の良い名前の福寿草ですが、キンポウゲ科の植物で毒性があります。

フサザクラ

フサザクラは沢沿いに多い落葉小高木でパイオニア的植物です。色彩の少ない季節に枝に赤い花をたくさんつけるので樹全体が赤く見えて目立ちます。

渓流沿いに咲くフサザクラの花

3月下旬、葉に先駆けて房状の特徴的な赤い花を咲かせます。樹皮サクラに似ているのでフサザクラという名前がついていますがではありません。

サクラに似た樹皮で赤い特徴的な花を咲かせるフサザクラ

フサザクラの花には花弁もありません。は化粧刷毛みたいです。

赤いフサザクラの蕾と開き始めの花

はたくさんの雄しべ雌しべ房状に垂れ下がった両性花で、カツラの花と雰囲気が似ています。

赤いフサザクラの花 拡大
フサザクラの葯が赤い時の雄しべと雌しべ 拡大

淡緑~暗紅色だった雄しべは徐々に色あせていきます。

色のあせてきたフサザクラの花 拡大

雌しべ雄しべより短くて、雄しべ花糸の基部に隠れて目立ちません。

色のあせてきた頃の雌しべが見えるフサザクラの花

ゴルフクラブのような形をしているのが雌しべです。

色のあせてきた頃の雌しべが見えるフサザクラの花 拡大

初夏に、展開したばかりの赤味を帯びた若葉も綺麗です。

フサザクラの新緑

大葉の切れ込みを不揃いにしたような形です。

フサザクラの新緑 拡大

目立たない色合いですが、もついています。

初夏にフサザクラの木にたくさんの実がついているところ
フサザクラの未熟果
フサザクラの赤い新芽と未熟果 拡大
フサザクラの未熟果 拡大

冬芽もまた綺麗です。

艶やかに光るフサザクラの冬芽

芽鱗という言葉がぴったりの状の艶やかなコートを身に纏った鱗芽

年輪のような模様があってニスを塗ったような光沢があるフサザクラの膨らんだ冬芽 
フサザクラの冬芽
冬芽をつけたフサザクラの枝

フユイチゴ・ミヤマフユイチゴ

フユイチゴはバラ科キイチゴ属の蔓性常緑小低木で湿り気のある山地の林下や林縁の道路沿い等で見られます。

花期は9〜10月頃で、11月〜1月頃にが赤く美しく熟します。

赤く美しく実るフユイチゴの実

晩秋から冬の彩りの少ない季節に赤い宝石のように輝くフユイチゴの実の緑色とクリスマスカラーで暗い森の中でひときわ目立つ存在です。

緑とのコントラストが目立つ赤く美しいフユイチゴの実

蔓状のが地面を這うように伸びて広がり、冬のストロベリーフィールドを形成する光景は童話の世界のよう。

フユイチゴの先が丸みを帯びて尖り、無いのが特徴。

赤い実のなるフユイチゴ 葉や茎や萼に短毛がある

また、の裏やの外面や花柄に短毛密生します。

宝石のように美しいフユイチゴの実

ミヤマフユイチゴ

似た仲間にミヤマフユイチゴがあり、混在して見られることもあります。

冬に赤く美しいミヤマフユイチゴの実
赤く美しいミヤマフユイチゴの実

ミヤマフユイチゴが浅く3〜5裂して先端がやや尖り、の裏や葉柄、茎にがあって、の外面がほとんど無毛なのが特徴。

棘のあるミヤマフユイチゴ

赤い大きなは色違いのイクラのような雰囲気。(笑)

