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不思議で楽しい植物の世界
モクゲンジ
ムクロジ 番外編

数珠の実がなるモクゲンジの木

モクゲンジとムクロジ

ムクロジの実に魅了されているうちに数珠の起源とされたモクゲンジの存在を知ることとなりました。

モクゲンジムクロジは同じムクロジ科の植物です。

この両者は同様に高木で羽状複葉をつけ、堅くて黒い種子がなるという似た雰囲気のため、昔から混同されてしまった経緯があり、ややこしい関係となっていたのでした。

名前も二転三転、入れ替わったりして現在の名前に落ち着いていますが、未だに数珠のルーツがどちらであったかは定かではありません。

そんなモクゲンジがどんな植物であるかを紹介します。

モクゲンジの実と種
モクゲンジの実と黒い種子
photo by: BETTY

さらにオオモクゲンジという似ている樹木についても触れています。


ムクロジについてはこちらのページで詳しく掲載しています。

不思議で楽しい植物の世界 ムクロジ

モクゲンジ


モクゲンジ

モクゲンジ (木欒子) というムクロジ (無患子) と同じムクロジ科で、属が異なる中国原産の樹木。

7月下旬、黄緑色の実をつけたモクゲンジの木

フウセンカズラと似た雰囲気の風船のようなをつけ、その中に黒くて堅い種子をつけます。

モクゲンジの美しい芽吹き

栴檀葉の菩提樹(センダンバノボダイジュ)とも呼ばれ、種子を数珠にすると言われているために寺院に植えられていることも多く、新緑がとても美しい木です。

新緑の美しいモクゲンジ
芽吹きの頃のモクゲンジ
5月、羽状複葉の葉を展開モクゲンジ
5月、新緑が美しいモクゲンジ
下から仰ぎ見たモクゲンジの羽状複葉の葉
下から仰ぎ見たモクゲンジの葉

6月中旬の様子。

6月中旬のモクゲンジ
羽状複葉の葉が美しいモクゲンジ

6月下旬頃にが姿を現しました。

蕾をつけたモクゲンジ
花穂をつけ始めたモクゲンジ
蕾をつけたモクゲンジ

モクゲンジはとても美しいを夏に大量に咲かせ、「黄金の雨の木」の英名を持ちます。

参照:▶モクゲンジの花


欒樹ムクレンジノキモクレンジムクレニシとも呼ばれます。

センダンの古名ともあります。

参照:ちょっと寄り道:栴檀(センダン) ▶


モクゲンジ ムクロジ科 モクゲンジ属

モクゲンジの花

モクゲンジは6月中旬から7月中旬に枝の先に大型の円錐花序をつけ、小さな黄色い花を多数咲かせます。

見事な円錐花序をつけるモクゲンジ

学名は Koelreuteria paniculata

小種名paniculata (円錐花序) という名前の通り、見事な円錐花序を立ちあげます。

大型の円錐花序をつけるモクゲンジ

モクゲンジ属を指すKoelreuteriaJoseph Gottlieb Koelreuterケルロイターという18世紀のドイツの植物学者の名前よりつけられています。

モクゲンジの美しい円錐花序

Golden rain tree という英名を持つだけあって、黄金色の花が一斉に落ちる様子は金色の雨に例えられます。には赤いチャームポイントがあり、ムクロジの花より色鮮やかで美しいです。

モクゲンジの美しい花

美しい黄色の花目薬黄色の染料としても使われるそうです。


モクゲンジの花は虫媒花

モクゲンジの花虫媒花たちに大人気。羽音が木の周りでブンブン鳴り響き、大賑わいです。

モクゲンジの花とミツバチ
モクゲンジの花と蝶

モクゲンジの花には雄花雌花があり、どちらも花弁の基部の付属体黄色から次第に赤い色に変化して色鮮やかになります。

モクゲンジの雄花

全体的に黄色いモクゲンジ雄花 拡大
モクゲンジの美しい雄花
モクゲンジの美しい雄花 拡大
モクゲンジの雄花

落花したモクゲンジの雄花

機能を終えて落花したモクゲンジの雄花を見てみました。

落ちていたモクゲンジの雄花をいろいろな角度から見たところ
落ちていたモクゲンジの雄花 拡大

モクゲンジの雄花花弁を2枚取り除くと雄しべ花弁の基部には短毛があります。その点は、ムクロジの花と似ています。

落ちていたモクゲンジの雄花の花弁を2枚取り除いてみたところ
落ちていたモクゲンジの雄花の花弁を2枚取り除いてみたところ 雄しべ部拡大
落ちていたモクゲンジの雄花の花弁を2枚取り除いてみたところ 花弁部拡大

