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ワタの時短発芽
趣味の綿花栽培
魔法瓶を使ってワタの時短発芽
フカフカのコットンボールに憧れて始めた趣味のワタ栽培。
種子から育てるコットンボールの続編で、ワタ栽培 第5弾となります。
今回はワタの魔法瓶発芽の適正温度を探ってワタを種子から時短発芽させる方法にチャレンジしてみました。
魔法瓶を使ってアメリカ綿とアジア綿の種子を発芽させ、その後の植えつけによる成長の違いやワタもやしにしてからの植えつけなども実験・経過観察して、コットンボールが弾けるまでを記録。その後、越冬させて、その土を次シーズンに栽培利用したものを追記しています。(ワタ栽培 第6弾)
ワタ栽培のポイント 発芽のタイミング
栽培を重ねる度に、頭を悩ませるのが発芽の時期。ワタの栽培において発芽のタイミングが収穫量を左右する重要なポイントとなります。
ワタは寒がりで、種子まき時期が十分暖かくなってきてからと遅い上に成長期間が長いため、発芽を失敗すると、コットンボールができあがるまでの時間の猶予が厳しくなるためです。
そこで、ワタを時短発芽させる方法を試行錯誤してたどり着いたのが魔法瓶を使って発芽させる方法。良い結果がコンスタントに得られたので、興味のある方は参考にしてみてください。
栽培場所は埼玉県 奥武蔵。ベランダでのプランター&鉢栽培です。
栽培種はアメリカ綿(洋綿)とアジア綿(和綿)の矮性種の2種類。
正確な品種名は不明。
これまでのワタ栽培に関してはコチラに詳しく記載しています。
▶ 種子から育てるコットンボール
ワタ栽培第5弾は暖冬で春の到来が早かったので3月下旬に開始。
魔法瓶を使った発芽は今年で4年めとなりました。
前回までの改良点を考慮しながらの発芽実験はアメリカ綿とアジア綿を同時に行っています。
第5弾 実験開始日:2020年
第1回目:3月20日
第2回目:3月23日
第3回目:4月6日
第4回目:5月27日(種皮むき発芽)
発芽に魔法瓶を利用する理由は、
以前の魔法瓶発芽に関しては、
第6弾 実験開始日
温かい環境で育つワタを栽培するのには暖かくなる時期まで待って発芽させ、冬の来る前にコットンボールの収穫を終えなければなりません。
ワタの発芽適温は25℃前後。
なので、通常種まきは4月下旬から5月中旬頃が目安となっています。
しかし、季節外れの雪等の異常気象により、種まき時期が遅れてしまうと、ワタの生育期間が短くなって、コットンボールの完熟に間に合わなくなることがあります。
だからと言って、発芽適温に達する前の種まきは発芽率も悪く、発芽したとしても、すぐに寒さでやられてしまいます。そして、ワタは苗から大きくなるのに時間がかかるため、少しでも早く発芽させ、早々に花を咲かせるのが得策です。ここがワタ栽培の悩ましい点です。
そこで、活躍するのが魔法瓶による時短発芽です。
なぜ、魔法瓶なのかといえば、ワタの発芽の条件は適度な温度と湿度と暗さと酸素で、栄養は不要。
つまり、これらの発芽条件を兼ね揃えることができる魔法瓶を使えば、少々肌寒い時期でも、わずか1日〜3日で発根が可能となります。同時に発芽する種子の選別もできるので効率が良くなります。
このようにあらかじめ種子に適した条件を与えて発芽させてから播種する方法は芽出しまき・催芽まきと呼ばれています。
幼根が見られた種子を培養土に浅く植えることで発芽率も格段に良くなります。その後、寒くならないように管理すると、播種から5日〜8日と短期間で双葉が開きます。
苗は植えつけ時期がくるまで、発泡スチロールなどの容器に入れて寒さにやられないように管理します。苗が小さい時だけなのでコンパクトで省スペースで済みます。
ワタは移植を嫌うので本葉が開く頃までに大きめの鉢に植えつけるのが理想です。