美しいミヤマフユイチゴの実

8月下旬から10月頃にかけて白いを咲かせます。

ミヤマフユイチゴの花

その他、交雑種のアイノコフユイチゴなどもあります。

これらの美しい赤い実は甘酸っぱくて食べることができます。

ホトトギス

の名前のようなホトトギス(杜鵑)は夏から晩秋にかけて独特な斑模様の花を咲かせるユリ科ホトトギス属の多年草で山野の斜面などの日陰で目にすることがあります。

ホトトギスの花

花びらの斑点模様がホトトギスの模様と似ているのが名前の由来だそうです。

ホトトギスの花 拡大

ホトトギスは交雑が激しいらしくて、タイワンホトトギスや交雑種などの異なるも多く見かけます。

きれいなホトトギスの花 拡大

激しい斑点模様のは当時の不治の病を連想させ、正岡子規の苦悩や悲しみを感じさせます。

斑模様のはっきりとしたホトトギスの花 拡大

こちらはヤマジノホトトギス

ヤマジノホトトギス
白っぽいヤマジノホトトギス
下から見上げた白っぽいヤマジノホトトギス
下から見た白っぽいヤマジノホトトギス

マタタビ

6月から7月にかけて、山地の林縁で目立つ白い葉マタタビです。

マタタビはマタタビ科のツル性落葉樹でネコにマタタビで知られる植物。

白い葉の目立つ生い茂るマタタビ

マタタビの咲く6月頃になると、枝先のが白くなり始めます。

遠くからでも白く目立つに惹かれてやってきた虫たちが茂ったに隠れていたに気づいて授粉をしてくれるという仕掛けになっているようです。

マタタビの白い葉

白い色の表面側に空気が入っているためで、色素が抜けているわけでもカビなどの付着物でもありません。

マタタビの白い葉 拡大

近くで見ると本当に真っ白です。

マタタビの白い葉と緑色の部分 拡大

よく茂って藪のようになっている中で白さが際立っています。

白い葉と緑色の葉が混ざるマタタビ
枝先の白い葉が目立つマタタビ

の咲き始めた時期のを水の中で指で押すと、空気が押し出されて緑色に戻ります。

参照:またたびの葉が白くなるのは


7月下旬、マタタビ白い葉は少し緑色に戻りつつありました。

少し緑色にもどりつつあるマタタビの白い葉

を水の中に浸して空気を出すと緑色に変化しました。白い葉の方が表面が滑らかですべすべしています。

マタタビの白い葉の空気を押し出して緑色になったもののビフォーアフター

しばらくすると、また空気が入ったのか元の色に戻りました。

白い葉の裏側は普通の緑色です。

表は白いが葉の裏は緑色マタタビ葉

マタタビの花

咲き誇るマタタビの花

マタタビ雌雄異株両性花雌花)を咲かせる雌株雄花を咲かせる雄株があります。どちらも白い花弁が5枚で多数の雄しべがあります。

咲き誇るマタタビの雄花
マタタビの雄花

マタタビは別名、夏梅といわれるだけあって梅の花と雰囲気の似たを咲かせます。お茶のにも似ています。

咲きたてのマタタビの雄花
マタタビの雄花

マタタビは本年枝の中間あたりにを咲かせます。目立たないの在り処を眩しい白い葉でアピールしています。

マタタビの白い葉と同時に見られる多数の蕾

6月上旬から中旬にかけて白い葉の奥にたくさんのが待機していました。

蕾をつけたマタタビ

丸くて可愛らしいが葉腋から下向きについて、のようにも見えます。

かわいらしいマタタビの丸い蕾
開きかけのマタタビの花
開きかけのマタタビの花

マタタビの両性花

白いマタタビの>両性花と受粉後の花が並んでところ

6月中旬から下旬にかけて、両性花受粉を終えたの赤ちゃんが下向きに並んでいました。

マタタビの>両性花

花の中央の白く放射状に広がっているのは雌しべ柱頭で、周囲を雄しべが取り囲んでいます。

正面から見たマタタビの>両性花
マタタビの>両性花 拡大
上から見たマタタビの>両性花

両性花受粉後、不要となった雄しべ花弁を落とします。

横から見たマタタビの>両性花

マタタビ両性花の葯に含まれる花粉には発芽力が無いそうで機能面からすると両性花ではなく、雌花になるようです。

しかしながら、雄しべには虫を誘引するという重要な役割があるようです。

詳しくは下記サイトへ。

参照:マタタビ 花と果実


マタタビの実

マタタビの未熟果

6月下旬から7月中旬にかけて、が大きくなって目立ってきます。

実をつけるマタタビ

マタタビの通常のはドングリのような砲弾形をしています。

マタタビの実
青いマタタビの実
青いマタタビの実の断面

それとは別に、カボチャのようなでこぼこした大きなもあります。

いろいろな角度から見たマタタビの 虫えい

これは虫こぶ虫えい果で、正確には果実ではありません。

虫こぶはマタタビミタマバエがに産卵することによって出来たもので、雄花も同様の虫えい果になってしまいます。

気味が悪いのですが、こちらのこそが木天蓼(もくてんりょう)と呼ばれる高級な生薬となります。

マタタビの 虫癭

マタタビ白い葉花粉つきの両性花により授粉客の確保に努めています。

でも種子を作る前に招かざる虫にやられてしまい、漁夫の利を得るのは人間とということでしょうか。

寝転ぶ猫

猫にマタタビの諺があるとおり、ネコ科の動物に枝葉や果実を与えると陶酔する、とも言われていますが、大脳や脊髄、延髄を麻痺させる作用もあるそうなので、与え方には注意が必要だそうです。

