アオキは照葉樹林内や沢沿いの道などでよく見かけるガリア科の常緑低木。冬でも青々と葉を茂らせ、枝の青いことから青木の名がついたそうです。
雌雄異株で花期は4月から5月頃。
楕円形のやや大きな赤い実は秋頃から春にかけて赤く熟します。
クリスマスカラーの艶やかな赤い実をつけるアオキは日本特産の植物で江戸時代に日本を訪れた西洋人にとっては憧れの植物だったそうです。
その当時、赤い実のなる雌株を西洋に持ち帰ってみたものの、雌雄異株とは知らなかったために結実させることができなかったそうで、以来雄株を持ち帰ることが長年の悲願だったということです。
そして約200年の時を経て、イギリス人のロバート・フォーチューンが来日した際に雄株を持ち帰り、悲願を達成したのだとか。
3月中旬、雌株の芽吹きの様子です。
3月中旬、雄株の芽吹きの様子です。雌株と比べ蕾がたくさんです。
4月上旬、雌株の蕾や花が若葉と一緒に現れ始めました。
雌花には花の中央に雌しべがあって、雄しべはありません。
4月上旬、雄株の蕾や花が若葉と一緒に現れ始めました。
雄花は雄しべの黄色い花粉があって、雌花と比べると華やかな印象です。
アオキの葉は民間の生薬として火傷や創傷、凍傷、利尿などに用いられていたそうです。
アオツヅラフジはブドウのような白い粉をふき、美しい実をたくさんつけます。名前にあるようにツヅラ(かご)作りに活躍したつる性の植物です。
アオツヅラフジは雌雄異株で6月から8月にかけて、それぞれに淡い黄色の小さな雌花・雄花を多数つけます。
どちらも先端が2裂した花弁が6枚、花弁と同色の萼片を6枚つけます。
実は淡い緑色から徐々に深い藍色へと変化し、秋になると目立ってきます。
その中に緑色のゼリー状の果肉に包まれたアンモナイトの化石のような種子が入っていて面白いです。
植物の造形の素晴らしさに脱帽。
4月中旬頃から5月上旬頃にかけて、アカメガシワ(赤芽槲)の赤い新芽と新葉が新緑の中で目をひきます。
この赤色の正体は星状毛。赤い毛の下には普通の緑色の葉が隠れています。
葉が大きくなるにつれて星状毛は脱落していきます。
アカメガシワは日当たりの良い河原や山野の林縁や崩壊地、伐採跡地など、荒地に先駆けて育つパイオニア植物で温暖な地域では身近に見られます。
葉は食用・薬用にもなるトウダイグサ科の落葉高木です。
アカメガシワの花
アカメガシワは6月から7月にかけて円錐花序を立ち上げ、たくさんの花を咲かせます。雌雄異株なので、雌花と雄花をそれぞれの枝先につけます。
アカメガシワの黄葉
秋には条件が揃えば、鮮やかな黄葉となります。
アカメガシワの冬芽・葉痕
冬芽は裸芽でふかふかとした星状毛に覆われていて、動きを感じさせてくれる頂芽の姿は愛らしいです。
アカメガシワについて詳しくはコチラで紹介しています。
▶ 参照:アカメガシワ
花冠の様子が夜明けの白んだ空に残る星々に見立てられたのが名前の由来と言われるアケボノソウの花。
象牙色の花弁に点描されたような濃紫の細点と大きめのやや緑がかった黄色の斑点はまるで絵付けを施された磁器のよう。花の径は2cm程と小さめ。
アケボノソウは9月から10月頃、やや湿り気のある山の沢沿い等でひっそりと花を咲かせるリンドウ科センブリ属の植物です。
アケボノソウの花冠の裂片数は変異が多いらしいですが、4〜6裂しているものが多いようです。
緑がかった黄色の斑点は蜜腺でアリがよく訪れています。
花弁の中央近くに蜜がこんもりと出ている様子は不思議で面白い光景です。
蜜をたっぷり出して、昆虫を惹き寄せて柱頭に他の花の花粉をつけてもらう作戦なんでしょう。
11月下旬、室内で水差しをしておいたところ、開花から1週間後、蜜はじわじわとで出続け、半球状になるほど溜まっていました。
授粉も行われず、柱頭は輝いたまま。おみやげをたっぷり用意してお客様の訪問を待ちわびているようです。
花弁の裏側から蜜が光る様子もホタルみたいで素敵です。
薄暗い緑陰の中、星型の花弁と太陽や月、明けの明星や星々のような模様と光る柱頭や花粉、花がたくさん咲いた時こそ曙の星のきらめきを感じさせたのかもしれません。
茎の断面は四角く、高さは60〜90cmになります。
11月になると果実が目立つようになります。
緑色から徐々に褐色になり、最初は口が開くような形になって2裂します。
11月中旬、実の状態を観察に行くと、刈り取られて無残な姿に。小さな花をつけているものもありました。
小さめの枝を数本いただいてじっくり観察することに。上記の室内で水差しして観察したものはこの時のもの。
果実の形は揃ってコーラスをしているか、うがいをしているか、はたまた口をあけた魚みたいに見えてユニーク。
