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フウセンカズラの成長
ムクロジ科のかわいい植物

フウセンカズラとは

フウセンカズラ風船葛)は紙風船のような、かわいい袋状果実をつけ、英語名でもBaloon vine (風船ツル草) と同様の名を持つツル性の植物です。

ムクロジ科 フウセンカズラ属

学名:Cardiospermum halicacabum L.

英名:balloon vine (バルーンバイン)
   heart pea heart seed


盛夏に風に揺られる緑色の風船の実は涼しげで愛らしいので、緑のカーテンにも利用されています。かわいい風船の実ドライフラワーおもちゃとしても使われています。風船の大きさは約3cmで、軽くてソフトタッチです。

緑のカーテンとして使われるフウセンカズラ

学名の Cardiospermum はギリシャ語で心臓 (ハート) のCardio種子 spermum によるものだそうです。
英語名でもHeart PeaHeart Seedの名前も持つように、ハートマークのついた可愛い特徴ある種子をつけます。

ハートマークのついたフウセンカズラの種子

風船は3部屋に分かれ、1部屋に1つずつ種子をつけます。


原産地は諸説あるようですが、南米中米であると見なされています。

原産地については 参照:風船の役割 >

フウセンカズラの成長メニュー

フウセンカズラを育てたい!

ハマリにハマったムクロジ研究の延長線上に、同じムクロジ科の植物で、超身近なフウセンカズラの存在が急浮上してきました。

フウセンカズラとモクゲンジとオオモクゲンジとムクロジの種子の大きさの比較

フウセンカズラはどのような成長過程を経てあのユニークな風船カワイイ種子になるのでしょう?

疑問を解決するためにフウセンカズラ種子から発芽させて育て、次世代の種子になるまでの過程観察・考察してみました。

これにより、同じムクロジ科風船のような実をつけるモクゲンジについての理解も深まるかもしれません。


ムクロジモクゲンジ数珠の起源とされる縁起の良い木の実がなります。
ムクロジの種子はとても堅く、羽根つきの羽根のおもりに使用されています。

フウセンカズラの栽培

フウセンカズラの育て方ポイント日当たり水はけの良い環境で栽培する事です。寒さが苦手な植物です。


暑い夏に元気に育ちますが、日中の水やりは蒸れやすくなってしまうので、朝や夕方など涼しい時間にたっぷりの水を与えます。土の表面が乾い時水やりの目安です。


支柱やネットでツルが絡むようにして適宜、誘引・摘心します。

誘引:成長の方向や株のバランスを整えるために茎やツルを支柱に結びつけること。
摘芯:成育が旺盛な枝やつるの先端の頂芽を摘み取ること。

かわいくぶら下がるフウセンカズラ

生育期には肥料を与えます。液肥でもOKです。特にをつけさせるためには花を咲かせるためのリン酸分多めの肥料を使います。葉ばかりが茂ってしまうので窒素分は控えめにします。
以下、栽培観察記録です。

フウセンカズラの種まき >

フウセンカズラの種まき

気温が安定して暖かくなってきた4月下旬、市販の培養土をプランターに入れ、フウセンカズラ種子をまきました。種子はあらかじめ一晩水につけておいたものです。種子は1cm位の土をかけておきました。


フウセンカズラの発芽

発芽適温が20〜25℃なので、保温乾燥防止のために黒いビニールをかけておいたところ、2週間程して発芽し始めました。

フウセンカズラ発芽する様子

小さな種子の割に大きな双葉を出し、力強い発芽の姿です。

フウセンカズラの発芽する様子

フウセンカズラの発芽後の成長 >

種子の殻を破るようす

種子から出る様子を観察しました。
堅い殻を破って出て来る姿はムクロジの種子ミニチュアみたいです。
ハートの上から出芽するんですね。

フウセンカズラの発根
フウセンカズラが発根する様子

発芽観察するため、やや乾燥気味の環境だったせいか毛細根がびっちり。
(急遽、水分補給をしています。)

フウセンカズラが種子から発芽する様子
フウセンカズラ発芽・発根する様子

ムクロジの種子って何なの?」
興味のある方はコチラへ。

ムクロジの発芽 >

フウセンカズラの発芽後の成長

発芽後が入るように透明ビニールを被せて、保温風よけをしてを育てます。暑くなり過ぎないように通気穴をあけておきます。
陽当たり水はけの良い環境で管理します。育ち具合で支柱をつけます。