秋になって熟してくるとはオレンジ色に変化します。

熟してオレンジ色になったマタタビの実
熟したマタタビの実

マタタビの葉痕
マタタビの葉痕

マツカゼソウ

マツカゼソウ松風草)はミカン科唯一の草本で、山地の林縁や林道脇などの日当たりの悪い林床に自生します。

上から見たマツカゼソウの葉

クローバーニセアカシアような薄くて柔らかい丸みを帯びたが大・中・小リズミカルに並び、平らに広がり風に揺れる姿は風情があります。

マツカゼソウの葉

春の新緑、夏から秋にかけての小さく白いは名前にの名を持つ通り、いつもにしなやかに揺れて地味ながらも美しいです。

マツカゼソウの花
マツカゼソウの花 拡大

柔らかくて美味しそうに見えるですが独特の臭いのせいでシカの食害から逃れているのだとか。

実のつき始めたマツカゼソウの花

初冬の頃に見かけたマツカゼソウはほんのりピンク色で可憐でした。

初冬の頃のピンク色を帯びたマツカゼソウの花

辺り一面咲いているも含めて、すべてピンク色を帯びていました。

ピンク色のマツカゼソウの花

の大きさはかなり小さいですが、形は同じミカン科コクサギによく似ています。

マツカゼソウの実
弾け始めたマツカゼソウの実
種子の見えるマツカゼソウの実

マユミ

マユミキャラメルのようなユニークな形のを多数枝にぶら下げるようにつけるニシキギ科の樹木です。

6月上旬のマユミの緑色の実
6月上旬のマユミの緑色の実
濃いピンク色のマユミの実
鮮やかな種子が現れるマユミの実
秋に美しいピンク色になったマユミの実

10月から11月にかけて、と見まがうばかりのピンク色となった美しい仮種皮が4つに割れて、鮮やかな朱色の種子が顔を出します。

ぎっしり実るマユミの実
きれいに実るマユミの実
きれいに実るマユミの実 拡大
きれいに実るマユミの実 拡大

材質は緻密で狂いが少なく粘りがあることからを作るのに使用されたため真弓と呼ばれるようになったのが名前の由来だそうです。


4月中旬 マユミの蕾と新緑
4月中旬 マユミの蕾と新緑

マユミは印象的なとは異なり、小さな薄緑色の4弁花で地味です。

マユミ雌雄異株で、雄花 (退化的な雌しべがある) のみをつける雄個体と雌花 (退化的な雄しべがある) のみをつける雌個体に分かれるのだそうです。

参照:6-1. 花を構成する要素 単性花

5月中旬 マユミの花

マユミは花盤の表面全体が蜜腺となってを出すのだそうで昆虫がよく訪花しています。

参照:6-6. 動物媒花:選別 6-6-4. 選別をしない花

5月中旬 マユミの花 赤褐色の雄しべの葯
5月中旬 マユミの花の蜜を吸うアリ
5月中旬 マユミの雌花

ミズキ

色とりどりのミズキの実

8月から9月にかけてミズキの実の色の変化が、ブドウみたいにカラフルできれいです。熟すと赤い花柄に濃い紺色のとなり目立ちます。

きれいなミズキの未熟果
きれいなミズキの未熟果 拡大

ミズキの実は鳥やツキノワグマの好物なんだそうで、よほど美味しいのか、色づいたはすぐに食べられてしまい見られる期間は短いです。