果実の口を開いてみると、小さな黒い種子がたくさん詰まっていてポロポロとこぼれ落ちます。
こんなにたくさんの種子がばらまかれるのであれば、刈りとられたとしても今後もまた、たくさんのアケボノソウを見ることができそうです。
アズマイチゲの花は春の訪れを告げるように落葉樹林の縁などに可憐な姿を現します。3月上旬頃の様子。
春のわずかな期間、駆け足で葉を広げて花を咲かせ、一年分のエネルギーを蓄えた後は地上から姿を決してしまう春の妖精とも呼ばれる早春植物です。
早春植物の代表的な植物は、カタクリ、フクジュソウ、エンゴサク類など。
虫の少ない短い期間に効率よく虫に授粉してもらうため、目立つキレイな花を咲かせたり、群生するものが多いです。
光が弱くて気温が低いと虫が来ないので花を閉じます。春は花の痛むような風の強い時も多いので合理的な戦略。
東一華(アズマイチゲ)の名前の由来は関東地方に多く、1本の茎に1輪しか花をつけないことからだそうです。
やわらかい葉が垂れるように展開するのが特徴。
白い花びらのように見えるのはすべて萼片で花弁は退化して無いそうです。
3月中旬には葉が緑色に茂り、同じ花がまだ咲き続けていました。
キンポウゲ科イチリンソウ属の植物で毒性があります。学名はAnemone raddeanaといってアネモネとは仲間です。
同じキンポウゲ科イチリンソウ属に有名なニリンソウがあります。
参照:ニリンソウ ▶
アセビ (馬酔木) は3月中旬から4月にかけ、スズランのような花を咲かせます。房状につける沢山の花は舞妓さんの髪飾りみたいで可愛らしいです。
アセビはツツジ科の植物なので、同じツツジ科のドウダンツツジやブルーベリーと花の雰囲気が似ています。
アセビが漢字で馬酔木と表記されるのは馬が食べると神経が麻痺し酔ったような状態になるといわれる有毒植物だからです。そのためシカなどの食害を免れ山のあちらこちらで見かけます。
山に自生しているものは白い花が殆どですが、偶然にも淡いピンク色の花を見かけました。植林された木々の合間に可憐に咲き誇っていました。
赤味を帯びた新芽も美しいです。
アブラチャンはクスノキ科の落葉樹木。山地の渓流沿いなどでよく見られます。
3月中旬から4月、やや黄緑色を帯びた小さな黄色の花を葉に先駆けて咲かせ、早春の山を彩ります。
アブラチャンは雌雄異株・雌雄異花で雄株の方が花数が多くて目立ちます。
花粉が目立つ雄花の方が雌花と比べると華やかな印象です。
散形状についた小さな花は透明感があり繊細です。
雌株の花は雄株と比べると、疎らな感じ。雌花には花の中央に白い雌しべの柱頭が見えます。
アブラチャンは清々しい葉色で芽吹きや新緑もきれいです。
特に光に透けた赤い葉柄と明るい緑色のコントラストが魅力的。
5月上旬の雌株にはかわいらしい緑色の実がつき始めます。
6月上旬頃には実が少し大きく、丸くなっています。
7月上旬になると、実は直径が1.5cmのほぼ球形になって表面のざらつきが目立つようになります。
たくさんの緑色の丸い実が好き勝手な方向になる様子はかわいいです。
8月中旬頃の様子です。
9月下旬頃から実が褐色になり、弾けてかわいい丸い種子が姿を見せているものもありました。
チョコレート菓子みたいで楽しい。
たくさんついていた実は次々と枝から落ちて、寂しくなってきます。
環境によっては冬になっても実が落ちずに残っていることもあります。
11月中旬頃から美しい黄葉が秋を彩ります。
雄株にはすでに多くの冬芽がついています。
葉を落とすと、冬芽が目立つようになります。特に雄株は玉のような花芽がたくさん並んでいます。
冬芽は球形で柄のついている花芽と先の尖ったとんがり帽子形の葉芽があります。
雌株の冬芽の数は雄株に比べて少なく、花芽と葉芽がセットでついているものが多いです。
クロモジやダンコウバイも同じクスノキ科で似た花を咲かせます。
アブラチャン(油瀝青)は樹皮や種子に油分が多いことが名前の由来で、かつては灯油として利用されていたそうです。
10月中旬~11月頃、瑠璃色の実が宝石のように美しいイシミカワが目を惹きます。イシミカワは河原や道端などの日当たりの良い場所で見られるタデ科イヌタデ属のつる性植物です。
繁殖力が旺盛で刺があるため、厄介者として刈り取られてしまうのか、意外と見る機会が少ない植物です。
イシミカワの美しく色づいて果実に見えるものは花被(萼)です。
花が先終わると、花被は肉厚となって淡緑色からピンク、色鮮やかな青から藍色へと美しく変化します。
丸い托葉の上の実は、まるでお皿に盛られた宝石のようで美しいです。