少し早めに発芽させて、苗を作って室内管理することで、花の生育期間が長くなり、多めのコットンボールを収穫することができます。
そのための手助けとなるのが魔法瓶発芽です。
魔法瓶発芽の方法は、ワタの種子を湿らせたキッチンペーパーで包み、小さめのチャック付きポリ袋に入れ、空気も入れて閉じます。
種子の毛はあっても構いません。長い場合は短く切っておきます。
水はぬるま湯を使用し、ヒタヒタよりやや多め。種子が十分水分を含めるようにする。
種子は1袋に15〜16粒くらいまでにして、ぎっちり詰め込まない。
種子はキッチンペーパーに密着させ、空気が入るようにして包む。
袋内の空気が抜けないようにして、きっちり閉じる。
それをぬるま湯の入った魔法瓶の中に入れてフタをする。
1日(約24時間)放置した後に、発根状況を確認します。
適温だと1日で発根しますが、2日で発根する場合が多いです。
3日繰り返しても発根しない場合は種子が悪いので諦め、新しい種子でやり直します。
繰り返す時は湯温が下がっているので新規にお湯を入れ替えます。
同時に、ぬるま湯で湿らせた清潔なキッチンペーパーで種子を包み直し、雑菌の繁殖を防ぎます。
余分な水分は捨てて、空気を入れてから袋をしっかり閉めます。
冷めないように手早く行います。
その後は、幼根が出た種子を清潔な培養土を入れたポリポットに浅めに播種すると、発芽率が格段に良くなり、時短で苗となります。
24時間後に26〜28℃位になるようにするのが理想的。
ぬるま湯の温度は魔法瓶の保温能力と外気温に左右されますので、事前にテストすることを強くオススメします。
何回か実験してみたところ、24時間後に26〜28℃位の時が最も良い結果が得られました。
アジア綿は27.5℃の時がベストでしたが、25〜33℃位まで発芽適温の幅が広く、2日もするとほとんどの種子が発根しました。
アメリカ綿はアジア綿と比べると、発芽適温が24〜28℃位と少し低めで発芽率も少々悪かったです。
この実験で使用している魔法瓶は24時間後に約8℃温度が下がるのを確認して34〜36℃位のぬるま湯を入れています。
氷点下の日は9.5℃温度が下がりました。外気温によっても微調整が必要です。
29℃以上が3日以上続くと、腐敗しやすくなるので注意。
魔法瓶で発根した種子は清潔な土に埋めます。芽出しまき・催芽まきといわれる方法です。
葉が種皮に護られた状態で発根した頃がまき時で、その後の成長も良いです。
勢い良く発根したものの方が元気に育ちますが、根が長く伸びて、種皮から葉が出かかったものを土に入れると、雑菌にやられてしまい、葉が痛んで成長が阻害されてしまうことがあります。
種皮から葉が出かかってしまった場合1
種皮から葉が出かかった場合はそのまま魔法瓶内で成長させて、もやしにしてから植えつけます。
茎が伸びた時だと、葉に土がつかず植えつけができます。
葉に土がつかないように植えつけるのがポイントです。
種皮から葉が出かかってしまった場合2
ワタの根が少々伸びてきたら、湿らせたキッチンペーパーで根を包んだもやしを小さめの容器に入れて立てかけ、半日陰の温かい場所に置いて、成長させてから植えつける方法も有効でした。
光に当たることで葉が緑色になって全体が丈夫になります。
乾燥させないように管理します。
小さな根が出てきたので植えつけてみたところ、実験開始から20日目には本葉も目立ってきました。
▼実験開始4週間めのアメリカ綿。
▼実験開始6週間めのアメリカ綿。
▼実験開始8週間めのアメリカ綿。
もやしを水栽培すれば長い根も痛みにくく、育ちも良いです。
子葉が栄養タンクとなっている期間なので、水に根を浸しておくだけ育ちます。
根が長く育ったもやしを植えつけてみたところ、結果は良好。
▼発芽実験開始6日めのアメリカ綿のもやしの様子。
▼実験開始9日めのアメリカ綿。
▼葉が緑色になって丈夫になり、根も茎もかなり伸びてきたました。
