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おもしろい木の実 ムクロジ
ムクロジの成長

ムクロジの発芽から実ができるまでの成長過程

ムクロジの実と黒い種子

堅いムクロジの種子がどのように発芽するのかが気になって発芽実験をしたところ、とても興味深い発芽の光景に出会えました。

ムクロジの芽吹き

その後の成長と、あの不思議で魅力的な「ムクロジの実」がどのような経過をたどってを咲かせ、をならせるのか、成長過程を追ってみました。

追熟してオレンジ色になったムクロジの実

羽根つきの羽根数珠石鹸に使われたムクロジ文化歴史に関してはコチラ

おもしろい木の実 ムクロジ ▶

ムクロジの木と四季折々の姿はコチラ

ムクロジの木 ▶

ムクロジ種子の割り方種子新芽試食に関してはコチラ

ムクロジを食べてみた ▶

ムクロジの実

ムクロジの成長 メニュー


ムクロジの種子

黒くて丸いムクロジの種子はとても堅牢で、羽根つきの羽根の玉の部分や数珠として利用されてきました。

ムクロジの黒い種子

種子には種子形成に必要な栄養分が送られていたへそと思われる一文字ラインがあります。

ムクロジの種子とビー玉

大きさはビー玉よりやや小さめで、10mm〜15mmのものが多いです。

ムクロジの種子小さなものから大きなものまでを並べたところ

参考までに、上の写真で1番小さいものは 9m×11mm、1番大きいものは17mm×17mmです。

落ちるとカツンと心地良い音がしてコロコロとよく転がります。

ムクロジの種子の文化的な歴史等について興味のある方はコチラへ

参照:おもしろい木の実 ムクロジ ▶

ムクロジの発芽

ムクロジの種子を割ろうとした時にそのあまりの堅さに「こんなに過剰に堅くて発芽できるんだろうか?」と疑問がわいたので、種子を蒔いて発芽の観察をすることにしたところ5月の上旬に無事発芽しました。

土が盛り上がりダイナミックに姿を現したムクロジの双葉ピーナッツのように分厚くて大きいです。

ムクロジの双葉が土から姿を現し始めたところ
ムクロジの双葉が土から姿を現し、開き始めたたところ
ムクロジの発芽後、地面の中に残された堅い抜け殻

発芽後の根元を軽く取り除いてみると、地中に残された堅い抜け殻があります。

ムクロジの発芽後、地面の中に残された堅い抜け殻 拡大写真

は地中に埋まっているケースが多かったです。


発芽したたてのムクロジの全貌
堅い殻から発芽中のムクロジ

日陰環境での発芽はまるで、昆虫が羽化したかのよう。白っぽい新芽の脇に抜け殻の如く種子の殻がついていました。そのため、下のは重みで垂れ下がっています。

発芽したてのムクロジ
日陰環境で発芽したてのムクロジ
発芽したムクロジの種子の抜け殻
発芽したムクロジの種子の抜け殻
発芽したムクロジの種子の抜け殻

ムクロジの種子は問題なく発芽する

発芽適温になったのか、次々と発芽が始まりました。残されたはどれも堅いまま見事に割れていました。

どの一文字印の箇所に隙間が開いていて側面から3分の1ぐらいが同じ形で割れています。

相変わらず不思議な木の実ですが、どうやら何の問題もなくは割れて発芽できることがわかりました。

発根直前のムクロジの種子
発根直前と思われる膨れたムクロジの種子
土を洗うと黒光りしてブドウみたい
発根直前のムクロジの種子と乾燥したムクロジの種子との比較
乾燥したムクロジの種子(左) との比較
ムクロジが堅い殻を破って根を出したところ
ムクロジが堅い殻を破って根を出したところ 少し殻が乾燥している
ムクロジが堅い殻を破って発根している

種子発芽とは発根から始まる一連の過程のことを指し、幼根の先端が顔を出した時から始まるので発根が先でも発芽なんだそうです。参照:2-3. 種子休眠と種子発芽

発芽後の姿を観察すると、
殻から取り出したムクロジの中がそのまま展開したように見えます。


種子は水に浸せば発芽するか?

春にムクロジの種子を常温の水に浸して1ヶ月程、水を入れ替えながら経過観察。ふやけるわけでもなく目立った変化もありません。

発芽には水分だけでなく温度や光・酸素も関係ありそうです。それらをクリアした 効率的な発芽方法は、

▶魔法瓶でムクロジを発芽させる


発芽後のムクロジの舞

通常では普通に緑色に発芽します。

ムクロジの発芽
舞を舞っているようなムクロジの発芽

堅い殻を破るという一大事業を成し遂げて喜びの舞を踊り、をのばしているようです。

ムクロジの本葉が出てきたところ
ムクロジの本葉の展開写真
ムクロジの本葉が出てきたところの拡大写真
翼を広げるかのように見えるムクロジの苗
翼のように葉を広げるムクロジ

その後の様子は
発芽後のムクロジ栽培 ▶


発芽実験 おまけ

ムクロジの発芽
種からのカルス栽培で発芽したムクロジ

ムクロジの発芽率

冬に果皮を取り除いたムクロジの種子を場所や土質を変えて実験的に蒔いてみたところ、どの鉢も気温が高くなる頃に次々と発芽しました。

発芽率は良く、発芽気温はやや高めという結果になりました。

土が乾ききらないように管理するのがポイントのようです。

次々と発芽するムクロジ

その後の様子は、

参照:ムクロジプランター栽培 ▶

驚くべきことに8月の下旬に発芽したのんびり屋のムクロジもありました。中には翌年の夏に発芽をした超スロースターターのものもあり、ムクロジの種子にも個体差があるようです。


自然環境での発芽率は?

自然環境での発芽率は良いのでしょうか? 腐葉土たっぷりの陽当りの良い山の南側斜面にあるムクロジ林を初夏に訪れてみたら、とても沢山の苗木が生え揃っていました。

自然環境で密生して育つムクロジの苗木

更に、ムクロジの若木は冬には落葉してもついていないので同定できないでいましたが、若葉が茂り出すとその存在が明らかに。

しかも種子の転がる方向に集中的に自生しています。(笑)

この結果から、ムクロジは環境さえ合っていれば難なく発芽するという事がわかりました。ただ、ムクロジは大量にを落とすので、天然環境で発芽率が良いかは不明です。

自然環境でのびのびと育つムクロジの苗木

寺社仏閣や公園での発芽があまり見られないのは地面が堅く、土に潜り込めず、種子が乾燥してしまうからだと思われます。

初夏になっても堅い地面に散らばったままのムクロジの実や種子
初夏になっても堅い地面に
多数残ったままのムクロジの実や種子

追記:

熟す手前の種子の中を観察する機会に恵まれました。その結果、外見は同じように黒く見える種子でも中を見てみると残念なものも多々ありました。今更なのですが、発芽環境以前に種子の良し悪し重要であることを再認識させられました。

もちろん木なり完熟のは良いものが残るとは思われますが健全に育つ種子ばかりではないということをだけに実感しました。(笑)

参照:熟す前のムクロジの実 ▶

ムクロジの種子はどのように
堅い殻を破り発根するか?