同じのイヌタデ属の仲間の中でもお皿のようになる托葉や漿果のようになる花被が個性的です。
茎や葉の裏の葉脈上に下向きの短い刺があり、刺さると痛いです。
イシミカワは巻きつくことなく、この刺をひっかけながら、立体的に絡んで広がって伸びていきます。
葉は三角形に近い矢じり形でやや長い葉柄や花序の基部に丸くてお皿のような托葉がぐるりと1周、茎を抱くようについています。
つる性のイシミカワは伸びるごとに花芽をつくっていくので長い期間、花や実を楽しめます。
イシミカワの花
イシミカワの蕾から開くまでの花被は小さくて、葉に近い淡緑色をしていて目立ちません。
花期は7〜10月で、苞葉の上に盛られたような短い花穂をつけます。
5中裂した花被は大きく開くことがないので、開花しても目立ちません。
花は一斉に咲くことがなく、同色の蕾と開花した花と未熟果が同一花穂の中に混在するため、パッと見ると、実か花かも分かりづらいです。
イシミカワの種子
肉厚となった花被に包まれて黒くて丸いツヤのある痩果が入っています。
イシミカワなどタデ科の植物の種子は痩果の中に1つあります。
堅い果皮を取り除くと、種子が入っています。
種子の中にはでんぷん質の白い粉状のものも入っていました。
痩果:果実の中に1つ種子が包まれている果実。薄くてかたい果皮と種子が密着しているので、一見すると種子のように見える果実。
果実:子房が膨らんで大きくなったもの
種子:子房の中の胚珠が熟したもの
7月から8月、ウリノキが美しい藍色の実をつけてきれいです。
実が落ちやすいこともありますが、鳥や昆虫に人気があるらしくて、すぐに実がなくなってしまいます。
黒っぽく見える実が光の加減で鮮やかな青色に反射します。
初夏、七夕飾りを吊り下げたみたいなユニークなウリノキの花を見ることが出きます。開花と共に花びらがカールして、西洋音楽家の肖像画のカツラのような雰囲気で笑えます。
3〜4cmの白くて細長い蕾は畳んだ傘みたいにソフトに捻れていて何となく千歳飴みたいなカンジもします。
ウリノキは杉の植林の進んだ谷筋の道で見かける事の多い落葉低木で、瓜の葉に似た大きな特徴的な葉を広げます。若葉が鮮やかで綺麗です。
冬期はちょっと寂しいです。
3月下旬頃の冬芽の様子。
冬芽は褐色の毛に覆われています。
4月上旬頃の芽吹きの様子。
こちらは花芽もあります。
早春からたくさんの美しい空色の花を咲かせるオオイヌノフグリ。
美しい空色に縁取られた花の中心部は眩しい程に白く、その煌めきは夜空の星にも似ています。当たり前の存在で見過ごされがちなところもまた然り。
オオイヌノフグリは星の瞳と呼ばれることがありますが、それは雄しべの先の2つの瑠璃色の葯が瞳のように見えることに由来すると思われます。
オオイヌノフグリの花は半日ほどの寿命です。ぱっちりとした青い瞳の葯は陽の光により開花する比較的わずかな時間しか見る事ができません。
早朝に笑顔であいさつをしているように見える瑠璃色の瞳はユニークです。
陽の光を受けるに従って、白い花粉があふれ出て瞳はうるうると輝きます。
開花時に既に自家受粉しそうなものもあります。
オオバコ科クワガタソウ属というだけあって、2本の雄しべが兜の鍬形の形に似ています。 ※旧ゴマノハグサ科
星の瞳は午後になると、白くまばゆい花粉で覆われます。
夕方になると、花を閉じ始め、4枚に見える合弁花はその日のうちに閉じてポトッと落花します。
名前の由来はイヌノフグリの実の丸い形からですが、オオイヌノフグリの実はハート形です。
試しに室内で成長観察をしてみると、虫の来ない環境でも自家結実していたので自家受粉をするようです。
その後、完熟して種子もできていたので授粉の助けがなくても種子をつける事がわかりました。
瑠璃色とかコバルトブルー、群青色、藍色等、いろいろな青色に表現される花の色は秋から冬の澄んだ深い空色、春先の温かい淡い空色、爽やかな夏の空色を内包していてとても綺麗です。
のんびりと地上の星を眺めてみるのも楽しいです。
オニグルミが大きな奇数羽状複葉の葉を落とすと、その葉柄の痕である葉痕と冬芽が目立つようになります。
そこには羊や猿などの動物みたいな顔ぶれが表情豊かに並んでいたり、防寒服を着込んだような姿もあって面白いです。
オニグルミはクルミ科の落葉高木で、その実は水に浮き、川の流れに乗って種子を散布させます。そのため川沿いで見かけることが多いです。
果実は核果状の堅果で、堅い殻に包まれているため、果肉が腐っても中身が腐ることなく美味しいです。
渓流沿いの道を歩いていると、河原にオニグルミの若木もよく見られます。