▼側根も増えて伸びてきたました。
▼根を傷つけないようにして植えつけたところ、順調に育っています。
▼実験開始4週間めのアメリカ綿。
▼実験開始6週間めのアメリカ綿。
魔法瓶発芽の延長栽培です。
発根し始めたら、翌日に25〜27℃ぐらいになるようなぬるま湯で管理します。
▲ 実験開始5日めのアメリカ綿の発芽中の様子です。
葉の部分がぐっしょり濡れると痛みやすくなるので根と茎の部分を湿らせたキッチンペーパーで包みます。
根を包む湿らせたキッチンペーパーは雑菌の繁殖を防ぐため毎日取り替えます。根の基部辺りから黄色い色素が出ることがあります。
参照:▶︎ ワタの種子や根の黄色い色素
また、根が長くなると折れやすくなるので、複数育てる場合は個別に包むと良いです。
発芽の時と異なってサイズが大きくなるのでチャック付きポリ袋も少しずつ大きめにし、たくさん入れ過ぎないようにします。
チャック付きポリ袋や魔法瓶のフタを閉める時はもやしが傷まないように気をつけます。
小さな根が出始めたら植えつけると良いでしょう。
魔法瓶でもやしにしてから土に植えつける方法は外気温が低い時に有効ですが、キッチンペーパーを巻き直す時など根を折らないように注意が必要で手間が増えます。
外気温が生育適温ならば、培養土に植えつける方がお手軽で簡単です。
また、アメリカ綿に比べ、アジア綿の方が葉が雑菌にやられやすい傾向がありましたので、作業をする時は清潔な環境で行ってください。
発芽率はアジア綿の方が良いです。
これは翌日に26℃位になるように魔法瓶内にぬるま湯を入れ替え続けて育てたアメリカ綿のもやし。発芽実験開始から4日目の様子です。
発芽実験を始めて8日目には根と茎を合わせた部分が12cmほどまで伸びました。
短い根の方はキッチンペーパーを包み直す時に根を折ってしまったものですが、思いの外、順調に育っていました。
小さな根(側根)も出てきました。
うっかり根を折ってしまったものも小さな側根がたくさん出ています。
葉は痛みやすく、根はとても折れやすいのでもやしの扱いには注意が必要です。
もやしを持つ場合は茎部分を持つと安心です。
もやし色の、子葉は重なって種皮は外れています。
根を痛めないように慎重に植えつけます。この時、葉にも土がつかないように注意します。
植えつけ直後は半日陰で管理し、徐々に日光浴させたところ、普通の苗と違いが分からなくなりました。
▲発芽実験開始から13日目の様子。
また、帽子のような種皮がついたまま乾燥すると、外れにくくなり、葉を痛めたり、成長を阻害する事があるので種皮が取れていた方が結果が良い傾向も見られました。
▼実験開始25日目めのアメリカ綿。
間引きをして1本にしました。意外にも根の短かった方が、やや育ちが良かったので残しました。
▼実験開始6週間めのアメリカ綿。
これは翌日に26℃位になるように魔法瓶内にぬるま湯を入れ替え続けて育てたアジア綿のもやし。
▼発芽実験開始から6日目。
▼発芽実験開始から7日目。
▼種皮もすべて外れました。
▼主根から側根が出始めました。
▼発芽実験開始から8日目に培養土にもやしを植えつけました。
植えつけ直後はダメージがないように半日陰で管理し、成長の悪い1本を間引きました。
▼発芽実験開始から25日目。
やや緑色が薄めですが、本葉も目立ち始めて順調に育っています。
もやしを植えつける時期は主根の時だけより、側根が伸び始めてからの方が結果が良かったです。
▼実験開始30日めのアジア綿。
本葉が目立ってきたのでプランターに植えつけることにしました。
根を痛めないようにして3本まとめて植えつけました。
成長具合を見ながら間引きをしていきます。間引きも根を痛めないようにハサミを使います。
▼実験開始6週間めのアジア綿。
本葉が4枚になりました。
▼実験開始8週間めのアジア綿。
この後1本を間引きしました。