モクゲンジの雌花

柱頭の目立つのが雌花です。雄しべが機能しているかどうかは不明ですが、が後で開いているようです。

全体的に黄色いモクゲンジ雌花 拡大
横から見たモクゲンジの美しい雌花 拡大
モクゲンジの美しい雌花 拡大
モクゲンジの雌花

受粉後のモクゲンジの雌花

受粉を終えた奥の雌花袋状の実になり始めています。

受粉したモクゲンジの雌花 拡大
受粉したモクゲンジの雌花
花と実が混在するモクゲンジ 拡大
実になりかかったモクゲンジの花
花と実が混在するモクゲンジ

その後の様子は、

参照:モクゲンジの実 ▶

モクゲンジの実

7月中旬、モクゲンジのようにたくさんの黄緑色の実をつけていました。受粉率が良いのは昆虫たちのおかげでしょう。

花のようにたくさんの黄緑色の実をつけるモクゲンジ
たくさんの黄緑色の実をつけるモクゲンジ 拡大
モクゲンジの黄緑色の実 拡大

モクゲンジとフウセンカズラの実の比較

7月中旬、嵐の翌日にモクゲンジの黄緑色の風船の実が大量に落ちていました。それらはフウセンカズラホオズキを合わせたような雰囲気のです。

落下していた黄緑色のモクゲンジの実

フウセンカズラモクゲンジと同じムクロジ科の植物です。

そこで、幾つかの拾ったと似た頃合いのフウセンカズラの実を比較してみました。

未熟なモクゲンジの実

(暑さのせいで少々へたれています。)

正面から見ると、雰囲気や質感は似ていますが、モクゲンジの実の方はハートを細長くしたみたいな逆三角形のです。また、モクゲンジの実フウセンカズラのように袋が完全に閉じていません。

黄緑色のモクゲンジの実とフウセンカズラの比較 正面から見たところ
黄緑色のモクゲンジの実とフウセンカズラの比較 上面から見たところ
黄緑色のモクゲンジの実とフウセンカズラの比較 下面から見たところ

モクゲンジの実フウセンカズラのように水散布の道は選ばず、より風で飛ばされる戦略をとっているように思われます。

黄緑色のモクゲンジの実とフウセンカズラの比較 一室を開けて種子の様子を見たところ

モクゲンジの実3室に分かれてます。フウセンカズラと同じですが、仕切りは膜質ではなく、外の袋と同じ質感。種子のついている上部だけにあります。
種子は1室につき1〜2個でした。

未熟なモクゲンジの実の中

種子の内部はフウセンカズラというよりもムクロジに似ています。

未熟なモクゲンジの種子とその断面

参照:ムクロジの種子 成長過程 ▶


秋から冬の完熟期

その後、は枯れ色になって、木に残ります。

数珠に使われる実がなると言われるモクゲンジ
褐色の実のなるモクゲンジの木

薄く乾燥してパリパリとした果皮は丈夫でなく、破れて種子がむき出しになったものもあります。

果皮が破れて種子が見えるものもある秋のモクゲンジの木
褐色の実のなる秋のモクゲンジの木

秋の深まりと共に褐色だった種子は黒っぽくなります。

緑色の葉と枯れ色になって木にたくさんぶら下がるモクゲンジの実
完熟した褐色の実から種子が見えるモクゲンジの木

秋が深まると、房なりの黄葉したが一緒に見られます。

11月上旬、黄葉するモクゲンジの大木
黄葉と一緒に見られる枯れ色になって木にぶら下がるモクゲンジの実
枯れ色になって木にぶら下がる秋のモクゲンジの実
11月上旬のモクゲンジの実

時として冬になっても落ちないもあります。

ちょっと寄り道:栴檀
センダン

センダンセンダン科の落葉高木。

は羽状複葉で縁に鈍鋸歯があり、互生します。

センダンの木

暖地に自生しますが公園樹や街路樹として栽植されることが多いです。

下から仰ぎ見たセンダンの葉
下から仰ぎ見たセンダンの葉

初夏に淡い紫色の5弁花を多数咲かせます。

初夏に紫色の花をつけるセンダンの木
紫色の花をつけるセンダンの木
初夏に咲くセンダンの花

秋に黄色の丸い実をたくさんつけます。果実は核果。

晩秋にたくさんの実をつけるセンダン
青いセンダンの実
黄色いセンダンの実

学名: Melia azedarach L.
英名: White cedar, Chinaberry
別名:アフチ、オオチ、オウチ、アミノキ
   白檀の別称

果実はしもやけ、樹皮は虫下し、葉は虫除けにするなど薬用植物として用いられた

※「栴檀は双葉より芳し」のセンダンは香木の白檀のことで、このセンダンではありません。


さらに寄り道:栴檀
ビャクダン(白檀)