オニグルミの若木は直線的な独特の枝ぶりをしています。
種子が漂着しやすく、生育に適した場所だったのか、河川敷に林を形成している所もあります。
オニグルミについて詳しくはコチラで紹介しています。
▶ 冬の散策ほっこり気分 オニグルミ
秋になると、あちらこちらで朱色に色づいた柿の実や柿の葉が輝き、景色を美しく彩ります。
カキの新緑もまた明るくてツヤやかでとてもきれいです。
カキは雌雄同株の植物で5月中旬から6月上旬に花を咲かせます。
※富有柿や次郎柿等は雌花しかつけない品種です。
カキの雌花は単独で咲き、大きな襟飾りのような顎が目立ちます。
カキの雄花はスズランのような壷型のかわいらしい花を複数咲かせます。
カキの雄花は時期が過ぎるといっせいに落ちてしまいます。
カテンソウは湿った川沿いや林の陰で地面に広がるように群生するイラクサ科の多年草で、3月中旬から4月頃にとても小さな花を咲かせます。
ピンク色のお菓子のようなかわいい姿は雄花の蕾。カテンソウは同じ株に雄花と雌花をつけますが、雌花は葉のつけ根に花を咲かせ、目立ちません。
受粉後の雌花の様子。
カテンソウは虫に頼らず、花粉を風で飛ばして運ばせるので、花弁も香りも蜜もない地味な花です。
しかし、雄花の花粉の飛ばし方が実にユニークです。
じゃんけんをするようにグーからパーに弾けて開く雄しべは忍術のように白い煙状の花粉を飛ばします。吹き戻し (ピロピロ笛) やバネ仕掛けのようにも見える面白い花です。
クワ科のヒメコウゾの雄花も同様に弾けて花粉を飛ばします。
オオイヌノフグリと比べても、ずっと小さな花ですが、見事に生き残り戦略が組み込まれています。
キササゲは中国原産のノウゼンカズラ科の落葉高木で6月~8月頃に淡黄色の花を咲かせます。
光のよく当たる川岸などに生育していて、キリに似た大型の葉が風に揺れる姿はダイナミックです。
赤飯に使われるササゲの莢に似た細長く垂れた果実をつけるのでキササゲ (木大角豆) と名前がついたそうですが実は食べられません。
8月中旬頃に、花とぎっしりとぶら下がった果実を見ることができます。
5〜15mになる高木のため、避雷針代わりに雷除けの木としてお寺や神社に植栽されることが多かったそうです。
8月初旬から中旬、明るい林縁などで見られるキツネノカミソリ。彼岸花に似た雰囲気の花がお盆の頃に群生する様子は見応えがあります。
狐の剃刀という名前も妖艶です。
彼岸花同様、花の時期と葉の時期が異なります。水仙に似た葉は夏に落ち、直立した茎に花だけがついているようになります。
四十八曲りルートの登山道近くにあるの白鬚神社周辺でも見られます。
キバナアキギリ (黄花秋桐) は秋に黄色のキリに似た花を咲かせるのが名前の由来となったシソ科の多年草。
山野のやや湿った日陰に生育します。
学名が Salvia nipponica という、日本原産のサルビアで、淡い黄色と紫色の色合いが特徴的な花を咲かせます。
上の方の紫色で細長く延びているのが雌しべで、その下の2つの紫色が花粉を出している雄しべの葯。通常は花弁の上の方 (上唇部) に隠れています。
花の中央で目立つ2つの赤紫色のものは葯の退化した仮雄しべ。これに誘われて虫たちがやって来るようです。
仮雄しべは、花粉を出す上の雄しべと繋がっています。授粉上手なハナバチが花の蜜を求めて潜り込む時、ここに乗ると、上部の葯がシーソーのように降りてきて花粉がハチの背中やお尻に触れる仕組みになっています。
花粉をつけたハナバチが別の花を訪花した際に雌しべの柱頭に触れることで他家受粉できるようになっています。
キュウリグサは花径2~3mmくらいの小さな花を野原や道端で3~5月に多数咲かせるムラサキ科の植物です。
小さいながらよく見るとワスレナグサに似た可憐な花です。
群生しますが、とても小さいので見過ごされがちな存在です。
葉をもむと胡瓜のようなにおいがするというのが名前の由来だそうです。
同じムラサキ科の植物のヤマルリソウはキュウリグサと比べると大きめで、清楚な美しい花を咲かせます。
参照:ヤマルリソウ ▶︎
クコは日当たりの良い川沿いの土手や道端などに生えるナス科の落葉低木。
晩夏から初冬にかけて艶やかな朱色の実が水滴のようにぶら下がります。
この実は枸杞子(クコシ)という生薬となり、肝臓や腎臓の働きを高め、目の妙薬として知られています。疲労回復や腰膝痛、頭痛やめまい等に薬膳料理としても使われます。また、果実酒は強壮薬として用いられてきました。
ナス科だけあって小ぶりながらも、実はナスと雰囲気が似ています。
葉は枸杞葉、根は地骨皮(ジコッピ)といって民間的に用いられています。