3回の発芽実験のうち、最も結果の良かったのは第2回目でした。
約24時間後に湯温が24.5〜26.5℃になるように試みた時です。
第1回目の実験では少々高めの温度で試してみました。
アメリカ綿の種子を16個選抜。
湿らせたキッチンペーパーに包んで魔法瓶発芽させました。
▼約24時間後種子16個は全部が膨らみ、発根の兆候の見られるものもありました。
39℃のぬるま湯で続行。
▼約24時間後、4個が発根。
6個が発根の兆し。
4個は小さく種皮が開く。2個は変化なし。
39℃のぬるま湯で続行。
▼約24時間後、キッチンペーパーに黄色い色素が出てきていました。
2個が発根。
湯温が高すぎたのか、若干の腐敗臭も生じていたので、実験を中止。
そのため、再実験は湯温を33℃に下げてみました。
アメリカ綿の種子を10個選抜。
湿らせたキッチンペーパーに包んで魔法瓶発芽させました。
▼約24時間後、4個が発根の兆候が見られました。
33℃のぬるま湯で続行。
▼約24時間後、10個が発根。
第3回目の実験では1回目と2回目の間の温度で試してみました。
アメリカ綿の種子を10個選抜。
湿らせたキッチンペーパーに包んで魔法瓶発芽させました。
▼約23時間後種子5個が発根。
5個が膨らみました。
35℃のぬるま湯で続行。
▼約27時間後、7個が元気に発根。
種子を選抜する時にはその良し悪しが今ひとつ分かりませんでしたが、発根すると明確ですね。
残念ながら3個はダメでした。
3回の実験結果による発芽適温
種子を魔法瓶に入れてから約24時間経過した頃に、27.5〜28℃位になるのを目 指したところ良い結果が得られました。
実験開始24時間は31℃位と少々高めでも大丈夫ですが、それ以降は28.5℃以下でないと腐敗しやすくなるようです。
アジア綿もアメリカ綿と並行して、3回発芽実験をしました。
最も結果の良かったのは第3回目、次いで1回目でした。アメリカ綿と比べると温度が高めの時の方が良い結果となりました。
アジア綿の種子を16個選抜。
湿らせたキッチンペーパーに包んで魔法瓶発芽させました。
▼約24時間後、11個に発根の兆候が見られました。
39℃のぬるま湯で続行。
▼約24時間後、すべてが発根。
16個の内、11個が1〜1.5cmの根が出ています。元気の良い4個を土に埋めました。
3個が 0.5〜1cm、1個0.3cm。
39℃のぬるま湯で続行。
▼約24時間後、11個が2〜3cm。
1個だけ0.5cm。
湯温は29℃ 外気温は17℃
アジア綿はアメリカ綿のように黄色い色素も出なくて腐敗臭も無く、やや高めの温度が適しているようです。
この内、4個は土に埋めて、残りは魔法瓶内で33℃のぬるま湯で第2回目の実験と並行して続行。もやしとして育てました。
根が伸びて葉が種皮から出かかったものは土に埋めると雑菌にやられてしまい、最終的に元気に育ったのは4個のうち1つだけでした。もやしとして栽培を続け、種皮が外れて側根が出始めた頃に植えつけた時の方が結果が良かったです。
さらに、もやしの根がある程度伸びたら、暖かい場所で水耕栽培して発根させてから植えつけると、根も葉も傷みにくくて良い結果となりました。
参照:発根した種子を土に埋める ▶︎
アジア綿の種子を10個選抜。
湿らせたキッチンペーパーに包んで魔法瓶発芽させました。
▼約24時間後、特に目立った変化は見られません。
33℃のぬるま湯で続行。
▼約24時間後、3個が発根。5個が種皮を開き、2個は変化なし。
湯温は25℃ 外気温は15℃
アメリカ綿はこの温度域が一番良い結果でしたが、アジア綿には温度が低かったようです。
33℃のぬるま湯で続行。
▼約24時間後、ようやく9個の根が1〜1.5cm。1個は変化なし。
32℃のぬるま湯で続行。
▼約24時間後、根も伸び、種皮が外れたかけたものが増えました。