本葉の出て来たフウセンカズラ
本葉の出て来たフウセンカズラ

その後、順調に育ち、暑くなってきたのでビニールの覆いを外しました。


フウセンカズラはとても発芽率が良く間引きをしましたがかわいそうなので水耕栽培してみると、ムクロジと雰囲気が似ています。

葉を広げ始めたフウセンカズラ

その時のの様子です。

フウセンカズラの芽 拡大
フウセンカズラの芽
フウセンカズラの根
フウセンカズラの根

フウセンカズラの葉

フウセンカズラの葉が出揃いました。は2-3回三出複葉互生します。

フウセンカズラの葉
フウセンカズラの葉 表と裏
葉の表 (左)    葉の裏 (右)
互生するフウセンカズラの葉

三出複葉:3枚の小さな葉がセットで1枚の葉を構成していること
2-3回三出複葉:2-3回繰り返して出る三出複葉のこと
互生:1つの節に1枚の葉しかつかないので、茎や枝に互いちがいにつくこと

フウセンカズラの花

6月上旬、フウセンカズラ白い花をつけ始めました。
花弁と萼が4枚ずつで先端が黄色くて花弁状のものが中央にあります。


小さな花で深く興味を持つ人が少ないせいか、フウセンカズラの花は全て同じ両性花だと思われている傾向があるようです。しかし、よく観察してみると、フウセンカズラには雌花雄花があり、確実に違いがあります。

フウセンカズラの散房花序

花弁:花びらのこと

フウセンカズラの雌花

開き始めの頃から雌しべの柱頭が見えているのが雌花

柱頭雌しべの先端部で花粉の付着する所

フウセンカズラの開き始めの雌花

雄しべ雌しべの周りの花弁状のものは花盤といって雄しべ雌しべを保護しているのだそうです。

花盤 (かばん)
花托の一部分が膨らんで雄しべ雌しべのようになったり、それらを取り囲んで環状に隆起したものを花盤 (かばん) という。ムクロジ科などでは花盤花冠雄しべの間にあって雄しべを囲み、ミカン科などでは雄しべ雌しべの間にあって雌しべを囲む花盤 (みつ) を分泌するものが多い
出典|小学館 日本大百科全書 (ニッポニカ)

柱頭の見えるフウセンカズラの開き始めの雌花

確かに雨や風、乾燥などからしっかりと守ってくれそうです。
先端部の黄色がチャーミング。

正面から見たフウセンカズラの花
フウセンカズラの花 拡大

雌しべ柱頭3裂して、白く輝いています。いかにも花粉が付着しやすそうな形です。

フウセンカズラの雌花中心部 正面拡大
フウセンカズラの雌花中心部 斜めから拡大

雄しべは8本。わりと立派です。

フウセンカズラの花 雄しべ 葯がハート形でかわいい 拡大

また、黄色をした花盤の下には蜜腺らしきものがあるので、この黄色の部分は虫を招くための蜜標の役割を持っているのかも?

正面から見たフウセンカズラの中央部 拡大

上側の花弁と黄色い部分のついた花盤を2枚ずつ取り除いてみたら、こんな感じになっていました。

黄色い部分のついた花盤を取り除いたフウセンカズラの雌花 拡大

フセンカズラ虫媒花だという事で、雄しべの間の2つの白いポッチは蜜腺ではないかと思われます。

フウセンカズラ雌花の萼上下・左右とも同じ黄緑色です。


フウセンカズラの雄花

花盤の閉じたフウセンカズラの雄花

こちらの下側の花盤が閉じているように見えるのは柱頭が見えないので雄花のようです。

フウセンカズラの雄花

雄花のようですが花盤がわずかに開いて輝いて見えるものがありました。

フウセンカズラの雄花 中心部拡大

花弁花盤を取り除いて中を確認してみる事にしました。

花盤と花弁を取り除いたフウセンカズラの雄花 拡大

雄しべだけで雌しべが無いので、これは雄花という事になります。
柱頭が見えない別の花も確認してみました。やはり雌しべはありません。

横から見た花盤と花弁を取り除いたフウセンカズラの雄花 拡大

雌花雄しべと比べるとがしっかりしていて花粉が出始めているようで、これが輝きの正体らしいです。

フウセンカズラの雄しべ 拡大

雌花花弁花盤を落としてを膨らませるので花弁花盤が外しやすいのですが、雄花はただ萎んで落花するせいか花盤が本体から離れにくい構造になっているようで、細部を確認するのが難しいです。


雄花について調べていたら、雄花にも雌花同様、蜜腺らしきものがある事が確認できる写真に出会えましたので、転載させていただきます。

フウセンカズラの雄花の内部を横から見た画像

画像の出典:フウセンカズラ (ムクロジ科)


正面から見たフウセンカズラの雄花

これら雄花と思われるはどれも下側の花盤が閉じ気味で、わずかに雄しべが見える程度です。

正面から見たフウセンカズラの雄花 拡大

雄しべが隠れているのは、花盤で守られている状態の良い花粉によって雌花に送り、授粉してもらうためなんでしょうか?