参考文献:家庭でつくれる薬膳 主婦と生活社
花期は7〜10月。小さめの赤紫色の花を咲かせます。
葉の緑色にクコの花色が映え、色合いが上品で優美です。
咲き始めの頃の葯が花に対して大きめで存在感があります。
花弁の基部の白色と紫色の筋のような模様がなかなかオシャレです。
枝には多数の棘があるのでご注意を。
クサギは山野に生えるシソ科※の落葉小低木で、盛夏にあちらこちらで花を咲かせて、辺り一帯にすばらしい芳香を漂わせます。※旧クマツヅラ科
また、花の咲く過程が面白いです。
袋状の萼から花筒が伸びて玉のようなかわいい蕾が姿を現し、開花します。
クサギの花はまず最初に長い雄しべが得意気に伸びます。花粉を出し終えると雌しべが上に反り返り、花柱の先端が2つに開くようになっています。
これは、自家受粉を避けるために雄性先熟になっているからです。
※先に伸びた雄しべが垂れ下がり、雌しべが立ち上がっている状態。(上写真 右上)
紫の花粉が輝く頃が綺麗で、開花時は花の蜜がたくさん出ていると思われ、カラスアゲハやモンキアゲハ、クロアゲハなどの黒っぽい色のアゲハチョウの訪花が目立ちました。
夜には甘い香りに誘われてスズメガ等がやって来るそうです。24時間営業の甘味処は大繁盛というわけですね。
葉や茎に傷をつけると嫌な臭いがするという事からクサギ (臭木) という名がついたそうです。
そこで、葉をちぎって揉んでみて臭いを確認しましたが、個人的には、臭いが名前になる程の酷い臭いだと感じませんでした。何となく薬っぽい臭いがするかなぁ、といった程度でした。
似たような理由で名前がついたとされるコクサギはミカン科で科が異なります。
▶ コクサギ
9月上旬、濃いかわいらしいピンク色の萼にラッピングされているクサギの実の赤ちゃんの姿もまた綺麗。
賑やかに咲き誇っていた花が姿を消す頃、美しい実が姿を現し始めます。
名前通りに臭い時期等があるのかもしれませんが、もう少し素敵な名前でも良かったと思われる植物です。
秋には星形の濃いピンク色の萼に縁取られたトルコ石やラピスラズリのような綺麗なブルー系の実が姿を現し、華やかです。どの青色も美しく、多彩な青色に心奪われます。特に明るい地球色がお気に入りです。
この実は染色で空色を出すのに使われます。青色を出すのに藍と同様、有益な植物です。
きれいな空色をだす藍染めについては興味のある方はコチラ
▶︎ 手軽に空色を楽しむ趣味の藍染め
クサギの幼木の冬芽から芽吹きまでの様子です。裸芽の表面は越冬用の短毛で覆われています。
ザリガニか異星人のような印象の赤い葉となった芽吹きもユニークです。
これほどまでに赤いのは紫外線の強い環境だったからかもしれません。
クサギの新緑は産毛で覆われ不透明でくすんだ感じですが、透過光で見ると彩りが綺麗です。
オニグルミと質感が似た雰囲気で肉厚な感じです。
近くで見ると若葉は繊細な白い産毛に覆われ、ビロードのような質感で素敵な触り心地です。
陽射しの弱い環境で育った葉は赤みが弱く、上品な色合いです。
8月下旬から9月中旬にかけて見頃を迎えるクズの花は秋の七草の1つ。
上品で綺麗なワインカラーの花からは甘いフルーティーな香りがします。
クズは房状の穂の下から上へと徐々に新しい花を咲かせます。
秋の七草
万葉集で山上憶良が詠んだ歌より
ハギ、オバナ (ススキ) 、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、アサガオ
※アサガオについてはキキョウ説が有力
▶ 参照:ハギ
根は和菓子・葛根湯に、葉や茎は家畜の飼料、丈夫な蔓はカゴや紐等に利用されてきた有益なマメ科の植物。
最近は需要が減り、旺盛すぎる繁殖力のせいで厄介者となっています。
かつて、日本からアメリカデビューしたクズは現在グリーンモンスターと呼ばれ侵略的外来種に指定されるほど。
日本では冬に落葉しますが、温暖な地域では猛烈な勢いで繁殖し続け、駆除の対象となっています。
そんなクズですが、ウサギさんはクズの葉、特に若葉が大好きです。
与える時は農薬などのかかっていないキレイな安全な葉を選び、与え過ぎには注意しましょう。
クロモジは葉や樹皮などに芳香のある精油成分が含まれていて、枝を折ると清々しい森の香りがするクスノキ科の落葉低木です。山地や丘陵地の林内でよく見られます。渋い黄緑色〜暗褐色を帯びた緑色の若い枝を広げた枝ぶりが特徴的。
クロモジは雌雄異株で、3~4月頃に淡い黄色の小さな花を房状に咲かせます。花弁は半透明で繊細で綺麗です。
大仁田山頂上付近では雌株も雄株も見ることができます。