ムクロジの種子はまず、堅い殻から姿を現し、後に双葉が出てくるという事がわかりました。しかし、発芽後の傍らに落ちていた抜け殻は堅くて、腐った様子もありません。

参照:ムクロジの発芽 ▶

ハンマーで叩いてもビクともしないほどのに堅い殻をどのように破り、発根しているのでしょうか?


気になって発根間近の種子を土から取り出して、観察をしてみました。

発根直前のムクロジの種子
発根したてのムクロジの種子
発根中のムクロジの種子

ムクロジの種子発根は卵から鳥のヒナが孵る時にクチバシで殻を割るように根が殻を割って出てくるような印象を受けました。

殻から出たてのヒヨコ
画像出典: 1wallpaper.net

必ず同じ向きで殻を破るので、種子を蒔く時にはへそにあたる一文字のラインを下にすると発根後の成長効率が良さそうそうです。


発根時殻の堅さはゴムタイヤ位脱皮する時の甲殻類の殻のように軟らかい状態になっていました。そのタイミングでが殻を押して割って出て来ているようです。

ゴムのように軟らかくなったムクロジの殻
指で押さえると、くにゃっと縮む程、
弾力がある発根中のムクロジの殻

まず最初に一文字の切れ込み部分に水分がしみこんで開き、次にそこから内と外、両側から水分がしみ込む事でがふやけて、軟らかくなり、が破れやすくなったのではないかと推測しています。


殻を取り除いた発根中のムクロジの種子
発根中のムクロジポット(渋皮付き)

を取り除いた発根中ムクロジの種子は急須のようでフタがついていてユニークです。ムクロジポットマトリョーシカのみたいにムクロジポットが入っていました。(笑)

このムクロジポットを土に埋めておいたところ、問題なく通常の発芽と同様に育っています。

発芽時新芽を土壌中の雑菌からガードする役割があるようなので、植えつけは清潔な土にするのが望ましいです。


発根発芽時にに大きく膨らんでいた抜け殻は乾燥すると、元の大きさに戻ってしまいました。

ムクロジの種子の乾燥中と発根直前と発芽後の抜け殻の大きさの比較
秋に収穫したムクロジ種子(左)
発根直前の種子(中央) 発芽後の抜け殻(右)
動物が舌を出しているように見えるムクロジの発根
動物が舌を出しているようにも
見えるムクロジの発根の瞬間
鈴のようなムクロジの種子の抜け殻
鈴のようなムクロジの種子の抜け殻

黒かった堅い殻は乾燥するにつれ、上記の写真のように黄土色のまだら模様に変化し、劣化していました。

魔法瓶でムクロジを発芽させる

ムクロジは種子を少なくとも24時間温水に浸す事で発芽がしやすくなる

と、いう内容が書かれている海外の文献を見つけました。(以下参照)

Sapindus Mukorossi.com-The Complete Soapnut Guide!

24時間以上の温水をキープできて、暗い環境を兼ね揃えることのできる魔法瓶を使用してムクロジの種子発芽しやすくなるかを実験。結果はみごと成功しました!

ぬるま湯に浸して発芽し始めたムクロジの種子
24時間で殻を割り始めたムクロジの種子

実験の手順

昨年の秋に採取したムクロジの実果皮を取り除いて中の黒い種子を洗います。次に、その種子を湿らせたキッチンペーパーで包んで小さめのチャック付きポリ袋に入れ、40℃位のぬるま湯の入った魔法瓶に入れて24時間放置しました。

※温度は下がることを想定して若干高め

※実験は6月の中旬に実施

魔法瓶を使用してムクロジの種子を発芽させる手順

実験の結果

すると驚くべきことに、1粒が見事に発芽の兆候を見せていました!

ぬるま湯につける事で殻がふやけると同時に中身が成長したようです。

ぬるま湯に浸して発芽し始めたムクロジの種子
24時間ぬるま湯に浸していた種子

通常の発芽と異なり、一文字の切れ込みは開いていませんでした。

充分な温度湿度があれば、一文字の切れ込みが開かなくてもムクロジの種子は膨張して発芽しやすくなるようです。

但し、5粒中1粒の発芽でしたので種子の質に問題があったのかもしれません。予め水に沈めて種子を選抜しておくのが良いと思われます。


魔法瓶発芽のポイント

魔法瓶を利用して発芽をさせる時は良い種子を選び、ポリ袋に若干空気を入れておく事がポイントです。

また、ぬるま湯の温度は熱すぎない温かい温度、いい湯加減位を目安にしました。というのも、ムクロジは本来、熱帯や亜熱帯に自生する植物だからです。


殻の中の様子

中の状態はどのようになっているのでしょうか?を外してみることにしました。

ゴムのように軟らかく、簡単に取り除くことができます。

殻から取り出したムクロジの種子
殻の中の発芽前のムクロジの種子
発芽前の殻から取り出した
ムクロジの種子の殻と中身一式

種子という堅い殻に保護されるため、表面を覆う種皮は渋皮のように薄いです。

幼根が伸び始めていますが発芽まではもう一歩のようです。

この状態のままではかわいそうなので土に埋めてみたところ、10日ほどして出芽しました。

ただ、が無いせいで土汚れが薄皮にまとわりついて雑菌が繁殖しやすそうでした。堅い殻出芽の際に土から子葉を保護する大切な役目も担っているようです。


今回の実験でムクロジを発芽させるにはぬるま湯を利用して湿度適温環境を保つのが効果的だということがわかりました。

また、ムクロジの実をまるごと適温の水に浸しておけば、果皮魔法瓶の役割をするかも!?

参照:ムクロジの果皮は発芽用のゆりかご!?