サンゴみたいに実るミズキの実
黒く完熟したミズキの実

近年は奥武蔵でもツキノワグマの出没情報がありますので秋の山を歩く時はミズキの木を見かけたら注意が必要ですね。

段々に並ぶミズキの枝にきれいな実がなっている

ミズキの枝は横にしか伸びずに放射状に広がるので、 段々に並んでいるような特徴的な樹形となります。


ミズキ (水木) という名前は春先の芽吹きの頃に地中から多量の水を吸い上げるため、枝を切ると水のような樹液が出るからだそうです。

ブロッコリーを思わせる花芽

春に姿を現す蕾はブロッコリーみたいでかわいいです。

ミズキの花

5月から6月にかけて枝先にたくさんの白いをつけます。

ミズキの花 拡大

冬芽も艶やかで鮮やかな赤い色をしていてきれいです。

ミズキの冬芽と葉痕

ミズキは四季折々楽しい変化を見せてくれます。

ミゾソバ

ピンク色のミゾソバの花

ミゾソバは山野の水辺などに群生し、8月~10月にかわいらしいピンク色のを咲かせるタデ科の一年草です。

可憐なミゾソバの花

ミゾソバは溝などの湿った場所に生育し、ソバに似ていることから名前がついたそうです。 (▼参照:ソバ

ソバもまた、タデ科の一年草で綺麗なを咲かせます。

花を咲かせるソバ
可憐なソバの花

白やピンク色の花弁に見えるものはが花弁状になったもので、開花と共に濃い色から淡い色に変化します。

縁がピンク色の白いミゾソバの花 拡大
ピンク色のミゾソバの花 拡大

の時にコンペイトウ (金平糖) と似ているのでコンペイトウグサという呼び名もあるそうです。

金平糖のようなミゾソバの花の蕾
カラフルなコンペイトウ
コンペイトウ

ママコノシリヌグイヒメツルソバなど、同じタデ科金平糖と似ていてかわいいです。

参照:ヒメツルソバ ▶

ママコノシリヌグイ継子の尻拭い)のは可憐ですが、棘だらけで、虐待めいた恐ろしい意味合いの名を持つ植物です。継子とは血のつながりのない実子でない子のことです。

金平糖のようなママコノシリヌグイの花
棘の鋭いママコノシリヌグイ
ママコノシリヌグイ

また、藍染めに使われるタデアイも同じタデ科で似た雰囲気のを咲かせます。

参照:タデアイの花 ▶


ミゾソバにもそれほどではないですが、下向きのと毛があります。

ミゾソバの茎の棘と腺毛

ミゾソバの形がの額と似ているのでウシノヒタイという名前もあります。の顔にしては鼻先部分が尖り過ぎているので、額という表現になったのでしょうか。

ミゾソバの葉
正面から見た仔牛

の先端が丸かったら、の顔が犇いているようにも見えてユニークです。

という漢字が3つで(ひしめく)めく。想像すると和む漢字です。

ひしめくミゾソバの葉
かわいい仔牛

ミヤマシキミ(深山樒)

ミヤマシキミは晩秋から冬にかけて、マンリョウ (万両) より大きめの赤い実を上向きにつけ、オクリョウ (億両) という呼び名もある常緑低木です。

いぼとり地蔵さまの脇のミヤマシキミが晩秋に赤い実をつけている

億両ミヤマシキミ(ミカン科)