やや下から見たフウセンカズラの雄花 拡大

フウセンカズラ雄花の萼上下の萼花弁と似ています。白っぽい色に黄緑色を帯びていて、左右の萼は小さめで茎の色と同じ黄緑色です。

フウセンカズラ雄花の萼

受粉時期を終えると雄花が萎んで落花する様子は、の数こそ違いますが同じムクロジ科ムクロジモクゲンジと似ています。


実となった雌花と雄花が混在するフウセンカズラの花序

フセンカズラの花散房花序で、どの花序内にも雌花雄花混在しているように見受けられます。

雌花と雄花が混在するフウセンカズラの花序

難しく考えなくても、複数の雄花が混在している様子を見れば一目瞭然結果ですね。

受粉を終えた雌花と雄花が混在するフウセンカズラの花序

散房花序のあるがたくさんついて、下の方のほどが長くなり、花序の上部がほぼ平らになる花の出方のこと。


雌花と雄花の見分け方

柱頭があれば雌花です。
また、雌花雄花を見分けたい時には上下の萼を見ると速いです。
雌花の上下の萼は全体的に黄緑色で、雄花上下の萼白っぽいので花弁がたくさんあるように見えます。


雌花は両性花か?

フウセンカズラ整枝した時に、のついているの来ない環境で水耕栽培をして、雌花雄しべが機能しているかを調べる実験をしてみました。

その結果、実験した複数の雌花は振動や風を与えたりしましたが、結実する事なく落花してしまいました。

受粉できなかったフウセンカズラの雌花

他花授粉できない環境では、結実することがなく、フウセンカズラ雌花雄しべは機能していないようです。


落花原因として水耕栽培による弊害も考えましたが、実験を始めた時に結実直後だったは2cm位と小さいながらも風船になり、順調に育っています。

水耕栽培で風船になったフウセンカズラの実

水耕栽培で完熟したフウセンカズラの実

また、発根もして、ゆっくりと時間をかけて熟してきたので水耕栽培による弊害では無さそうです。

発根したフウセンカズラの茎
発根したフウセンカズラの茎 発根部拡大

これらの結果から、フウセンカズラ雌花両性花ではないと思われます。


この後、同じ環境で育てている雌花を使って人工授粉の実験をしました。

フウセンカズラの人工授粉 >

フウセンカズラの人工授粉

の来ない環境で水耕栽培をしている雌花人工授粉の実験柱頭が見え始めた雌花開きたての雄花の雄しべをこすりつけて、人工授粉をしてみると、問題なく受粉して結実しました。

人工授粉により受粉したフウセンカズラの雌花
人工授粉2日後の実

順調に育っていてカワイイです。
日ごとに大きくなっています。

ちゃんと成長している人工授粉で結実したフウセンカズラ実
人工授粉3日後 風船の幅が6mm位

成長している人工授粉で結実したフウセンカズラ実
人工授粉5日後 風船の幅が1cm位

授粉から1週間後、風船が膨らみ始めました。土と比べて、水だけで栽培しているので風船の実が小さいです。

フウセンカズラの実の成長過程
フウセンカズラの実の成長過程 拡大人工授粉7日後 風船の幅が1.8cm位

薄めた液肥を水に入れてみました。

フウセンカズラの実の成長過程 拡大人工授粉9日後 風船の幅が2.5cm位

大きさに目立った変化は見られず風船が膨らみました。

膨らんだフウセンカズラの実の成長過程 拡大人工授粉11日後 風船の幅は2.5cm位のまま

しばらくの間、ほとんど変化は見られません。後ろで新しく人工授粉したが膨らんでいます。栄養が少ないためか2.1cm位と、さらに小さいです。

膨らんだまま変化の少ないフウセンカズラの実人工授粉21日後 ほぼ変化なし

フウセンカズラの蔓(ツル)