雄株の方がよく見られ、雄花は花数も多くて花粉が目立つので雌花と比べると華やかな印象です。
若葉には白い絹毛が輝き、しなやかでとてもきれいです。
クロモジ (黒文字) の名前は濃い緑色の枝に黒い斑点模様が出てきて黒い文字が浮き出てきたように見えることからついたそうです。
開花し始めた雌株の芽吹きの頃の様子。雌花には花の中央に白い雌しべの柱頭が見えます。
雌花はあまり目立ちません。
同じクスノキ科のアブラチャンやダンコウバイも似た花を咲かせます。
クロモジは晩秋に美しく黄葉し、落葉します。
クロモジの冬芽は独特で茎頂に尖った葉芽とその下に丸い花芽をつけます。
落葉すると冬芽が目立ちます。
クロモジは樹皮に芳香があるため、樹皮を残した材は高級楊枝として使われてきました。
鎮静・抗菌・抗ウィルス、不眠症解消などに有効な成分があるとされ、最近は日本原産アロマとして人気があるのだそうです。
日本の代表的な民間薬ゲンノショウコ(現の証拠)は下痢止めの作用が即効性で現れるので、現に良く効く証拠ということから名前がついたそうです。
別名神輿草(みこしぐさ)の名も持ちます。一目瞭然、秋から初冬にかけてゲンノショウコのはじけた実はくるりんと巻いてお神輿の屋根みたいな姿となり、祭りの雰囲気を醸し出します。
ゲンノショウコはフウロソウ科の多年草で花期は夏から秋にかけてです。
ゲンノショウコは雌雄異熟の両性花。
同じ花でも雄性期と雌性期、両性期が混在しているので風情が異なって見えます。
雄性先熟という記述を多く見かけますが、そうでないものも見かけます。
赤花タイプも素敵です。
花が終わるとキャンドルみたいな実になります。
実は徐々に褐色となり、キャンドルの下の種子が目立ってきます。
種子が完熟すると、キャンドルの下部が5裂して巻き上がって、その勢いで種子を飛ばす仕組みとなっています。
自力で種子を飛ばすゲンノショウコは近場に種子を散布するため親株の近くで群生します。
紅葉したゲンノショウコのお神輿は秋祭りの装いです。
晩秋のにぎやかな祭りが終わると、冬の到来です。
またゲンノショウコと似た構造の植物で、初夏に花を咲かせ実をつける帰化植物アメリカフウロも派手めの色合いをしていておもしろいです。最近道端などで見られるようになりました。
5月下旬から6月上旬にかけて大仁田山の頂上付近で淡い青色のコアジサイの花の群生を見ることができます。
一見地味な印象ですが、よ〜く見ると繊細で、線香花火みたいに可憐に輝いていています。
紫陽花によく見られる装飾花は無く、全てが両性花です。
特に上品な淡い青色と白い花粉が輝く頃の清楚な雰囲気が素敵です。
初冬の頃、コアジサイはクロモジよりやや遅れて黄葉します。
秋にコウヤボウキの花を大仁田山頂上や愛宕山・いぼとり地蔵様付近や山道などで見ることができます。
コウヤボウキは茎が細くて草のように見えますが、キク科の落葉小低木。
淡いピンク色の花は小さくて目立たないですが、よく見るとリボンのようにくるりと巻いた花弁が魅力的。
花は長い筒状の小花がまとまって形成された頭花で、枝先につきます。
筒状花の先が長く伸びて、不同に5つに深く裂けて先端がカールします。
鱗状に重なっているのは総苞片。
筒状花の間の濃いピンク色は冠毛。
花は両性花で、雄性期から雌性期へと移行します。
雄性期、葯の先端から花粉が放出されます。
雌性期は葯の筒の内側から柱頭が現れて受粉可能になります。
秋から冬にかけて花がフカフカに変化した姿もまた面白いです。
フカフカにみえるものは冠毛。
タンポポの綿毛と同じで種子を風で飛ばす役割をします。
冠毛は白いものが多いですが、ピンク色を帯びたものもあります。
雪の残る大仁田山のコウヤボウキ。
総苞が開いて飛び立ちそうな種子。
種子が旅立った後に残された総苞片も花のようで美しいです。
とっても小さな冬芽は毛皮のコートで防寒対策。絹毛でおしゃれです。
厳しい冬を乗り越えたふかふかの毛を纏った芽吹きもまた可愛らしいです。
ドライフラワーのような総苞片と新葉のコラボ。
コウヤボウキの名前の由来は高野山で茎を束ねて箒の材料としたからだそうです。
コクサギは山野の沢沿いなどでよく見られるミカン科の落葉低木で、秋から冬にかけて美味しそうなナッツの殻のような果実を多数つけます。
この果実には面白い仕掛けがあって、木質の内果皮が乾燥に伴いバネの役割をして種子を遠くへ弾き飛ばします。
種子が弾き飛ばされるすばらしい動画がこちらで紹介されています。
コクサギの果実は2〜4個に分果する蒴果で、2つのものは遮光器土偶風で眼力が鋭くユニークです。
種子は黒褐色で光沢があります。