それにしても、ムクロジといったら魔法瓶ですね!(笑)


追記:

中には発芽しそうに膨らんだものの10日程変化の無いように見える種子がありました。

気になって種子の中を見てみると、何となく銀杏のような臭い。中身は水にふやかした大豆みたいな質感で、健全なものに見えます。しかしを割る幼根の勢いがまったくありません。この状態でじわじわと発根を狙うものや間に合わずに腐ってしまうものもあるのかもしれません。

8月の下旬に発芽したムクロジはこういうものだったのかもと推察中です。因みに種子は丸1年カラカラに乾燥させたものです。

膨張して発芽兆候のあるムクロジの種子とその中の殻から取り出したムクロジの胚

※実験は11月の中旬に実施

ムクロジを発芽させる方法

ムクロジの観察をして、このようにしたら、発芽しやすいのでは、と考えた方法のまとめです。


種まきは一冬越して寒さを経験した春から初夏の暖かくなってきた頃が良いと思われます。

まず、良い種子を選抜します。

果皮を剥き、外見の傷んでいるものやカビの生えているものは取り除きます。次に、種子を水に入れ、沈んだ種子だけを残します。

※多少カビが生えていても無事発芽した種子もありますが、発芽率を上げるため選抜。

発芽しやすくするためにヤスリ等で種子に傷をつけ、上述した魔法瓶でムクロジを発芽させるを試みます。


その中から膨らんだ種子を選び、種子のへそにあたる一文字ラインを下に向け、土に2.5cm程の深さに埋めます。土質はあまり選びませんが、水はけが良く、保水性のある清潔な土にすると無難です。

ムクロジの種のまき方

保温乾燥防止兼ねてをポリ袋等で鉢を覆います。(空気穴を開けておく)

陽当たりの良い暖かい場所で管理。


苗になったら底の深い鉢に植えつけます。その際、根を傷つけないようにします。肥沃な湿った粘土質の土が適しています。


※順調に育てば、70年後には樹高が約25m、胴回りは3〜5mに達する巨木となります。

その結果、邪魔者扱いされ、あちらこちらで伐採されてきたようです。そう考えると剪定はしっかりしなければなりませんね。

ムクロジ種子の散布戦略について

ムクロジ水散布でも子孫を増やしその際、水にぷかぷかと浮いて移動し、やがて陸地に上がってからが出てきて発芽する。

という情報をいただきました。

水散布とは河川・海流・湖沼等、水を利用して運ばれる果実種子のことです。


そこで、ムクロジ種子散布戦略について考えてみました。

ムクロジ種子は比較的重さがあるので、木からがコロコロと落ちて散らばる重力散布方式は陽当りの良い山の斜面なら効果的です。

山の斜面に広がるムクロジの林

しかし、ムクロジの場合1本の樹が巨木で場所を広く必要とするために大量のが落ちても、過密になり過ぎて、将来的には無駄に終わってしまいそうです。

地面に落ちたムクロジの実

しかも、果皮のサポニンによる防御ならびに、類い稀なる堅い殻の種子により昆虫による拡散も難しそうです。

初夏になっても食べられずに残るムクロジの実

※お試しで齧る動物もいたり、種子ネズミリスなどの食料になりそうですが

そこで、情報提供いただいた水散布について考えてみました。


健全なムクロジの実のオレンジ色のハードシェル防水性で、空気入りのため、水に浮かんで移動をするというのはありえそうです。

水に浮くムクロジの実
乾燥させたムクロジの実を水に浸す
1日たっても浮いている

しかも、ムクロジの本来の生育適地降水量の多い温かい地域 (年間降水量が1,500〜2,000mm) なので、スコールがあり、川辺の近く土砂流出もあるという事も考えられなくもない。適正土壌も深くて肥沃な湿った粘土質と言われています。


また、ムクロジの学名はインド産の石鹸 ムクロジで、名前の由来からもわかるように石鹸の代用として利用されていた事が多いようです。石鹸という事は洗濯をしていたという事で水の豊富な地域で育っていたという事を窺い知る事ができます。

ということは、ムクロジ種子拡散戦略の中に水散布も併用されていた説もアリなのではと思い巡らしているところです。


果皮にはがあり、種子はとてつもなく堅い、鉄壁の護りに徹したようにも見えるムクロジの種子

その保存戦略に対し、
「やり過ぎなのでは何もそこまでやらなくても」などと考えていましたが、さらにその場に留まらず、より広域への種子拡散まで!?

水に浮いて漂流するという移動手段を得るために果皮を乾燥して空洞を作り、かつ保存性を高めているのだとしたら、本当にどこまでもスゴイ種の保存戦略です。

「どんぐりコロコロどんぐりこ」のように転がって川に落ち、桃太郎の桃のようにどんぶらこっこと川下りしながら冒険の旅をするムクロジの実を想像すると愉快で楽しいです。


その後、ムクロジの実を水に浮かべて一週間程放置しておいたところ、水に浮かんだままでしたが、シェルが腐敗し始めました。

いつまでもプカプカ浮いて遥か遠くへ移動し続けても良い土地にたどり着ける保証もありません。

生息域を広げたいが、遠すぎるのは適合できないかもしれない

このあたりがムクロジ種子水散布の落としどころなんでしょうか。


ムクロジの果皮は発芽用のゆりかご!?

ムクロジの果皮防水性を見るためにムクロジの実を丸ごと魔法瓶に入れて温水に浸してみました。

(使用した種子は昨年拾ったもの)

半日程放置して果皮の中を確認したところ、防水かと思われた果皮には水が入っていて中の種子も濡れていました。しかも膨れて発芽の兆しが見られました。

果皮完全防水ではなくて、適温であれば程よく水を通すようです。

また、水分を含んだ果皮は不透明で厚くなってふやけていました。

中まで水が染み込んだムクロジの実
中まで水がしみ込んだムクロジの実

この果皮こそ適温の浸水という条件下で保温保水遮光という3拍子揃った魔法瓶の役割をして、発芽に役立っているのかもしれません。

水温の高くなる地域や夏に水散布されたムクロジの果皮シェルターの役割を持つ ゆりかご のようです。

ムクロジポットはやはり魔法瓶 !?