白檀の花
ビャクダンの花
photo by Wikimedia Commons
白檀の実
ビャクダンの実

学名: Santalum album L.
英名: Sandalwood
梵名:チャンダナ(candana)

インド原産のビャクダン科ビャクダン属の半寄生の熱帯性常緑樹。雌雄異株。

爽やかな甘い芳香が特徴で香木として利用される

オオモクゲンジ

オオモクゲンジフクロミモクゲンジもまたムクロジ科の樹木です。

オオモクゲンジモクゲンジとよく似ていますが花期が異なり初秋開花します。

開花し始めのオオモクゲンジの花

また、モクゲンジとは異なり、二回羽状複葉で、をつける頃の成木にはに切れ込みギザがありません。

(但し、幼木には重鋸歯があります。)

オオモクゲンジの花と枝葉
美しいオオモクゲンジの花
オオモクゲンジの花

タイミングが良いとピンク色風船状黄金色が一緒に見られるため、観賞用として人気があります。風船状モクゲンジと比べて大きめで丸い感じです。

花と実の美しいオオモクゲンジ
花と実の美しいオオモクゲンジ
photo by: Mauroguanandi

オオモクゲンジの実

花のように見えるオオモクゲンジの実はピンク色で明るく綺麗です。

花のように美しいオオモクゲンジのピンク色の実

10月上旬、落ちたオオモクゲンジを見てみると、ピンク色風船の中には淡い黄緑色〜クリーム色の種子がついていました。

淡い黄緑色〜クリーム色の種子が覗いて見えるオオモクゲンジのピンク色の実

ほんのり枯れ色になった風船の中の種子は黒色になっていました。

黒い種子が覗いて見えるオオモクゲンジの枯れ色になった実

しばらくすると、は褪色して枯れ色になってしまいます。

枯れ色になって木に残るオオモクゲンジの実
地面にたくさん落ちている枯れ色のオオモクゲンジの実
地面に落ちた枯れ色のオオモクゲンジの実
地面に落ちた枯れ色のオオモクゲンジの実の中の種子
11月上旬のオオモクゲンジの実

オオモクゲンジ ムクロジ科 モクゲンジ属

オオモクゲンジの栽培

拾ったオオモクゲンジの種子をまいてみたところ発芽しました。


 オオモクゲンジの発芽

オオモクゲンジは元々種子が小さいのでムクロジと比べるとボリュームに欠けます。ちょっと毛深いですが発芽の様子はよく似ています。

オオモクゲンジの発芽
オオモクゲンジの発芽 子葉の間に毛深い本葉が待機している
オオモクゲンジの発芽 本葉が出てきた様子
オオモクゲンジの発芽 本葉が出てきた様子拡大写真
オオモクゲンジの発芽

参照:ムクロジの発芽 ▶


 オオモクゲンジの成長

オオモクゲンジの成木はに鋸歯が無いのが特徴ですが、若い状態の時にはギザギザがあってモクゲンジと良く似ています。

順調に育つ実生のオオモクゲンジ
オオモクゲンジの若葉
モクゲンジと似るオオモクゲンジの若葉

10月下旬、オオモクゲンジ黄葉をし始めました。樹高は約36cmとなりました。

ムクロジの幼木と似た雰囲気に育ちました。は相変わらず切れ込みがあります。

オオモクゲンジの幼木
オオモクゲンジの幼木の葉

徐々に黄葉し、11月下旬、ムクロジとほぼ同じ頃に落葉。中にはピンク味を帯びているもあり、きれいでした。

オオモクゲンジの黄葉
オオモクゲンジの落葉していた葉

オオモクゲンジの冬芽と葉痕

3月上旬頃のオオモクゲンジ冬芽葉痕の様子です。

ムクロジと似ていますががあるのが大きな違いです。

オオモクゲンジの葉痕と冬芽

参照:落葉後のムクロジの葉痕 ▶


オオモクゲンジの芽吹き

4月上旬、オオモクゲンジ芽吹き始めました。

オオモクゲンジの芽吹き

がピンク色なのと関係しているのか新芽もピンク色で褐色の産毛に覆われています。

若葉を展開し始めたオオモクゲンジ

オオモクゲンジ その後の成長

4年目のです。相変わらず重鋸歯があります。

オオモクゲンジの新緑
オオモクゲンジの新緑
裏から見た4年目のオオモクゲンジの葉
裏から見た秋のオオモクゲンジの葉

大きくならないようにして育てていますが既に2mを越えています。

モクゲンジとオオモクゲンジ

モクゲンジオオモクゲンジ種子は大きさが近いですが、ムクロジと比べるとかなり小粒の種子です。

フウセンカズラとモクゲンジとオオモクゲンジとムクロジの種子の大きさの比較
種子の大きさの比較

どちらの種子発芽直前の割れ込みの入ったの種子と形が似ています。

オオモクゲンジとモクゲンジの種子拡大写真
モクゲンジ(左)とオオモクゲンジ(右)の種子
モクゲンジの種子拡大
モクゲンジの種子
オオモクゲンジの種子拡大
オオモクゲンジの種子