フウセンカズラは「アールヌーボー」のお手本のような美しいを伸ばして巧みに巻き付き、バランス良く躯体の強度を増しながら大きく育ちます。

美しい曲線を描くフウセンカズラの蔓の先端

巻きひげが小さいフウセンカズラの蔓は太いものには巻き付けません。

美しい曲線を描くフウセンカズラの蔓と葉

触手を伸ばすが如く、手頃に絡める相手を吟味するかのようにをジワジワと伸ばします。一旦、巻きひげが絡むとグルグルと巻きつきます。

効率良く巻き付くフウセンカズラの蔓
ガッチリと巻き付くフウセンカズラの巻きひげ

細くて華奢に見える巻きひげですが、一旦絡み付くとしっかりとホールドしていて簡単には外れません。

フウセンカズラの茎と蔓と葉の位置関係 葉腋部分拡大

葉腋という葉の付け根の内側部分から出ます。

美しい曲線を描くフウセンカズラの蔓

葉腋から出る長いの先端に巻きひげ2本と雌花雄花が数個混ざったセットでつきます。時間差で次々とを咲かせながら成長します。

フウセンカズラの花

とセットで出て来る巻きひげをガッチリと効率良く支える重責も担っています。

見事に風船の実を支えるフウセンカズラの蔓

軽量しなやかなのに強靭を巧みに駆使して登り詰めるフウセンカズラはまさに優れたクライマー。美しさと強さを兼ね備えた蔓の潜在能力には驚かされます。


フウセンカズラの茎

フウセンカズラの茎は幅1.5mm位の太さでの断面は星形で、中央に管の穴があいています。

が中空のパイプ状になっている事で折り曲げに対して強く、稜があることでツルが絡みやすくなっていると思われます。

フウセンカズラの茎断面 星形の中央に管の穴があいている

フウセンカズラの実の成長過程

花弁花盤が落ちて、フセンカズラの小さなが姿を現しました。
は全体的に産毛に覆われています。
4枚のがしっかりとした黄緑色をしているのが確認できます。

フウセンカズラの実赤ちゃん

の中にあって目立たなかった柱頭の姿がよく分かります。じっくり見ると意外にも透明感があって繊細に輝いていて綺麗です。

雌しべの柱頭を残すフウセンカズラの実赤ちゃん
柱頭を残すフウセンカズラの実の赤ちゃん

フウセンカズラは虫媒花

フウセンカズラの花は一番大きく開いた状態の時でも8mm位と小さめ。
もちろん雄しべ雌しべもとても小さいです。しかしながら、ちゃんと受粉が終わってが着き始めています。


「いつの間に?」と眺めてていたら、小型のハチがやって来て、かぶりつく様にに顔を埋め込んで、一つ一つ丁寧に授粉してくれている姿に出会えました。調べてみると、コアシナガバチのようです。

美味しそうに花粉を食べるコアシバガバチ

その後も、頻繁に訪花して丁寧に花粉を確認していきます。たくさんのがついていた理由が分かりました。


その他にもいろいろな訪花して、フセンカズラ虫媒花なんだと、あらためて実感しました。

フセンカズラに実がつかないつかないなんて言っている方、何気に虫の忌避材を使ってないでしょうか?

フウセンカズラ 風船への道

6月下旬、フウセンカズラの実は少し大きくなってぶら下がり始めました。

少し大きくなったフウセンカズラの実
少し大きくなったフウセンカズラの実 拡大

雨の日、フウセンカズラの実が水滴と一緒にぶら下がってキレイに輝いていました。種子が透けて見えます。

雨の日に水滴と共に輝くフウセンカズラの若い実
水滴と共に輝くフウセンカズラの若い実

フウセンカズラの実が少し膨らみ始めました。

膨らみ始めたフウセンカズラの若い実
膨らみ始めたフウセンカズラの実

徐々に膨らんで、フウセンカズラの実らしくなってきました。もたくさん咲いています。

膨らみ続けるフウセンカズラの実
膨らみ続けるフウセンカズラの実 拡大

成長途中のフウセンカズラの実の断面

やや膨らみ始めたので、2cm位とまだ小さいですが、中の様子を見てみる事にしました。持ってみると、軽〜い!ちゃんと風船になっています。
ふんわりしてソフトタッチで、意外にも暖かい感じまでしてかわいいです。