万両マンリョウ (サクラソウ科)

千両センリョウ (センリョウ科)

百両カラタチバナ(サクラソウ科)

十両ヤブコウジ (サクラソウ科)

一両アリドオシ (アカネ科)


いぼとり地蔵さまの脇のミヤマシキミがきれいな赤い実をつけ、クリスマスカラーが森の中で目立ちます。

赤い実がきれいなミヤマシキミ

ミヤマシキミ大仁田山頂上付近で多く見られますが、雌雄異株なので赤い実がついてないものもあります。

雪の中赤い実を残すミヤマシキミ

シキミに似ていて山地に生える事から深山樒の名前がついたそうです。

芳香があって有毒なところもシキミと似ていますが、科の異なる植物です。

ミヤマシキミはミカン科、シキミはマツブサ科

シキミ(樒) ▶


初冬のミヤマシキミの赤い実と蕾

ミヤマシキミは初冬の頃にをつけ、そのまま長い冬を越します。

初冬に蕾をつけたミヤマシキミ 大仁田山頂上付近

茎頂に円錐花序をつけます。

初冬に蕾をつけたミヤマシキミ
初冬に円錐花序の蕾をつけたミヤマシキミの雄株

4〜5月にかけて、芳香のある白い花を多数咲かせます。

ミヤマシキミの雌花

雌花には中央に突起している雌しべの先端の柱頭4裂していて、退化した白い雄しべがついています。

咲き始めたミヤマシキミの雌花
ミヤマシキミの雌花 拡大

雄花雄しべ黄色花粉を出す頃がより華やかとなります。

蕾が開き始めたミヤマシキミの雄花
ミヤマシキミの雄花
ミヤマシキミの雄花 拡大
花粉を出しているミヤマシキミの雄花 横 拡大
花粉を出しているミヤマシキミの雄花 正面 拡大

ムラサキシキブ

ムラサキシキブはシソ科の落葉低木で、6月頃に薄紫色の花を小さな塊状に葉の上側に咲かせます。

シソ科 (APG) 旧クマツヅラ科 ムラサキシキブ属

ムラサキシキブの花

の裏側に毛はありません。

ムラサキシキブ花と葉の裏側
ムラサキシキブ花 拡大
咲きたてのムラサキシキブの花 拡大

初秋に美しい赤紫色の果実をたくさんつけ、紫式部という覚えやすい素敵な名前も手伝って人気があります。

ムラサキシキブの実
美しいムラサキシキブの実
美しいムラサキシキブの実 拡大

近縁種のコムラサキはより美しいをつけます。ムラサキシキブは葉の全体に鋸歯があるのに対し、コムラサキは葉の先端~中央部分にだけ鋸歯があるのが特徴です。また、ムラサキシキブの花序(果序)は葉の付け根から出るのに対し、コムラサキの花序は葉のつけ根から少し上のところに出ます。

コムラサキの実

庭などに植えられていてよく見かけるものはコムラサキが多いようです。

コムラサキの実
コムラサキの実 拡大

ムラサキシキブと似ていて、野趣あふれるヤブムラサキの様子は

ヤブムラサキ ▶

ヤブツバキ

3月中旬頃から4月上旬頃にかけて山の中で美しく咲き誇るヤブツバキの花を見ることができます。

可憐なヤブツバキの花

所によっては植林されたスギヒノキの木々の合間にヤブツバキが見事な林を形成していて驚かされます。

山に植林されたヒノキの合間にたくさんの花を咲かせるヤブツバキの巨木

静かな静かな山の中、毎年を咲かせて楽しませてくれます。ちょっとしたヤブツバキの花の名所のよう。

山に植林されたヒノキの合間にたくさんのヤブツバキの花
山に植林されたヒノキの合間に美しく咲くたくさんのヤブツバキの花

可憐なヤブツバキの花の赤色が色彩の少ない木立の中で際立って綺麗です。

山に植林されたヒノキの合間に美しく咲くたくさんのヤブツバキの花
植林されたヒノキの合間に美しく咲くヤブツバキの花

ヤブデマリ(藪手毬)