乾燥すると透明感のでてくるムクロジの果皮
果皮は乾燥すると透明感が出る

参照:魔法瓶でムクロジを発芽させる ▶


因みに魔法瓶に入れずにただの温水に浸したものは果皮はふやけたものの浸水はなく、中の種子にも変化は見られませんでした。発芽のために適切な温度はとても大切な条件だと言えるようです。

発芽後のムクロジ栽培

発芽後、そのままムクロジを栽培し続けたところ、順調に育ち、子葉は痩せて黄色くなって一枚ずつ落ち、本葉は対角セットで交互に出続けています。

ペットボトルで育つムクロジの苗

日当たりの良いところで育てていた為か節間はわりと詰まっています。

遠目に見ると藤の葉と雰囲気が似ています。

発芽40日後発芽後40日たったムクロジの苗拡大写真
発芽後40日のムクロジの苗

発芽後40日程経つとペットボトルで育てた苗の底までが達しましたので植え替えの時期です。

植え替えをするにあたり、の様子を見てみました。

ムクロジの苗の根を含めた全体画像
ムクロジの苗の根写真
ムクロジの苗の根拡大写真
発芽後40日のムクロジの苗の根

が長いという情報がありましたので、どんなか気になっていましたがこんな感じなんですね。

観察のダメージを減らすように植え替えは梅雨空の中行い、無事終了しました。我が家のムクロジは試錬がいっぱい、ゴメンナサイ。(笑)

現在、2段式ペットボトル鉢で順調に育っています。


その後の様子はムクロジプランター栽培に記載してあるように無事元気に育っています。(▼下記参照)


ムクロジプランター栽培

ムクロジの発芽率で実験して発芽したのその後の様子です。7月上旬にはプランターを覆い尽くすほどになりました。特に手入れはしていません。

次々と発芽し、プランター一杯に茂るムクロジの苗

その後も順調に育ち、10月中旬には生い茂るようになりました。

プランターに茂るムクロジの苗

11月下旬にはきれいに黄葉し、を落とし始めました。

1年目のムクロジの黄葉
ムクロジ1年目の苗の落葉する頃

育ちにはバラつきがあり、樹高は8〜52cm、幹周り1.1〜2.5cm程といろいろですが、高さ30〜40cm位のものが多いです。


落葉後のムクロジの葉痕

落葉後、ユニークな顔の葉痕が姿を見せました。

葉痕(ようこん)とはに残るのついていたのことです。

葉痕の上にある丸いのが冬芽で、主芽副芽がついているようです。

1年目のムクロジの葉痕
かわいいムクロジの葉痕
春に発芽したムクロジの木の葉痕

厳しい冬も問題なく乗り越え、順調に育っています。

厳冬期のムクロジの葉痕
寒波到来中の葉痕 青ざめています

その後の様子は、

参照:発芽から1年たったムクロジの成長


表情豊かなムクロジの葉痕

-10℃近くになった冬の寒さも耐え2度目の春を迎えようとする個性派揃いの面々。

2度目の冬を越えたムクロジの葉痕

発芽から1年たったムクロジの成長

発芽から約1年、厳しい冬の寒さを乗り越え、美しくて力強い芽吹きの季節を迎えました。

1年目のムクロジの芽吹き始めた頃
1年目のムクロジの芽吹き
1年目のムクロジの芽吹き 勢い良く羽状複葉を延ばし始めている。
発芽から1年 ムクロジ苗の芽吹き
わずか数日でどんどん姿を変えます

美しいムクロジの葉の展開
光輝く美しいムクロジの葉の展開
美しいムクロジの葉の展開

芽吹きの頃の躍動感と美しさはとても感動的なのですが、すっかりが出揃う頃になると急に生い茂って、広い場所を占拠するので、悩ましい存在となってしまいます。


その後のムクロジの芽吹き

そして、発芽から5年。高木にならないよう日陰で枝を切り詰めながら育て続けているのでさほど大きくはなっていませんが4月上旬に芽吹き始めています。

ムクロジの葉痕の上についた葉芽が膨らみ始めている様子
4月上旬、膨らんできたムクロジの葉芽
かわいいムクロジの葉痕と芽吹きの様子

桜の花が散る頃にの展開が始まります。

ムクロジの芽吹きの様子

芽鱗と思われる単葉状のものが開いて羽状複葉新葉の登場。

6年めのムクロジの芽吹き

新葉が出てきた様子はバナナの皮を剥いて出てきたような雰囲気で面白いです。

葉を展開し始める前のムクロジの芽吹き

ムクロジ新芽はやや大きめでしなやか。クセもさほどないので少量を山菜のように食べるのが年中行事となっています。(笑)

参照:ムクロジの新芽を食べてみた ▶

しなやかに伸びるムクロジの芽

ムクロジの芽吹きと葉痕

ムクロジには主芽と、いざという時のための控えの副芽があるそうですが冬季は小さくて判明しにくいので芽吹きの頃に観察してみました。

葉痕の上から芽吹き始めたムクロジ

葉痕の上に縦に並んで2つのがあるものが多く見られます。芽吹いているものは上の方なのでこれが主芽ということになります。

ムクロジの葉痕の上にある主芽と副芽
ムクロジの葉痕の上にある主芽と副芽 主芽の芽鱗が膨らんで芽吹きが始まるところ

副芽が2つあるものもありました。上から順に大きいです。

主芽の下に副芽らしきものが2つ見られるムクロジの葉痕の様子
主芽の芽鱗が開き始めたムクロジ

主芽だけで副芽がないように見えるものもあります。

ムクロジの緑色の葉痕の上の芽が膨らみ始めているところ

勢いよく展開し始めた頂芽の下から芽吹いているのは副芽でしょうか。

頂芽が勢いよく伸び始めたムクロジ
頂芽の下の副芽が芽吹き始めたムクロジ

ムクロジの葉柄の色の違い

発芽したものを観察していると成長と共に葉柄赤くなるもの緑色のままのものがあります。さて?

経過観察をしてみると、陽当たりの良い所で育てたムクロジ葉柄に赤い傾向があるようです。

ムクロジの葉柄

そこで日陰にあったムクロジの鉢を日向に移動してみると、緑色だった葉柄が赤味を帯びてきました。

葉柄の色の違い陽当たりに関係がありそうなので、剪定された樹高の低いムクロジの木を観察することにしてみました。

すると、同じ木でも陽の当たる上部の葉柄は赤味を帯びているのに対し、茂みに埋もれている日陰部分の葉柄は緑色のままです。

そして、出たばかりの若葉の葉柄はまだ鮮やかな新緑色です。

同じムクロジの木でも陽当たりの良い場所では葉柄の色が赤い
陽当たりの良い場所の葉柄
同じムクロジの木でも陽当たりの悪い場所では葉柄の色緑色
陽当たりの悪い場所の葉柄

また、我が家で育てているムクロジの中でも最も陽当たりの良い場所のものは葉柄裏側葉脈までもが赤い色に変化しています。

裏側まで赤くなったムクロジの葉柄と葉脈
裏側まで赤くなったムクロジの葉柄と葉脈 拡大
赤くなったムクロジの葉柄と葉脈 拡大
陽の当たる所で育った
ムクロジの葉の表側