膨らみ始めたフウセンカズラの実
左:上から見た所  右:下から見た所

種子を傷つけないように下から3分の1位の場所で切ってみました。

フウセンカズラの未熟果 断面

既に完熟果同様、薄い膜で仕切られ、3室に分かれ、種子は中央で繋がっています。一番大きな種子でも2mm位と小さいです。

フウセンカズラの未熟果 断面拡大

種子 (胚珠) は育つとき、心皮胎座と呼ばれる部分にくっついています。
この部分が離れる時にハートマークとなるんですね。

フウセンカズラの未熟種子 拡大

フウセンカズラの種子胚乳が無くて、ほぼだけなんだそうです。

風船になった実

7月初旬、フウセンカズラの実風船状態になりました。

風船のようなフウセンカズラの実

フウセンカズラの実はパッツンパッツンに膨らみ、膨張した果皮網目模様マスクメロンみたいです。

パッツンパッツンに膨らんだフウセンカズラの実

風船になりたてのフウセンカズラの実

さて、中はどんな感じになっているのでしょう。ぶら下げると提灯みたいで何とも可愛く、揺れると楽しいです。

風船なりたてのフウセンカズラの実

果皮と仕切りの薄い膜をざっくりと剥がして中を見てみました。

風船なりたてのフウセンカズラの実 仕切りの薄い膜をざっくりと剥がして中を見た所

種子は緑色ながらも既にハートマークお猿さんのようになっています。

胎座についているフウセンカズラの未熟な種子が

果皮を取り除き、フウセンカズラの未熟な種子がどのように繋がっているのか見てみました。ちゃんと臍の緒で3つ繋がっています。

果皮と膜を取り除いてみたフウセンカズラの未熟な種子

しばらくして、ぶら下がっている風船の中を見てみました。
の下3分の1辺りを横にカットするとグリーンピースみたいな大粒の種子になっていました。

実の下3分の1辺りを横にカットしたフウセンカズラの実 種子が大粒の緑色に見える

種子は、完熟の黒い種子と比べると、ずいぶんと大きく9mm近くもあります。の上3分の1辺りを横に切るとお猿さんたちが丸くなってヒソヒソと内緒話をしているようなかわいらしい種子の姿を見る事ができます。

お猿のような種子が見える側を上にして横向きに輪切りにして見たフウセンカズラの実 大粒の緑色の種子が中央に3粒くっついている その横に完熟の黒い種子 大きさの比較

この頃の種子の中身の様子はこちらに記載しています。

風船になった実の種子の中 >


いろいろな風船が育つ頃

風船の色が少しずつ薄くなっているものや、新しい風船の実が混在しています。まだまだがつきそうです。

摘芯と整枝をしたフウセンカズラ

観察しやすいように、摘芯整枝をしてみました。

緑色がうすくなってきたフウセンカズラの実

その後、膨らんでいたの大きさには変化がなく、風船が少しずつ褐色を帯びてきました。

褐色を帯びてきたフウセンカズラの風船

個体差があるので微妙ですが、種子は若干小さくなって7mm位です。

風船が褐色を帯びてきた時のフウセンカズラの種子

今後、完熟すると、更に乾燥して縮んでお馴染みの小さくて黒い種子になります。

風船が褐色を帯びてきた時のフウセンカズラの種子

完熟前完熟後の種子を並べてみると、大きさにかなりの差があるのがわかります。

完熟前のフウセンカズラの種子と完熟したフウセンカズラの種子の比較

風船になった実の種子の中

風船になりたてのフウセンカズラの実の頃の種子の中はどうなっているのか見てみました。中を傷つけないようにハート部分を横に切って、中を取り出します。

完熟前のフウセンカズラの種子に切れ込みを入れる

ハート中央の臍の部分ムクロジの種子では一文字ラインにあたります。ここの緑色の薄皮部分を剥がすとこんな感じになっていました。

完熟前のフウセンカズラの種子の臍部分についている薄皮をはがしてみたところ

まだ、それほど堅くありません。

完熟前のフウセンカズラの種子の中を切って取り出す

種子の中は完熟前のムクロジの種子と似ていて、幼根子葉が丸まったような形の乳白色のです。

完熟前のフウセンカズラの種子の皮と中身(胚)

参考までにムクロジの種子の中の様子

胚の色が淡いピンク色になってきたムクロジの種子の中
淡いピンク色になってきたムクロジの種子の中の胚を取り出したところ拡大
ムクロジの未熟果 種子の内部

ムクロジの食べごろ


皮の内側幼根部分の収まっていた窪みがあります。ここは丁度、ハートの窪み部分発芽の際にが最初に出てくる場所です。種子の殻を破りやすいように薄くなっているようです。

完熟前のフウセンカズラの皮の内側にある窪み

種子の中身の部分は白くて丸くてインコクチバシがついているみたいでかわいいです。

完熟前のフウセンカズラの胚

淡く色づくフウセンカズラの実

の緑色が抜けて、淡い黄土色っぽくなってきました。

風船が黄色くなってきたフウセンカズラの実

中の種子黒くなっています。

風船が黄色くなってきたフウセンカズラの実の断面 中の種子が黒くなっている

本体と種子を繋ぐへその緒のような所は既に剥がれかかってお猿さんが顔のパックしているみたいです。

風船が黄色くなってきたフウセンカズラの実の中の種子接合部 拡大

種子は本体から簡単に外れました。
種子成熟するギリギリまで本体から養分を供給してもらって蓄えるので、の部分は最後まで黒くならずハートマークとして残るという事ですから、ほぼ栄養を蓄えたのだと思われます。