初夏の明るい新緑の中、あちらこちらでヤブデマリなどの白いが咲き乱れて目を惹きます。

初夏の新緑の中、雪のような白い花を沢山咲かせるヤブデマリ

ヤブデマリは山の沢沿いの林縁などの湿った場所に生える落葉小高木です。

初夏の新緑の中、爽やかな白い花を咲かせるヤブデマリ

ヤブデマリガクアジサイと雰囲気が似ていて、大きな装飾花がたくさんの小さな両性花を取り囲んでいます。

ガクアジサイと雰囲気の似ているヤブデマリ

ヤブデマリ装飾花は無性花です。

白色のたくさんの小さな花を雪のように白い装飾花が取り囲む咲き始めの頃のヤブデマリの花冠

ヤブデマリの白い装飾花花弁が大きくなったもので、が変形して装飾花になったアジサイとは異なります。

装飾花の萼が見える 下から見たヤブデマリの花

なのでヤブデマリの白い装飾花の裏側にはがあります。

ヤブデマリの花の裏側 装飾花の萼が見える

装飾花の花冠は5深裂し、両性花を隠さないように1つの裂片だけが小さくなっているようです。

白い蝶のように見えるヤブデマリの咲き始めの頃の装飾花

これがヤブデマリの特徴ですが、のように見えて可愛らしいです。

蕾から開花したての花から花粉を出しているのヤブデマリ 拡大

両性花は黄色みを帯びた白色で装飾花の開花後に開き始め、花冠の先は深く5裂して、やがて反り返ります。

ヤブデマリの花の最盛期

の最盛期には遠目からでも装飾花の白さが際立ちます。

花粉を出しているヤブデマリの花の最盛期 拡大

装飾花の役割は両性花に虫を呼び寄せる看板広告みたいなものだと思われ、両性花装飾花に比べると、それほど目立ちません。

花粉を出しているヤブデマリの花の最盛期 拡大

ヤブデマリが枝の上で整列するように並んで咲くのが特徴。新緑に雪が積もったように見えて美しいです。

列になって咲くヤブデマリの花 横から見たところ

横から見ると、規律正しい集団行動のように水平にが咲いています。

枝の上に水平に整然と並んで花を咲かせるヤブデマリの白い花

上から見ると、伸びた枝の両脇にが隙間なく上向きにたくさんついて白い面が直線的に形成されています。

列になって咲くヤブデマリの花 上から見たところ

下から見るとも対生して、枝を中心に整然と並んで、ヤブという名にしては几帳面な感じがします。

列になって咲くヤブデマリの花と枝ぶり 下から見たところ

6月になると、緑色のと同じでお行儀よく並んでいます。

実になり始めたヤブデマリの実
実になり始めた始めたヤブデマリの実 拡大

6月下旬頃から色づき始めます。

色づき始めたヤブデマリの実

花柄は徐々に赤くなってサンゴのように華やかで目立ちます。

赤く色づいたヤブデマリの実

初夏には白かったが夏には赤く緑色の森を彩ります。

黒くなり始めたヤブデマリの実

8月中旬、赤いが熟して黒くなったものがありました。


ヤブデマリの葉 表

ヤブデマリの表にはがありますが脱落してしまいます。

毛のあるヤブデマリの葉の裏

の裏は星状毛で覆われています。


ヤブデマリと似た名前の花

オオデマリヤブデマリの園芸種で装飾花しかありません。

ヤブデマリと同じガマズミ科ガマズミ属の植物。(スイカズラ科からレンプクソウ科を経て、現在ガマズミ科)