整枝を終えたムクロジの葉を見比べてみると、陽当たりの良い所の葉柄が赤くて太く、も大きいです。

色の異なるムクロジの葉柄
色や太さの異なるムクロジの葉柄

さらに、本年枝陽当たりの良い側赤い色に変化しています。

陽の当たる側だけが赤くなったムクロジの幹
ムクロジ本年枝の日当たりによる色の違い

これらの観察結果から、葉柄の色の違い陽当たりや紫外線に因るものであると判断したいと思います。

それはさておき、黄葉の頃になると赤い葉柄のものの方が黄色と赤色のコントラストがあってきれいです。

参照:秋のムクロジの木 ▶

ムクロジの花

ムクロジは枝先の大きな円錐花序に小さなをたくさんつけます。

枝先にたくさんつくムクロジの円錐花序

雌雄同株で、雌花両性花)・雄花同一花序につけます。

ムクロジの雄花と雌花 (両性花)
ムクロジの雄花と雌花(両性花)

ムクロジの花は萼片・花弁がともに4〜5枚同数で、雄しべが8〜10本あります。

しかも産毛に覆われています。黒い種子一文字付近についている産毛とよく似ています。この産毛花粉をよりたくさんつけさせるための作戦なんでしょうか。

ムクロジの雌花 拡大写真
ムクロジの雌花
ムクロジの雄花 拡大写真
ムクロジの雄花
画像出典:植物形態学 ムクロジ(ムクロジ科)

産毛まで見えるムクロジの花の鮮明画像がコチラで確認できます。

写真クリック 上記出典ページ


ムクロジの花の蕾

5月の下旬、枝先の円錐花序が姿を現しました

初夏のムクロジの蕾
ムクロジの蕾拡大写真
ムクロジの蕾拡大写真
ムクロジの花の蕾

ムクロジの雌花((両性花)

がついてしばらくしてやっとが咲き始めたので見てみると、雌花 (両性花) だけが先に咲いています。

ムクロジの花
ムクロジの雌花拡大写真
ムクロジの雌花(両性花)

雌花にも両性花のようにも見えます。
雌花雄しべが機能しているかは不明なのでとりあえず雌花(両性花)としておきます。

ムクロジ雌花 (両性花)の雄しべ雄花雄しべと比べて短くて離れているのは自家受粉を避け、より良い種子を残そうとしているからだと思われます。

また、雌しべの基部にある花盤からを分泌して虫を誘引して、確実に種子を残す仕組みになっています。

その作戦が功を奏して、がたわわになっているんですね。


ムクロジの雄花

1週間程して王冠みたいな形の雄花も咲き始めて賑やかになりました。

ムクロジの雄花
ムクロジの雄花
ムクロジの円錐花序

雄花虫の振動で雨が降るように、ぱらぱらと咲き終わったを落とします。地面はたくさんの雄花で敷きつめられます。


ムクロジの花盛り

花盛りには受粉を終えた雌花から、多くのを残す花序までいろいろな状態の雌花雄花が混在します。

ムクロジの花の両性花と花粉の輝く雄花
ムクロジの花 拡大写真
受粉を終えた雌花も混じるムクロジの花 拡大写真
雄花の多いムクロジの花序

いくつかの花序を観察したところ、雌花の多い花序や雄花ばかりが多い花序があるようです。


ムクロジの花は虫媒花

花粉の目立つ雄花が咲き出すと、次々と蜜蜂がやって来てのまわりを忙しそうに動きまわっています。

ムクロジの花蜜蜂に大人気!昆虫授粉に一役買っているんですね。

おいしそうにムクロジの花にかぶりつくかわいい蜜蜂
ムクロジの花と授粉する蜜蜂
ムクロジの花と授粉する蜜蜂

泉の森自然情報~ムクロジに集まる虫たち~【自然観察センター】
ムクロジの花に集うハチ達の鮮明な姿が紹介されています。

ムクロジの花 受粉後

7月中旬、ムクロジの花受粉後の様子です。花穂によってのなり方に差があります。当然雄花ばかりの花穂にはがなっていません。

受粉後のムクロジの実
実の多い受粉後のムクロジの実
受粉後のムクロジの実拡大
受粉後のムクロジの実の拡大
受粉後のムクロジの実

受粉後のムクロジの実の中の様子

ムクロジの実果実に育つ3つの袋が用意されているので、3つの心皮を見ることができるはずです。

そこで、まずは横に切って断面を見てみました。

受粉後のムクロジの横断面
受粉後のムクロジの実 横断面

次にについている2本の割れ目に沿って切ってみました。

受粉後のムクロジの横断面
受粉後のムクロジの実を
縦の切れ目で3つ割ってみた

中の封を開けてみると白い卵のようなものが1つずつ入っています。

これは胚珠で、将来あの黒い種子になるようです。

受粉後のムクロジの横断面
それぞれの封を開けると
白い種のようなものが入っていた

同じムクロジ科の植物だけあって、この時点ではフウセンカズラの実と構造がよく似ています。

フウセンカズラ断面
出典:ウィキメディア・コモンズ photo by H. Zell

発芽の様子もよく似ています。

参照:フウセンカズラの成長 ▶

ムクロジの実 成長過程1

ムクロジの実成長の様子です。

7月下旬、小さいながらムクロジの実らしい形になってきました。

枝についっているムクロジの若い実

の殆どは3つの袋のうち1つの袋だけが大きくなり、ラクダの蹄つきのムクロジポットみたいな形になっています。中には2つの袋が膨らんでいるものもあります。

1心皮と2心皮のムクロジの若い実拡大
枝についっているムクロジの若い実拡大
7月下旬ムクロジの実

実になり始めた頃の中の様子

この時点のムクロジの実の内部はどうなっているのでしょうか?

種子になる部分を傷つけないようにして、を縦に割ってみました。

ポットフタの内部には白い綿毛がびっしり!名残はあるものの種子の赤ちゃんはありません。

の中の上部(枝についている側)はパンヤみたいな白い綿毛で覆われていて、種子の赤ちゃんを大切に包んでいるように見えます。

ムクロジの若い実内部
未熟なムクロジの実内部

果皮ゆりかごから墓場までの如く次世代に繋げるべく種子を守り続けるシェルターとなります。

種の赤ちゃん果皮と接合されている部分にはみたいに白い一文字の線があります。ここは栄養や水分をもらうためのへそのようです。

ムクロジの若い実内部
ムクロジの種の赤ちゃんを
とり出したところ

成熟した黒くて堅い種子一文字の線付近に残っている白い綿毛はこの時点からあったんですね。

参照:ムクロジの種子の一文字の線 ▶


また、2つの袋が大きくなったの成長も同じようです。

2つの袋が大きくなったムクロジの若い実
2つの袋が大きくなったムクロジの若い実内部
2つの袋が大きくなった
未熟なムクロジの実の内部

実になり始めた頃の種子の中

更にこの未熟な種子を縦に切ってみたところ、下の部分は空洞でわずかに液が滴ります。もちろんの事ですが、まだとても軟らかいです。

ムクロジの未熟な種縦断面
未熟なムクロジの種子の縦断面

白い綿毛の役割は?