風船から簡単に外れたフウセンカズラの種子と本体

完熟する頃まで安全な風船の中で次世代へ繋げる強い種子へと熟成を続けるのでしょう。

フウセンカズラの種子と本体のつなぎ目 拡大

種子の大きさは約6mm。
汚れなく、とてもきれいです。

フウセンカズラのできたての種子 拡大

種子を半分に切ってみたところ、まだそれほど堅くはありません。

フウセンカズラのできたての種子断面 拡大

種子の殻を剥くと丸くてツヤツヤのが出てきました。

殻を剥いたフウセンカズラの種子

茶巾寿司みたいな実

果皮油揚げのような色になってきて茶巾寿司やおでんの具の餅巾着みたいな雰囲気でカワイイです。

褐色なってきたかわいいフウセンカズラの実

果柄も同じ色になっているので、本体からはもう、栄養をもらっていないのかもしれません。

茶巾寿司みたいなフウセンカズラの実

持ってみるとソフトタッチカラカラしてふんわりと軽いです。 完熟までもう一歩といったところでしょうか。

風船が油揚げ色なってきたフウセンカズラの実

ちょっと休憩タイム

そこで、いなり寿司ふうせんかずら風を作ってみました。あいにく、干瓢がなかったのでツルが再現できませんでしたが、中身は夏らしく青ジソ入りの五目酢飯に自家製のガリを添えてみました。美味しかったです。

茶巾いなり寿司 ふうせんかずら風

もう少し、こんがり色になったものは揚げシュウマイインド料理サモサプーリーにも似ています。(笑)

揚げ物みたいなフウセンカズラの実
揚げシュウマイ ふうせんかずら風

完熟するフウセンカズラの実

フウセンカズラの種子果皮が褐色になる頃に完熟します。

褐色のフウセンカズラの実

乾燥して保存性が高められた種子堅い殻に守られ、2年以上も生存が可能だという事です。

散布された場所で発芽するまでの間、干ばつ寒さ等、厳しい環境に耐え、待機できる仕様になるのでしょう。

枯れ色のフウセンカズラの実

枯れ色となり、頼りなげに見える風船ですが、ちゃんと水に浮くので果皮に水漏れをするような破損は無いという事となります。意外と丈夫ですね。

水に浮く枯れ色のフウセンカズラの実

水に浸してから2日後、防水機能が落ちてきたらしく風船内部水滴が付着しています。琥珀色ステンドグラスのように輝いていてキレイです。

風船の中に水滴がついて琥珀色になったフウセンカズラの実

拡大してみるとムクロジ果皮と似て見えます。

風船の内部に水滴がついて琥珀色に輝くフウセンカズラの実 拡大

水に浸してから5日後、水に浮いているものの風船の内部に水が溜まり始めたので、種子を取り出して乾燥。

完熟果実果皮でも5日位は水に浮いていられるようです。これにて浸水の実験を終了しました。


ドライフラワーリースにして楽しむ場合は濃い褐色になる前に収穫をした方がキレイでいいと思います。

フウセンカズラの実断面
フウセンカズラの実 断面
photo by H. Zell

できたてのフウセンカズラの種子

風船の役割

フウセンカズラの種子散布戦略によるものとバリエーションがあります。昨今ではその愛らしい姿で人から人へプレゼントされるという人散布も加わっているようです。(笑)


水散布で旅するフウセンカズラ

頼りなげな薄い果皮と、たった3枚の極薄膜で構成されているかわいい風船ですが、意外なほど高機能です。

それを可能にしているのが果皮を全面に覆う産毛ではないかと推測中。

参照:産毛の役割 >


はもちろんですが海水淡水の両方に浮遊することもでき、海水や水流によって分散することができるので、島に漂着していたという興味深い記録もあります。

海を漂流するオメージ

フウセンカズラの原産地がアメリカを始め、アフリカやインド、東南アジア等の熱帯地方と諸説あるのも、世界の広域に水散布種子を移動させ、2年以上生存可能だという種子発芽後生命力により簡単に帰化できたためではないでしょうか。

フウセンカズラ風船機能を利用して種子を遠距離へと拡散する事を可能にしたのだと思われます。

水散布:植物の種子が雨粒や川の流れや海流など水を利用して離れた場所に運ばれること。

散布形式:植物が種子を散布する方法。
風散布・水散布・動物散布・自動散布・重力散布が主だった形式。


かわいい風船は水に浮かぶのか?