そして、種子を飛ばした後に、何事も無かったように殻を閉じます。
▶お散歩マーケット 秋の彩り コクサギ
果実は秋に熟し、緑から黄色へと変化します。
コクサギは葉のつき方が特徴的です。片側に2葉ずつ出る互生でコクサギ型葉序と呼ぶそうです。
また、コクサギは葉はカラスアゲハの幼虫の食草としても知られています。
葉にクサギ(臭木)のように特有の臭いがあるため、小形のクサギという意味合いから小臭木という気の毒な名がついたという説があります。
緑肥に用いられ、コクサ(肥草)から名前がついたという説もあります。
秋から初冬にかけて葉が黄色や朱色に美しく色づきます。
環境によっては葉も実も赤く色づいて綺麗です。
葉を落とすと冬芽と葉痕が目立つようになります。頂芽が大きく、丸いのは花芽だと思われます。
コクサギの冬芽はシャープなツートンカラーの芽鱗に覆われて小粋な感じ。三大美芽の1つといわれるのだとか。
芽吹きも勢いがあってきれいです。
コクサギの花
コクサギは雌雄異株で、4〜5月頃に黄緑色の雌花、雄花をそれぞれの株に咲かせます。同時に艶やかな濃い緑色の若葉も展開し始めます。
コクサギの雌花
雌花は数も少なく地味であまり目立ちません。柱頭の十文字が目立ちます。
コクサギの雄花
雄花は開花期に多数咲き乱れるため、雌花と比べ、華やかで目立ちます。
また、コクサギの枝葉の煎液は殺虫効果があるとかで家畜の皮膚の寄生虫の駆除に外用したそうです。
ゴンズイは9月~11月に赤い実が人目を惹くミツバウツギ科の落葉小高木で雑木林の林縁などで見られます。
赤い肉厚の果実が弾けると光沢のある黒い種子が果皮の縁に残り、鈴のようにぶら下がる姿面白く、鮮やかな赤と黒のコントラストが美しいです。
6月下旬頃に見られるゴンズイの未熟果は淡い彩りで可愛らしい。
シキミは3月~4月にかけてクリーム色の花を多数咲かせ、清々しい芳香を漂わせるマツブサ科の樹木。
乾燥させた樹皮や葉は粉にして抹香として用いられたという香木で、昔から日本の仏教と関わりの深い植物です。
常緑の葉は光沢のある美しい深い緑色で傷ついた時に良い香りを放ちます。
花はどこか神秘的な輝き秘め、美しくて素晴らしい香りです。しかしながら全木有毒のためか近寄るときに畏れのようなものを感じます。
特に果皮は猛毒でシキミの実は植物として唯一劇物に指定されています。
星型の実になる過程は面白いです。
秋から冬にかけて実が熟すと、種子をはじき飛ばします。
シキミの種をシイの実と間違えて食べて中毒を起こした例もありますので、特に子どもやペットが誤って食べる事のないようにご注意ください。
※毒性分の無い近縁のトウシキミは香辛料 (スターアニス・八角・大茴香)として用いられています。
その毒性と強い香りによる消臭効果を利用して、かつて土葬だった時代に獣に墓を荒らされないようにシキミを墓の近くに植えたのだそうです。
シキミの青々とした巨木を前にして、
人間到る処青山ありという言葉が脳裏をよぎりました。
じんかん いたるところ せいざん あり
※人はどこで死んでも青山とする所はある。
しがらみに囚われず故郷を出て大いに活躍すべきである、との意。
※青山とは青々と樹木の生い茂っている山。骨を埋めるのにふさわしい土地の事。
赤い実のなるミヤマシキミ (深山樒) は別の科 (ミカン科) の植物です。
秋にソバとよく似た可憐な花を咲かせるシャクチリソバ (赤地利蕎麦) 。
小さい花ながら白い萼片に濃いピンク色の葯と黄色の蜜線の彩りがきれいなタデ科の多年草です。
実をつけ始めたシャクチリソバ。
シャクチリソバは河川付近の路傍等で見かけるようになった帰化植物です。所によってはあたり一面を覆い尽くすほどに大群落を形成しているので繁殖力は旺盛なようです。
原産地のインド北部~中国南部では伝統的な薬用植物として根を利用していたそうです。
晩秋から初冬にかけて、ソバに似た実をつけます。
ジャケツイバラは日当たりの良い山野や河原に育つマメ科のツル性落葉木本植物。5月頃に鮮やかな黄色の美しい花を咲かせます。
5枚の花弁のうち、上側の1枚だけがやや小さめで開くと蝶のよう。雄しべと同じ赤い色の模様があります。
長めの花柄のついた丸い蕾から徐々に開花する様子も面白いです。
近くで見るとあまり似ていませんが、遠目に見るとフジを逆さまにしたような花に見えるためか別名カワラフジと呼ばれます。
ジャケツイバラ(蛇結茨)という名はヘビが絡み合うようにして蔓(枝)が伸び、茎や葉軸に鋭いカギ状のトゲが多数あるのが由来だそうです。
花は綺麗ですが、鉄条網のような枝にうっかり近づくのは危険です。