ムクロジの実の中にこれ程たくさんの白い綿毛があるとは意外でした。

白い綿毛はトライコームと呼ばれるものだと思われます。

参照:フカフカ植物・うぶ毛の正体 ▶


ちょっと寄り道:産毛
ソラマメのふかふかベッド

ベッドのようなソラマメ白い綿毛は環境の変化に弱い若い豆寒さ乾燥から守り、葉や根から送られてきた養分の一時的な貯蔵庫としての役割を持ち、の成長に合わせて栄養を送り込んでいるのだそうです。

ソラマメのふかふかベット
ソラマメのふかふかベッド 拡大
ソラマメのふかふかベッド

試しに綿毛の部分を生で食べたところ、少しボソボソとした食感ですが甘いです。オーブンレンジで皮ごと焼くと、綿毛の部分がとろ〜りとしたクリーム状になって甘くて意外とおいしいです。素敵な綿毛種子の保護だけでなく、栄養の貯蔵も確実にしている優れものでした。

オーブンレンジで焼いてクリーム状になったソラマメのふかふかベッド

ソラマメについてはこちらに詳しく記載しています。

参照:白いふかふかベッド ソラマメ ▶


そこまで高機能ではないかもしれませんが、ムクロジの実白い綿毛も同様の役割があるのかも!?

また、ムクロジは風通しの良い広々とした場所に生える高木で、は長期間枝先に鈴なりになっています。

白い綿毛果実の柄に近い方に集中しています。なので、風に揺さぶられる時の緩衝材の役割もあるのでは、と推測中。


あの堅牢過ぎる黒い種子といい、果皮に含まれるサポニンといい、この綿毛といい、ムクロジ種の保存の戦略護りに徹底した慎重派という印象が否めません。

ムクロジの実 成長過程2

ムクロジの実成長の様子その続きです。

8月下旬、枝先のムクロジの実の姿が目立つようになってきました。

枝先に目立つようになってきたムクロジの若い実
枝先に目立つようになってきたムクロジの若い実 拡大

台風や嵐が過ぎ去ると、たくさんの未熟果が落ちています。

重心のバランスが悪いのか2心皮が発達した双子の実の落ちている比率が高いです。3心皮共発達した三つ子の実も落ちていました。

落ちたては緑色のパッツンパッツンのですが、ややもすると乾燥して皺がより出します。

心皮については、
▶ムクロジポットのフタの謎

いろいろな形のムクロジの若い実
いろいろな形のムクロジの若い実

成熟した堅い黒い種子にどうやってが入るのか疑問があったのですが、どうやら、このやわらかいの時期にが内部に入るようで、の痕跡のあるも多々見られました。

どんながいるのか興味のある方は

参照:ムクロジの種子を食べる虫 ▶

ムクロジポットのフタの謎

魅力的なムクロジの実

ムクロジポットフタは通常ラクダの蹄のような形ですが、の部分が2つ膨らんでいたり、片側だけ膨らんでいたりと様々なバリエーションがあります。腫れ上がったような実が2つくっついているものもあります。この違いはいったい何なのでしょう?

参照:楽しい形のムクロジの実 ▶

いろいろなバリエーションのあるムクロジの実のポットの蓋

そもそもムクロジポットフタは、なぜこんな形体なのでしょうか?

いろいろなムクロジポットのフタ

ポットのフタ付きのようなムクロジの果実|のん木草・みどり見て歩きさんのブログで謎が解き明かされていましたので以下引用させていただきます。

枝に付いている部分に、ポットのふたのように見える不思議なものがあります。これは、雌花の時に、将来、果実に育つはずの三つの袋が用意されていますが、実際に実に育つのは、一つだけで、残りの二つの袋はしぼんでつぶれ、柄の傍らに痕跡として残っているのです。専門用語で言えば、花の子房は袋状で3つにさけ、3つの心皮からできています。受粉して、それぞれ独立して分果し、そのうち1つが大きくなります。未発達の2つの果実はしぼんでつぶれ、大きくなった果実にくっつきます。

という事だそうです。なるほど!

参照:▶ 受粉後のムクロジの実の中の様子


ムクロジポットフタの部分にと似た半透明のみかんの実のような質感のものがあったのもこれで納得。

ムクロジの心皮の成長過程
フタの2つの心皮も果実化しそうなムクロジの実
ラクダのようなフタが果実化しているムクロジの実
フタの1つが果実化しているムクロジの実

時折2つや3つのが育ったものを見かけますが、それもおもしろい形で楽しいですね。

ムクロジの双子の実
二つの心皮が大きくなったムクロジの実

2つの心皮が大きくなったムクロジ双子の実フタに三つめのの痕跡も見られます。

ムクロジ三つ子の実

3つの心皮が大きくなったムクロジ三つ子の実フタがありません。


ムクロジポットのフタの内部

種子予備軍が3つあったということは当然ポットフタラクダの蹄部分種子が入っている可能性がありそうで、膨らみがあります。

ムクロジの実の上の部分

中を見るとムクロジの堅くて黒い種子についていた産毛と同じ質の白い綿毛がびっしりと詰まっています。

ムクロジの実の上の部分の内部
ムクロジポットのフタの中

わずかですが、黒い種子らしきものが入っているものもありました。

上記の写真の中央、種子らしきものは1つのものが割れている状態。


台風の通過後に落下していた未熟果ポットフタの内部を調べてみると、種子らしきものがあり、その中を確認すると、もっさりとした暗褐色のものが詰まっていて、残念ながら、にはなっていないようです。

種子らしきものが入っているムクロジの実のフタの部分
種子らしきものが入っている
未熟なムクロジの実のフタの部分

10月下旬に拾ったムクロジの中で、ポットの蓋部分が異様に大きかったものの内部にはこれまでに見た中で一番小さなムクロジ種子が入っていました。

ムクロジの実の上の部分に入っていた小さな種子

天地約9mmで通常サイズの種子と比べるとこんな感じです。

ムクロジの実の上の部分に入っていた小さな種子とポットに入っていた通常サイズの種子

結果として種子になるものが入っているフタもあるという事がわかりました。この部分が発達して育てば、双子三つ子となるのですね。

ムクロジの種子 成長過程

7月下旬〜8月下旬にかけて、台風通過後にたくさんのムクロジの未熟果が落ちていました。

その中を観察してみると、偶然にも種子の様々な成長過程を見ることができました。

想像を遥かに越えた生命の神秘の姿がそこにありました。とても不思議な興味深い姿に感動しました。


7月下旬 果実と種子内部の様子

7月下旬、ムクロジの実 成長過程1ムクロジの実の形らしくなり始めた頃の果実の断面。

ムクロジの実の形らしくなってきた頃の果実の断面

種子の下半分くらいの位置に空洞があり、透明な液体が入っています。


8月下旬のムクロジ未熟果

8月下旬、ムクロジの実 成長過程2の青いながらムクロジの実といった感じになってきた頃のは大きさや色、質感は似たり寄ったりで、外見からはわかりませんが、中身の成長具合には個体差があって有意義で楽しい観察となりました。