水に浮くフウセンカズラの未熟果

そこで、フウセンカズラの未熟果に入れてみると、縁日で売られているヨーヨーみたいに浮きました。収穫後少々時間のたったものと新鮮なもの、どちらも仲良く浮かんでいます。

水に浮かべたフウセンカズラの実

丸1日たっても、涼しげに浮かんでいます。収穫後少々時間のたったものは5日目で少々くたびれてきましたが、新鮮なものはまだ余裕があります。


確かに、台風通過後にも風船が破れずにぶら下がっているのだから、に対して耐久性があるのは当然で、水流による旅も可能なんですね。

1日たっても水に浮かんでいるのフウセンカズラの実
1日ぐらい水に浸かっていても へっちゃら

水の旅を終えた後の風船

5日間に渡る水の旅を終えたフウセンカズラの実の中未熟果から完熟果へと変遷をたどるように種子の色が変化している最中でした。

5日間水に浮かんだ後のフウセンカズラの実の中

種子の大きさは1粒約5mm。

5日間水に浮かんだ後のフウセンカズラの実の中 種子部分拡大

褐色に変化したもう一つの風船の中は通常3つあるべき種子2つしか入っていません。元々小さい風船だったのはそのせいかもしれません。

5日間水に浮かんだ後の色の悪いフウセンカズラの実の中

種子は緑色のままがよって、の部分も変色しています。水に浮かぶことができても、良い種子になれないものもあるようです。

5日間水に浮かんだ後の色の悪いフウセンカズラの実の中 種子部分拡大

フウセンカズラの実はよく紙風船に例えられますが、かわいい見かけよりもずっと丈夫でしっかり者でした。

紙風船

産毛の役割

フウセンカズラの実雌しべの頃から受粉して完熟する実になるまで、産毛で覆われています。この産毛の役割について考えてみました。

フウセンカズラの実は全体が産毛で覆われている

の多い季節にたくさんのをならすフウセンカズラですが、驚くべき事にはかじられていても、には虫穴の形跡を見たことがありません。


また、先にも記述した通り、水散布を目的とするのならば、虫穴など開いてしまっては効果がありません。
なので、虫からの防御撥水の役割があるのではないかと思われます。

参照:水散布で旅するフウセンカズラ >


その他、空気中の水分を吸着したり、蒸散したりして、気温や湿度の調整もしているのでは?

フウセンカズラの実を覆う産毛 拡大

この産毛によりシェル (風船) は超軽量の優れた防水性湿度管理防虫効果のある素材となり、空気の層を確保する事が実現し、気温や湿度等の環境の変化衝撃等から大事な種子を守っているのだと推測してみました。

水に浮かぶ、上半分をカットされたフウセンカズラの未熟果

植物の産毛トライコームと呼ばれ、強烈な紫外線乾燥寒さ害虫等から身を守る役割があります。

植物によって虫を誘因忌避する香りがあったり、棘状だったりと、機能に合わせて様々です。そこには、植物巧みな戦略が仕組まれています。

参照:フカフカ植物・うぶ毛の正体 >

縁起物としてのフウセンカズラ

かわいいハートの種恋愛成就の御守りから厄除けなど縁起の良い種としていろいろと活躍しているようです。


ハートマークフウセンカズラの種子 (アイ) の種子結婚式のギフトとして、最近人気があるのだとか。


南天九猿南天難転九猿苦去、合わせて、難が転じて苦が去るという難転苦去(ナンテンクサル)の願いが込められている心優しい工芸品です。

南天九猿
南天九猿拡大写真
心優しい願いが込められた 南天九猿

フウセンカズラに似ている実

同じムクロジ科モクゲンジ袋状をつけます。花の量が圧倒的に多いので、大量の風船の実がぶら下がる姿は圧巻です。

7月のたくさんの風船の実をつけるモクゲンジ

英語名で黄金の雨と呼ばれる、美しいモクゲンジの花についてはコチラ

参照:モクゲンジの花 >


フウセンカズラとモクゲンジの実 比較

7月中旬、大気の状態が不安定で嵐のあった翌日にモクゲンジの様子を見に行くと、たくさんの黄緑色の風船の実が落ちていたました。

落下していた黄緑色のモクゲンジの実

そこで、幾つかのを拾って、似た頃合いのフウセンカズラの実と比較してみる事にしました。(持ち帰る間に暑さのせいで少々へたれてしまいました。)