湿らせたキッチンペーパーで個別に根を包み、魔法瓶で26℃位の温度になるよにしてもやしとして育てました。
種皮が外れた後は葉が濡れすぎて痛まないようにします。また、もやしは立てた方が良いかと思われます。
第3回目の実験では1回目と2回目の間の温度で試してみました。
アジア綿の種子を10個選抜。
湿らせたキッチンペーパーに包んで魔法瓶発芽させました。
▼約23時間後種子すべてが発根。
35℃のぬるま湯で続行。
▼約27時間後、10個すべてが元気に発根しています。
3回の実験結果による発芽適温
3回の実験の結果から、アジア綿はアメリカ綿より、やや高めの温度が適しているようです。
魔法瓶発芽に種皮むき発芽を加えた応用実験してみました。
5月下旬の発芽適温に実験を始めたこともあって、これまでで一番速い時短発芽となりました。
ワタの種皮むき発芽のやり方
① 種子を魔法瓶でぬるま湯に浸す
② 軟らかくなってから種皮を外す
内種皮が剥がしにくい場合は内種皮を吸水させると剥がしやすくなる
③ 中身の胚を取り出す
④ 胚を湿らせたキッチンペーパーで包み チャック付きポリ袋に入れる
⑤ ぬるま湯と一緒に魔法瓶に入れる
⑥ 発根後、水栽培する
⑦ 側根が出たら土に植えつける
種まきには昨年に栽培したアメリカ綿の種子を使用しました。
コットンボールの中の種子は寒さと乾燥から守られ、保存状態は良好。
ワタは蒴果で、ふかふかの白いわたの塊が隔壁の中によって4〜5個に分かれています。
わたの塊は割と簡単に外れます。
充実したわたの塊の中に7〜8個の種子が入っています。
実離れの良いわたの塊の中には充実した良い種子が入ってるようです。
1つのコットンボールに24〜30個の種子が入っていました。
種子からワタの長い繊維がみっちりと出ています。
ワタの種子についたままの綿毛のことを実綿(みわた・じつめん)というそうです。
種子はやや深緑色を帯びた暗い色で堅いです。
手で繊維をひきちぎって種子を取り出します。温かくてふわふわで触り心地は最高です。
この中から大きくて堅くてハリの良さそうなものを選抜して使います。
種まきには昨年に栽培したアジア綿の種子を使用しました。
アジア綿はアメリカ綿と比べると、コットンボールが軽くてスカスカの感じがしますが、中の種子は寒さと乾燥から守られて保存状態は良好。
隔壁の中によって分かれているわたの塊は3個のものが多いです。
わたの塊はアメリカ綿と同様で簡単に外れます。
わたの塊の中には4〜7個の種子が入っていました。
わたの繊維はアメリカ綿と比べると種子に強固にくっついています。
手でちぎって種子からわたの繊維を外すのが困難だったため、ハサミを使って切り離しました。
1つのコットンボールに15〜19個の種子が入っていました。
アメリカ綿と比べると、やや小さめで白っぽい色をしています。
堅くてハリのある良さそうな種子を選抜して使います。
ワタの種子の内部はどうなっているのでしょう。試しにアジア綿の種子を縦半分に切ってみました。
種皮は木質で堅く、中身の胚は乾燥しているためポロポロで、きれいな断面になりませんでしたが茎と子葉の前駆体が種子内に収まっているのが分かります。
種皮を外した種子を縦半分に割った様子です。中央下の盛り上がり箇所は幼根と胚軸です。
その周りを折り畳まれた子葉の前駆体が隙間なく覆っています。
種子全体に見られる赤い斑点状のものはゴシポール腺。
ワタが自衛するために抗菌と殺虫作用を持つ黄色の色素のゴシポールを生合成して分泌します。
▼綿毛に包まれたアジア綿の種子。
▼綿毛の生える種皮は黒い色をしています。
▼綿毛はがっちりとついているのできれいに取り除くのは面倒です。
▼木質の堅い種皮剥がすと、膜質の内種皮に包まれた胚が出てきます。
▼尖った側の薄皮は先端がキャップのような形になっています。
ここは幼根を保護するために膜質が厚くなっていて剥がしにくいです。