オオデマリの花
オオデマリの装飾花 拡大
咲き誇るオオデマリの花

コデマリはバラ科シモツケ属でユキヤナギに似た別の科の植物です。

きれいなコデマリの白い花
コデマリの花
コデマリの花 拡大
コデマリの花

きれいに枝垂れて咲くユキヤナギの花
ユキヤナギの花
ユキヤナギの花

ヤブミョウガ

ヤブミョウガは湿気の多い林縁の藪などに自生するツユクサ科の多年草。

花期が夏から秋にかけてと長いため、9月頃から白い花と不思議な光沢の藍色の実を同時に見ることができます。

淡い緑色と濃い藍色の実が混在するヤブミョウガ

ミョウガに似ているためにその名をつけられていますが、ショウガ科ミョウガとは別種で食べられません。

ミョウガの花 拡大
ミョウガの花
ツユクサの両性花 拡大
ツユクサの両性花
ツユクサの雄花 拡大
ツユクサの雄花
午後のウスイロツユクサの両性花 拡大
ウスイロツユクサの両性花
ヤブミョウガの花

ヤブミョウガは同じ株に両性花雄花をつけます。白い半透明の花弁を3枚ずつつけます。

横から見たヤブミョウガの両性花 拡大
ヤブミョウガの両性花 拡大
ヤブミョウガの両性花
ヤブミョウガの雄花 拡大
ヤブミョウガの雄花

は午後になると雄しべを巻き込んで丸まって閉じていきます。

ヤブミョウガの花と未熟果

果実は淡い緑色から褐色、深い藍色の玉へと変化します。径は約5mm。

実が色づき始めたヤブミョウガ
淡い緑色から褐色、濃い藍色へと変化するヤブミョウガの実 拡大

果実が熟す頃、光を反射する金属光沢を持つ深い藍色となります。

美しく輝くヤブミョウガの実
晩秋に金属光沢に輝くヤブミョウガの実
晩秋に金属光沢に輝くヤブミョウガの実 拡大

パリッとした果皮は色素が出ることがなく、薄いプラスチックのような質感。その中に内包されている複数の種子立体パズルのように球体を形成し、石垣のような質感も形もユニークで感嘆符の嵐!!! ミクロコスモス驚異の世界です。


ヤブミョウガ種子の魅力については、下記のサイトがオススメです。

ヤブムラサキ

5月下旬から6月にかけて、四十八曲りルート付近などの登山道周辺で可憐に咲くヤブムラサキの花を見ることができます。道に覆い被さるように枝を出して薮を形成していたりします。

シソ科 (APG) 旧クマツヅラ科 ムラサキシキブ属

ヤブムラサキの花

地味ながらの裏側もフカフカの産毛に覆われていて、優しい手触りで愛らしいです。

フカフカの毛を纏うヤブムラサキの花
フカフカの毛を纏うヤブムラサキの花 拡大
よく見るとかわいい ヤブムラサキの花

秋から初冬にかけてムラサキシキブと似た紫色のかわいいをつけます。

にはと同様、星状毛が密生しています。これがムラサキシキブとの大きな違いです。

ムラサキシキブの色に似た赤紫色のヤブムラサキの実
毛のついた萼のヤブムラサキの実 拡大

また、ムラサキシキブと違っての数が少なく葉の裏側をつけることが多いので、日の当たらない山の中では色のわりには目立ちません。

赤紫色のヤブムラサキの実
ヤブムラサキの実

ムラサキシキブの様子は

ムラサキシキブ ▶

ヤマエンゴサク

ヤマエンゴサクは4〜5月にを咲かせるスプリング・エフェメラルの一種で、ケシ科キケマン属の植物です。

きれいに咲くヤマエンゴサクの花

水彩画のような淡い青から紫系の繊細な色合いのが上品で素敵です。

淡い紫系の色がきれいなヤマエンゴサクの花 拡大

山地の湿った林などにひっそりとを咲かせるのであまり目立ちませんが、微妙な花色がとても綺麗です。

紫系のヤマエンゴサクの花

淡い紫色から少々濃い色、ブルー系等、どのの色も爽やかで魅力的。

ピンク色と水色のヤマエンゴサクの花
透明感のある美しい水色のヤマエンゴサクの花
淡い色が綺麗なヤマエンゴサクの花 拡大
淡い青系のきれいなヤマエンゴサクの花 拡大