未熟なモクゲンジの実

正面から見ると、似た雰囲気ですが、モクゲンジの実の方はハートを細長くしたみたいな逆三角形のです。

黄緑色のモクゲンジの実とフウセンカズラの比較 正面から見たところ

このに限らないのですがモクゲンジの実フウセンカズラのように完全に袋が閉じているわけでないようです。

黄緑色のモクゲンジの実とフウセンカズラの比較 上面から見たところ

モクゲンジの実フウセンカズラと異なり、水散布の道は選ばず、より風で飛ばされる戦略をとっているように思われます。

黄緑色のモクゲンジの実とフウセンカズラの比較 下面から見たところ

モクゲンジの実フウセンカズラと同じく、3室に分かれてます。

黄緑色のモクゲンジの実とフウセンカズラの比較 一室を開けて種子の様子を見たところ

仕切りは外の袋と同じ質感で、種子のついている上部だけにあります。
種子の数は1室につき1〜2個です。

未熟なモクゲンジの実の中

種子の様子は、フウセンカズラよりもムクロジに似ています。

未熟なモクゲンジの種子とその断面

参照:ムクロジの種子 成長過程 >


また、フクロミモクゲンジの名を持つオオモクゲンジの実ピンク色黄色い花とを秋に同時に見ることができて美しいです。

美しいオオモクゲンジの花
photo by Mauroguanandi

ホオズキ

可愛らしい袋状の実をつけるといえばホオズキが有名。ナス科の植物です。

風船のようなホオズキの実

緑色の風船の実が徐々に朱色に変わる様子もきれいです。

赤いホオズキの実

特に赤く熟した頃の提灯みたいできれいです。萼片網目状になってが透けて見える姿も楽しいです。

提灯のような赤いホオズキの実

ホオズキは6月中旬頃、目立たない白色のをやや下向きに咲かせます。

ホオズキの花

ホオズキが終わった後に筒状のが膨らんだものなので、合わせ目に隙間があります。下の食用ホオズキの成長写真でご確認ください。

受粉を終え、膨らみ始めた食用ホオズキの実
膨らんで大きくなり始めた食用ホオズキの実
ほぼ袋状になった食用ホオズキの実

フウセントウワタ

同じ風船の名を持つフウセントウワタハリセンボンみたいで、ユニークでカワイイです。

ハリセンボンみたいなフウセントウワタの実

出典:フウセントウワタ (ガガイモ科|キョウチクトウ科)


中には美しい絹毛つきの種子が格納されています。

ドライフラワーになったフウセントウワタの果実とその中身

参照:タイムカプセル!? フウセントウワタ >

フウセンカズラと似ている種子

同じムクロジ科トチの実の中にもかわいい種子ができます。
※APG植物分類体系による 以前はトチノキ科


トチの実と種子

栃の実と栗まんじゅうみたいなかわいい種子

トチの実には厚い三裂する果皮の中に大きな種子が1つ入っています。

いろいろな角度から見た栃の実

果皮には縦にくっきりとした筋目が2本あります。


その筋目に沿って皮を外すとクリクリカワイイ種子が姿を現します。

栃の実の果皮を破って種子を見たところ

艶やかでかわいい種子栗まんじゅうみたいで美味しそう。
フウセンカズラの種子より随分と大きくて1粒はより大きいです。

かわいい栃の実(種子)

トチの種子の皮と渋皮を剥いたところ、幼根が現れました。
フウセンカズラの種子と同様にハートマークの境目から幼根を出して発芽するわけですね。

栃の種子の発芽する部分 幼根

フウセンカズラの種子ハートマークと同様ににあたる部分は最後まで濃い褐色にならず残っているようです。
胎座に付着して種子が育つ時に栄養をもらう部分でにあたる部分なのですが、それにしても大きなお臍ですね。


トチの実と言えば栃餅が有名ですが、実際はタンニンサポニンが強いため強烈に苦渋いので、長時間かけて渋やアク抜き等の下処理をしなければ食べられません。


しかしながら、なんとトチの実縄文時代から食べられていたらしいです。縄文人の知恵には驚かされます。

洞窟でおいしそうに団子をほおばる原始うさぎフンガー
原始うさぎ フンガー
謎のプー大陸第2章より

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