かわいいものが好きな方のための癒し系サイト
うさぎのぷうちゃんわーるど
栽培中に気づいたワタの不思議
ワタのゴシポール腺
趣味の綿花栽培 番外編2
ワタ植物に見られる斑点の正体
フカフカのコットンボールに憧れて始めた趣味のワタ栽培ですが、観察しているうちに気になってきたワタ独特の斑点模様。ワタ植物の全体に広く存在するこの黒い点は害虫や病気に対する耐性に活躍するゴシポールを分泌する腺です。
栽培には直接関係のないことですが、この正体を探ってみました。
ゴシポールはワタ(Gossypium)属が生成するポリフェノール色素で抗菌作用と殺虫作用、抗酸化作用があり、自己防衛に重要な役割を果たします。そして、種子や根、茎、葉、萼や副萼、果皮など植物全体に含まれています。
ゴシポール(Gossypol)の名前はワタ属(Gossypium)由来
ゴシポール腺による斑点模様はワタのあちらこちらで見られます。
ワタの蒴果が開く頃になると、不要になったせいか果皮のゴシポールが腺から抜けているように見えます。
ゴシポールは特にワタの種子に多く含まれます。
種子全体に見られる赤い斑点状のものはゴシポール腺。
吸水した種子を半分に割ったところ、ゴシポール腺から黄色の色素がにじみ出てきました。
ワタの種子を護るゴシポールは人体には有毒成分で、殺精子作用もあるそうです。精製度の低い綿実油の摂取は危険だということです。
反芻動物以外の動物もゴシポールを含む綿実を摂取すると悪影響があるため、種子にゴシポールを作らない品種の研究がされているそうです。
ワタは体全体にゴシポールをまとうことで、外的から身を護っているような印象を受けますが、その割には蛾の幼虫に葉を食べられたりするのを見ると、ゴシポールって殺虫成分があるといっても役立っているの?という疑問がわいてきます。
ゴシポールを持っているにしては虫の被害が多く見受けられます。
実際、効果があるのか疑問ですがこれでもマシな方なんでしょうか???
そんな疑問を抱いていた時、10月中旬にアメリカ綿の未熟果が小さく齧られた形跡を発見。何年か綿栽培をしてきましたが、こういう被害は今回が初めてです。
齧り主は不明でしたが、驚いたことにこの翌年の栽培で、ワタの葉が夜な夜なクマネズミの食害にあったのを確認したので齧り主はクマネズミだったと思われます。
齧られたのは果皮だけで、中の白いわたの繊維が現れていました。
果皮の齧り跡にはゴシポール腺からゴシポールが出ているようです。
少し齧っただけでわたの未熟果を食べるのを諦めたのは、中身がおいしくもない繊維だったことと、果皮がものすごく不味かったせいだと考えられます。
虫による食害防止力がゴシポールに効果的にあるかは疑問のままですが、動物の食害防止には役立っているように思える事象でした。
その後、葉が毎晩毎晩クマネズミに食べられていたことを確認したので、ゴシポールが動物の食害防止に役立っているかどうかも疑問となりました。
ゴシポールとの出会いは発芽実験の時でした。
ワタの発芽実験の時や発根中の根によく見られる黄色い色素。少々、独特な臭いがあります。
この黄色い色素はアメリカ綿の方がアジア綿より多く見られました。
気になったのは、黄色い色素の濃い箇所から側根が出始めていることが多かった点です。
土壌微生物との相互作用などと関係のある何か大切な成分かもしれないと調べてみたところ、ゴシポール(Gossypol)という有機化合物であることが分かりました。
そうこう見ているうちにワタという植物がゴシポールでフル装備しているように見えてきました。
▶︎ワタ植物に見られる斑点ゴシポール
第1回目のアメリカ綿の発芽実験の時には浸す温度が高すぎたのか種子から、大量に黄色い色素が染み出していました。ゴシポールは水溶性と思われます。
ゴシポールが種子に多く含まれているということならば納得です。
種子からこの黄色い色素が多く出ると、腐敗するなど発芽の予後が悪くなる傾向があります。
ワタのもやしを栽培している時にもキッチンペーパーで包んだ根の辺りに黄色い色素が付着していました。
根よりも種皮から抜け出た子葉の方が真っ黄色になっています。
茎にもゴシポールが確認できます。黄色くなっている箇所は成長に重要な場所で、バイ菌などから護られている形跡ではないでしょうか。
発根後の植えつけでアジア綿の方がアメリカ綿と比べて傷みやすかったのは抗菌作用のゴシポールの量が少なかったからかもしれません。
本葉が2枚出揃った頃のアメリカ綿です。魔法瓶で発根させた後にワタもやしとして育て、根が伸びてから水栽培育したところ、根が黄色くなりました。
そのうち水栽培しているアメリカ綿の苗の水も黄色くなってきました。ゴシポールによるものだと思われます。良好な環境でないためストレスがあるのかもしれません。
この水を鉢植えのワタに少しまいて経過観察していますが、今のところ問題はないようです。
水栽培されているアメリカ綿の方はただの水を入れ替えるだけで栄養もないため育ちが悪いです。
このページは「なんだろな」の中の
「ワタ栽培 番外編2」