エンゴサク延胡索)は漢方薬の原料の名前からつけられたのだそうですが、一般的には毒草です。

山地に自生するので、山延胡索

ヤマエンゴサクの花

ヤマエンゴサクの特徴はの下の苞が切れ込んでいるところです。

ヤマエンゴサクの花

通常閉じている内側の花弁が開いて、珍しく雌しべ雄しべが姿を現していました。訪虫があったようです。

花弁の開いたヤマエンゴサクの花
ヤマエンゴサクの雌しべと雄しべ

ヤマハッカ

ヤマハッカは9〜10月に山野で青紫色のを咲かせるシソ科の多年草です。

美しく咲き誇るヤマハッカの花

雑然とした印象で見過ごされがちですが美しい秋の草叢を形成します。

ヤマハッカの花咲く草叢

は近くで見ると清楚できれいです。

美しいヤマハッカの花

茎の先に長い花穂をつけ、次々にを咲かせるので、長期に渡ってを見ることができます。

ヤマハッカの花 拡大

花弁の上唇に紫色の線状の斑点があるキツネ顔がヤマハッカ特徴です。

花弁の上唇に紫色の線状の斑点があるヤマハッカの花

ハッカという名前がついていますが、清涼感のある香りはありません。

ハッカというよりはスペアミントの方が似ている感じがします。

ヤマハッカの花と葉
花を咲かせるハッカ
ハッカ
スペアミント
スペアミント

花期が終わる頃の赤いのようできれいです。

ヤマハッカの赤い萼

ヤマルリソウ

ヤマルリソウムラサキ科の多年草で4〜5月に沢沿いなど、やや薄暗い湿り気のあるの道端で1cmほどの小さなをひっそりと咲かせます。

ヤマルリソウの花

ヤマルリソウ山瑠璃草)という美しい名前だけあって可憐で美しいですが、小さくて目立たないので見逃してしまいがちです。

山の道端で花を咲かせるヤマルリソウの花

茎が地面を這うようにのびて、その先に淡い青紫色のをつけます。

ひっそりと花を咲かせるヤマルリソウ

根元のは大きく、上になるほどは小さめです。

開き始めのヤマルリソウの花

には白い毛があります。

ヤマルリソウの花 拡大

が終わると、花柄は下向きになり、果実を下向きにつけます。

実が突き始めたヤマルリソウ

大きくなった5枚のをひっくり返すとドーナツのような丸い縁取りのある4つの分果を見ることができます。

5枚の萼に4つのドーナツ状の実をつけるヤマルリソウ

小さいながらユニークです。

ドーナツのような果実のなるヤマルリソウ 拡大

ムラサキ科の可憐な花

同じムラサキ科の植物にワスレナグサキュウリグサがあり、似た雰囲気のを咲かせます。

ワスレナグサ
ワスレナグサの花
ワスレナグサ

オオルリソウ
オオルリソウの花
オオルリソウ

小さな花を多数咲かせるキュウリグサ
キュウリグサ

参照:キュウリグサ ▶︎

ユキノシタ

ユキノシタは沢沿いの岩場など湿り気の多い半日陰の環境で育つ半常緑多年草で5月から6月にかけて小さなを多数咲かせます。

岩場に咲き誇るユキノシタの花

ユキノシタの装いは白地にピンクと黄色で彩られた3枚の華やかな花弁と2枚の純白の長い花弁。

風に優雅に揺れるユキノシタの花

群生すると賑やかで雑然とした雰囲気ですが、近くで見ると、端正で綺麗なスッキリとしたです。

優雅なユキノシタの花 拡大

ユキノシタについて詳しくはコチラへ

参照:ユキノシタ ▶

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大仁田山周辺 季節の植物