どちらもの構造はフウセンカズラと似て、3室に分かれた風船状の中央部に種子がつきます。

風船状の袋といっても閉じてません。

オオモクゲンジとモクゲンジの実と種子
モクゲンジ(左)とオオモクゲンジ(右)の実

モクゲンジオオモクゲンジは1室に1〜2個の種子がなります。

因みにフウセンカズラムクロジ科の植物で未熟な時のムクロジの種子も同じ構造です。

モクゲンジとフウセンカズラの実 比較 ▶


フウセンカズラムクロジは似ているけれど、種子を3つにするか1つにするかで決定的な違いが生じています。その事に関してはコチラ。

参照:ムクロジの花 受粉後 ▶


モクゲンジの種子とその断面の精細な写真が掲載されているすばらしいページがありましたので興味のある方はご覧になってください。

モクゲンジ種子 ▶ フラボンの秘密の花園

種子の中が経巻の形!? に見えます。

数珠の迷宮
モクゲンジとムクロジ

モクゲンジ木欒子)とムクロジ(無患子)はどちらも数珠に使われる木の実として知られていて、その起源はとあるお経に遡ります。

お釈迦様が「木槵子モクゲンジ)という木の実で作った数珠を使って佛法僧三宝の名を唱えるとご利益が得られる」と数珠について説かれた仏説 木槵子経 (もくげんじきょう) 。

参照:国立国会図書館デジタルコレクション
大蔵経抜鈔 [99] コマ番号24/99 仏説木槵子経

佛説木槵子経

時難國王名波流離來到佛所白佛言世
尊我國邊小頻歳寇賊五穀勇貴疾病流
行人民困苦我恒不得安臥乃至唯願世
尊特垂慈愍賜我要法使我日夜易得修
行未來世中遠離衆苦

佛告王言若欲滅煩悩障報障者當貫
槵子
一百八以常自隨若行若坐若臥恒
當至心無分散意稱佛陀達摩僧伽名乃
過一木槵子如是漸次度木槵子若十若
二十若百若千乃至百千萬若態滿二十
萬遍身心不亂無諸詔曲者捨命得生第
三燄天衣食自然常安楽行若復能滿一
百萬遍者當得斷除百八結業始名背生
死流趣向泥洹未斷煩悩根獲無上果
佛説醫喩經

(前半部抜粋)

この木槵子という難しい植物の名前がモクゲンジだったのか、ムクロジであったのかが、明確でなかったのが混乱の元だったのです。


元々サンスクリット語の原典に書かれていた木の実の存在を気候風土の異なる当時の異国人が漢訳する際に正しく知っていたのかは疑問です。

木槵子が原典通りの木の実だったとしても木槵子なる植物は日本に自生していませんでした。

木槵子と呼ばれる植物は仏教文化と共に渡来したので、この頃から数珠に使われる黒くて堅い木の実として、モクゲンジムクロジの混同が始まったと思われます。

※ここでいう木の実は正確には種子のこと。

モクゲンジの種子とムクロジの種子 比較写真
モクゲンジ (左)とムクロジの種子 (右)

この両者は種子の特徴が似ているだけでなく、どちらも羽状複葉をつける外来の落葉高木という特徴も似ています。

さらに名称に難読漢字があてがわれたせいで、識別する際に混同・混乱が起こり、今日に至っているように見受けられます。(以下 参照)


モクゲンジの名前の変遷(説)

木欒子モクランシ
 ↓
モクロシ
 ↓ 間違え
ムクロジ
 ↓ 訂正
木患子モクカンシ
 ↓
モクゲンジ
 ↓
木欒子モクゲンジ

ムクロジの名前の変遷(説)

 
 ↓
木桓子
 ↓
木患子木槵子モクカンシ
 ↓ 間違え
モクゲンジ
 ↓ 訂正
無患子ムクロジ


数珠の起源の木槵子はどっち?

個人的には仏説木槵子経木槵子種子耐久性質感珠数としての触り心地により、ムクロジ種子だと思っています。

モクゲンジムクロジについての考察はムクロジのページに詳しく掲載しているので、興味のある方は参考にしてみて下さい。

▶ 縁起の良い木の実 数珠

▶ 仏説木槵子経の木槵子とは?

▶ ムクロジの名前のルーツ

このページは「なんだろな」の中の
このページは「なんだろな」

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モクゲンジ