ムクロジの未熟果の果皮をはずす

まず、ムクロジポットのフタのような部分をはずしてみました。

ムクロジポットのフタのようなところをはずした未熟果

この時期の果皮はわりと簡単に手でむくことができます。の中には銀杏や茹でた枝豆のような緑色の丸い種子が入っています。種子の間に隙間はなく、の内側はちょっとペタペタとしています。

果皮の内側のムクロジポットフタ側には産毛があります。

ムクロジの未熟果をむいたところ 上面と横面
上面(左)  横面(右)
ムクロジの未熟果をむいて取り出したところ
ムクロジの未熟果の皮をむいたところ
ムクロジの未熟果内部の産毛
ムクロジの未熟果 内部の産毛

8月下旬 種子内部の様子

果実はまだやわらかく、カッターで簡単に半分に割ることができます。

ムクロジの未熟果の種子の中は液体で満たされている

種子の中の液体の比率と量が増え、表面張力のせいか濃度が濃くなったのかジェルっぽく見えます。

果実ごと種子を縦半分の割ってみると、斜め下の方に何やら緑色のものができています。液体は半分に割った時に流れ出てしまいました。

ムクロジの未熟果の種子の中の液体の下の方で育つ葉のようなもの

この斜め下の位置は将来の幼根部分のあたりです。どうやらこのあたりから発生して成長するようです。

ムクロジの未熟果の種子の中の液体の下の方で育つ葉のようなもの拡大写真

また、あるものは緑色の葉っぱ状のものが液体の中で浮いています。

まるで羊水の中で育つ胎児のようですが、へその緒のようなものは一切無くて笹舟が浮かんでいるようでもあります。

ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育つ新芽のようなもの
ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育っている新芽のようなもの
ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育つ新芽のようなもの 拡大写真

※2枚に割れて見えるのはカッターの切れ込み痕で本来は1枚の葉のような形。


どうやら種子の中の液体培養液の働きをしているみたいです。

液体からいきなり発芽したかのような印象です。きれいな緑色の新芽状の固体が姿を現したのには驚きました。初めて見る光景です。

ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育った新芽のようなものを取り出したところ

液体はココナッツの未熟果に見られるココナッツジュース(液状胚乳)みたいなものでしょうか?

この緑色のものを取り出して見てみると、子葉のような形です。小さくてやわらかいので取り出す時に先端を少し傷つけてしまいました。

ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育った新芽のようなものを取り出したところ拡大
葉っぱようなものが出現

その他の未熟果種子の中にものようなものが入っていました。

ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育った新芽のようなもの拡大
ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育つ透明感のある新芽のような胚を取り出したところ

透明感のあるものもあります。

ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育つ透明感のある新芽のような胚

もう少し大きく成長しているものもありました。

ムクロジの未熟果の種子の中の液体中で育つ葉のようなもの拡大写真
ムクロジの未熟果の種子の中の液体中で緑色の胚 拡大写真
ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育つ新芽のような胚
ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育つ未熟な胚

中には虫にやられたのか痛んで変色していたり、正常な形でないものもあります。

ムクロジの未熟果の種子の中の液体で育っている新芽のようなもの

こちらは白い渋皮のようなものに包まれた新芽のようなものが丸まっていて液体は殆どなくなっています。

ムクロジの未熟果とその内部 白い渋皮と渋皮を外したところ
ムクロジの未熟果と成長過程の渦巻く緑色の胚

できたてのムクロジバターロール

こちらはさらに渦巻き状に丸まって大きくなっています。

ムクロジの未熟果とその内部に渦巻く緑色の仁
ムクロジの未熟果内部に渦巻く緑色の仁

おそらくこれができたてので成長過程での最大限の大きさではないでしょうか。できたてのバターロールみたいで美味しそう。

ムクロジの未熟果内部に渦巻く緑色の仁 拡大写真
ムクロジの未熟種子の内部
ムクロジの未熟果内部断面
ムクロジの未熟種子の内部 断面
ムクロジの未熟果内部と仁をとりだしたところ
ムクロジの未熟の種子から
新芽状のものををとりだしたところ

取り出してみると、黒い種子の中に入っていたナッツと同じ形です。

これから乾燥して完熟へのプロセスに入るのですね。

成熟したムクロジの種子の中身
成熟したムクロジの種子の中身
ムクロジの未熟果内部断面
未熟なムクロジの種子の中身

発芽の様子で確認したように、子葉が重なって巻いた状態のものと胚軸殻を突き破る根となる部分がセットになったものでしょう。

このボリュームは発芽時堅い殻を破るため、相当なエネルギーが要るからなのでしょうか?あるいは過酷な状況下で長期間待機できるための備蓄でしょうか。


おいしそうなムクロジの種子の中

ツヤヤカできれいな緑色のできたてバターロールはむっちりとして肉厚で、とてもおいおいしそうです。

ムクロジの未熟果内部の胚

恐る恐る食べてみたところ、シャクシャクッとした歯ごたえと爽やかな風味と旨味があって、かなり美味。ビックリです!!