乾燥したワタ種子は種皮が堅くて中を観察しようとすると中を痛めてしまう率が高いので吸水させて、種皮が軟らかくなったところで内部を見てみることにしました。
アメリカ綿
▼アメリカ綿の種子を40℃のぬるま湯に約4時間浸した時の様子
▼種皮がふやけてかなり剥きやすくなりました。
▼堅い種皮を外したところ。薄皮状の内種皮に包まれた胚。
▼内種皮を外した胚。内種皮はまだ乾燥気味で傷つけないように剥がすのに手間がかかります。
アジア綿
▼アジア綿の種子を40℃のぬるま湯に約4時間半浸した時の様子。
▼外側の堅い種皮を剥がすと内種皮もつられて破れてきましたが、水分不足で剥がすのは面倒です。
▼幼根を覆う場所がキャップのようになっています。
▼内種皮を剥がした状態。
▼下の乾燥状態と比べると、かなり膨張しています。と言っても1cmにもなっていませんが…。
▼種皮ごと切った種子の断面
▼幼根と胚軸の断面も分かります。
ぬるま湯に浸した発根中のワタ種子の内部を見てみることにしました。
水分を含むことで種子は膨張して、種皮が軟らかくなって種皮が剥きやすくなっています。
アメリカ綿
▼アメリカ綿の種子をぬるま湯に約21時間浸した時の様子
▼綿毛がついたまま種皮を外したところ。
▼種子の内部をラッピングしている薄皮を剥がすと、子葉の合わせ目が若干緩みます。膜質の皮膜の質感はゆで卵の薄皮と似ていて、水分を含むことで剥けやすくなっています。
▼こちらは子葉が内側に折り畳まれている面です。白色の少し飛び出しているのは幼根で小鳥の雛の嘴みたいです。
▼反対側の面は子葉の端がキチンと巻きついています。
▼子葉の端を広げてみました。
▼もう少し広げてみると蛾のような雰囲気です。
▼さらに広げてみると、残念ながら破れてしまいましたが、どんな風に折り畳まれていたかが分かります。
アジア綿
▼アジア綿の種子をぬるま湯に約20時間浸した時の様子
▼綿毛がついたまま種皮を外したところ。
▼皮膜のような薄皮は乾燥していた時より剥きやすく、質感はゆで卵の薄皮と似ています。
▼幼根は卵から孵化する時の雛の嘴みたいです。
▼薄皮を剥がすと、子葉に包まれた幼根が貝みたいな雰囲気です。
▼薄皮のラッピングを剥がしたことで子葉部分が若干緩みます。
▼子葉部分を広げてみました。
▼さらに広げてみました。
▼幼根と胚軸と子葉がどのように格納されていたのか分かりやすくなりました。
▼種子の縦断面。
▼種皮を取り除いた種子の縦断面。
まず種子から根が出始めます。
少し遅れて茎葉が姿を現します。
種子から出た一本の根は、そのまま伸びて、茎と根になります。
やや黄色味を帯びたところから下部分が主根として伸び続けます。
茎の部分には小さな斑点がたくさんあります。
しばらくすると主根から側根が出てきます。
側根が増えて伸びていきます。
主根の根元付近に黄色い色素が見られます。
根の出方は個体差があります。
側根からはさらに新しい側根が出て根が広がっていきます。
根の先端部分はペン先にキャップがはめ込まれたようになっています。
ここは根冠といって、根が伸びる時に土との摩擦の軽減する役割をするそうです。
ワタもやしを作っている最中に、湿らせたキッチンペーパーの繊維の中に針で縫うように根が伸びていたことがありました。
折れやすく、弱々しい根でしたが、根冠の成せる技だったのですね。
その他、根冠は重力を感受したり、根の先端にある細胞分裂の盛んな成長点を保護する役割、代謝産物の分泌、また、根冠細胞自体の剥離によって、土壌微生物との相互作用など、根の成長に必須の機能を担っているのだそうです。
この後、ワタは本葉が4〜5枚出た頃、植物ホルモンを土壌中に分泌して共生菌を育ててるため、1ヶ月程成長停滞期となります。
参照:ワタの共生菌について ▶︎
このページは「なんだろな」の中の
「ワタの時短発芽」