ムクロジの仁にはタンパク質と脂肪が含まれているというから、緑色の芽の赤ちゃんにもそれなりの栄養がありそうです。スプラウトはかなり苦かったですが、当然ながら状態によって栄養価は異なるので、味覚も変わるのでしょう。


種子の観察こぼれ話

種子の皮を切る時にカッターナイフの歯が少々黒ずみましたが、これはタンニンによるものでしょうか。


また、果皮をむくと接着剤のようにペタペタします。ちょっと水をつけて拭き取ろうとしたら泡がたちました。これはムクロジサポニンによるものなんでしょうね。

ムクロジの種につく泡
ムクロジの種子にシャボン玉

参照:石鹸として使われていた ▶

熟す前のムクロジの実

高い枝先にたわわに実るムクロジの果実

10月中旬の高い枝先に実るムクロジの果実の様子です。

高い枝先に実るムクロジの果実
高い枝先に実るムクロジの果実拡大

乾燥してシワがより始めたものや、まだまだパッツンパッツのなど、同じ枝でも様々です。


近くでの観察は無理なので、新たに落ちたと思われるムクロジの実を探して拾ってみました。

すると果皮が乾燥してシワがよって少々堅くなっていました。まだ緑色ながらムクロジの実らしい雰囲気に変化していました。

乾燥してシワがよって少々堅くなった緑色のムクロジの実

熟す前のムクロジの実の中

果皮をむいて中を観察してみると、個体差はあるもののほとんどの種子堅く褐色〜黒色になっていました。また、果皮種子に密着していてムクロジ特有の甘酸っぱいような香りが出てきて、以前よりペタペタ感が増しているようです。

種子が黒くなってきた緑色のムクロジの実

果皮シワのない果実種子一文字線の周りから褐色になって、まだ緑っぽい色が残っています。

種子が褐色になり始めた緑色のムクロジの実とその内部
徐々に褐色に変化していく種子

このような過程を経て種子褐色〜黒色に変わっていくようです。

これらの固体は大粒だったので大器晩成型なのか成長に時間がかかっているのかもしれません。

より高く陽当りの良い場所にたわわに実るムクロジの実

枝に残っているはまだこの状態でより良い種子になるべくして粘って育ち続けている最中なのでしょう。

何といっても度重なる台風にも振り落とされずにきた強者たちばかりですから。(笑)


熟す前のムクロジの種子の中

褐色になったムクロジの種子栗の実くらいの堅さでまだカッターの刃が入ります。ムクロジ発芽する時の殻の堅さともよく似ています。

の厚みは1mm〜2mmとやや厚めで、の出る辺りが若干薄いです。

とりあえず拾った種子はすべて割って見てみました。

種子が褐色になり始めた頃の緑色のムクロジの胚
種子の殻は褐色でも中身はまだ緑色

外見堅さは似ていても、落下していたなので、に触れて傷んでいたり、ただ乾燥して堅くなっているだけだったり、種子にカビが生えていたり、に喰われていたり、種子の内部が未熟だったりして順調に成長したものばかりではありませんでした。

残念な状態のムクロジの種子
残念な状態のムクロジの種子

因みに今回見つけた種子の中にいたシンクイムシのようです。

よく見ると、産毛もあってなかなかキュートなイモムシに見えなくもない けれど微妙です。見てみたい方は、ムクロジの種子を食べる虫 ▶


従って、堅くて黒い=熟しているのではないということが確認できました。発芽率の良し悪しはあくまでも種子の中の状態が良いものだけで、外見だけで判断できないという結果となりました。


健全に育ったムクロジの種子の中

順調に成長をして褐色になってきた頃の種子の中の渋皮ムクロジポット発芽前の頃と様子が似ています。

種子が褐色になり始めた頃のムクロジの実の内部にある渋皮のついた胚

バターロールのようなはやや堅くなっていて栗の渋皮のような種皮がしっかりとまとわりついて剥がれにくくなっています。

渋皮の包まれたムクロジの胚
種子が褐色になり始めた頃のムクロジの実の渋皮のついた白くなった胚

は次第に緑色が抜けて淡いピンク色に変化していくよう。なんとなくイルカのようでかわいいです。

ムクロジの胚の成長過程
胚の色が淡いピンク色になってきたムクロジの種子の中
淡いピンク色になってきたムクロジの種子の中の胚を取り出したところ拡大

この頃のバターロールを試しに食べてみたところ、おいしいです。

ムクロジナッツ イケてます!(笑)

熟す頃のムクロジの実

木の上で実るムクロジの実

ムクロジ黄葉が始まった頃、関東地方に木枯らし1号が吹き荒れたので、熟したてのムクロジの実を拾う機会に恵まれました。

黄葉し始めたムクロジの木
黄葉し始めたムクロジの木
落ちたてのムクロジの美しい落ち葉
落ちたてのムクロジの美しい落ち葉
色とりどりのムクロジの実
別名ソープベリーの名を持つように
ベリーのような果実に見えます。

まだ青い未熟な物からオレンジ色に乾燥した完熟したものまでいろいろながたくさん落ちていたのでそれぞれを観察することにしました。


ムクロジの実 完熟までの過程

乾燥と共に果皮種子の間の隙間が増えていきます。

熟すにつれて、果皮シワがより、厚みが薄くなって半透明な質感へと変化して中の黒い種子が透けて見えるようになってきます。

果皮の厚みのある緑色のムクロジの実
果皮の厚みが薄くなってきている緑色のムクロジの実
果皮の厚みが薄くなってきている
ムクロジの実断面

色も徐々にオレンジ色に移り変わりアールヌーボー調の素敵なガラス製品のようになります。

アールヌーボー調のガラスポットのようなきれいなオレンジ色のムクロジの実
ガラスポットのようなきれいなオレンジ色のムクロジの実

さらに乾燥が進むと飴色になって、弾力がなくなっていきます。


完熟する頃のムクロジの種子

種子は水分がなくなった分、小さく堅くなっています。

さらに乾燥が進むと種子果皮から剥がれ落ち、鈴のようにカラコロとの中で転がるようになります。


果皮をむいてみると、種子はほとんど黒色で堅くなっています。

半数以上はカビに喰われていたりして健全な種子ではありません。

その中から良さそうに見える種子を選んで水に入れます。そして沈んだ重い種子だけを選抜し、種子の中を見てみることにしました。

選抜されたムクロジの種子
選抜されたムクロジの種子

種子はかなり堅くなっていて未熟果の時のように簡単に中を見ることができません。

そこで今回は剪定バサミを使うことで大成功。


取り出されたムクロジナッツ

熟して乾燥したものは黄色っぽくて凝縮して小さくなっています。

いろいろなムクロジナッツ
きれいにとり出されたムクロジナッツ
いろいろな色・形・堅さのムクロジナッツ

このムクロジナッツを食べてみたので、興味のある方はこちら。

参照:ムクロジの食べごろ ▶

楽しい形のムクロジの実

提灯みたいなムクロジの実
提灯のようなムクロジの実
提灯のようなムクロジの実

ラクダの蹄の王冠を載せたムクロジの実
ラクダの蹄の王冠を載せたムクロジの実
ラクダの蹄
ラクダの蹄 出典:zoo can フタコブラクダ
雪や砂漠等でも沈みにくい大きな足
ラクダイメージ図
おまけ おとぼけでかわいいラクダ
出典:pixabay.com

枝つきの実もまた一段と深い味わいがあって気に入っています。

枝付きのムクロジの実

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おもしろい木の実 ムクロジの成長