5月下旬から6月上旬、小判のように平たくて大きな実が目立ち始めます。爽やかな緑色で軽やかです。
豆果の大きさは7〜10cmぐらい。
9月〜11月、種子が熟すと豆果の上部が開き種子が姿を現します。
妖怪の口みたいで恐ろしげ。
豆果は冬を越え、初夏になっても枝先に残っているものもあります。
種子の生薬名は雲実(うんじつ)と呼ばれ、大腸菌などに抗菌作用があり、マラリアの解熱と下痢止めに使われるのだとか。
ジャケツイバラは葉も綺麗です。
春のお散歩マーケットの山道コースではうさぎの耳と呼ばれるシロダモの金属光沢に輝くフカフカの若葉を見ることができます。わずかな期間限定の季節の楽しみなので、興味のある方は探してみてくださいね。
シロダモに興味のある方は
癒しのかわいいフカフカ植物内にて、詳しく紹介しています。
参照:うさぎの耳 シロダモ ▶
セキヤノアキチョウジ (関屋の秋丁字) は箱根の関所の番小屋でよく見られ、丁字形の花を咲かせることから名前がついたシソ科の多年草です。
9月から10月頃にかけて、やや湿り気のある山陰で青紫色の可憐な花を多数咲かせます。
陽に当たると透明感が出て綺麗です。
よく似たアキチョウジと比べ、花柄が長くて萼片が鋭いのが特徴です。
細長くて筒状の花の先端は小魚が口を開けているようでユニークです。
だんまりを決めたような口をしっかりと閉じた蕾も可愛らしいです。
▼左上の花は雌しべが見え、右の萼の中には種子の卵が見えます。
なにか物語を感じさせてくれる面白い花の姿です。
3月~5月にかけてセリバヒエンソウが可憐な花を咲かせます。
セリバヒエンソウは草地や林の縁などで見かけるキンポウゲ科の帰化植物で原産は中国。年々繁殖範囲を広げていて、目にする機会が増えています。
セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草)の名はセリのような葉とツバメが飛んでるような形の花からついたそうです。
とは言っても、花の形自体は飛翔するツバメには見えません。
しかし、セリバヒエンソウの花は二股となった花軸に2個並んで咲くため、花があちこち気ままな方向を向くため躍動感があります。
そこで群生する姿を見ると、軽やかで明るい黄緑色の葉の上で、淡い上品な紫色の花が自由自在に飛び交うツバメのように見えてきました。
学名:Delphinium anthriscifolium
園芸種のデルフィニウムと同じ属の植物で、蕾がイルカ(Delphis)に似た形からついたとか。これも尾びれがないためにイルカよりも魚に見えますが、躍動感に因るものでしょうか?(笑)
梅雨入りの頃、シャングリラ付近で見事に咲き誇るセンダンの花を見ることができます。
ことわざにある「栴檀は双葉より芳し」のセンダンは白檀のことを指し、この樹のことではありませんが、花も実も美しい大木です。初冬に光り輝く実を房なりにつけます。
センニンソウ (仙人草) は樹上に覆い被さるように育つツル性植物で、陽当たりの良い山野や沢沿いの道端などに自生するキンポウゲ科の有毒植物です。
夏から秋にかけて白い芳香のある花を咲かせます。花はあたり一面を覆い、滝のように咲き乱れます。
また、秋から冬にかけて羽毛状の花柱をつけた仙人を髣髴させるユニークな実も目を惹きます。
紅葉の時期に赤く色づいた実も金魚のようできれいです。
12月頃に見られる白いフカフカの毛を纏った赤い色の実はサンタクロースみたいな雰囲気を醸し出しています。
似た植物にボタンヅルがあります。
こちらは牡丹のような葉の切れ込みがあるのが特徴です。
センニンソウ・ボタンヅルについては癒しのかわいいフカフカ植物内にて、詳しく紹介しています。
参照:風の舞姫 センニンソウ ▶
玉のようなつぼみが愛らしい玉紫陽花(タマアジサイ) 。
山地の沢沿いなどの湿った場所に自生し、7〜9月頃に苞(ほう)に包まれた球形のつぼみが外側から順次はじけて、線香花火みたいに開花する様子もまた面白いです。
一般的なアジサイと比べると、花期が遅くて長いのが特徴です。
あまり目立ちませんが、白色を帯びた若葉の頃も赤い葉柄とのコントラストが綺麗です。
新葉は白い産毛に覆われ、フカフカとした優しい手触りですが、成長と共にゴワつきます。
チカラシバ(力芝)はその名の由来が引き抜く時に力を要するという根を強く張るイネ科の植物。
平地や道端等でよく見られるお馴染みの野草です。猫じゃらしと似た雰囲気ですが比べるとかなり大きめで剛毛で、チクチクします。
夏から秋にかけて、紫色を帯びた細長いブラシのような花穂をつけ、熟した実はひっつき虫になるので厄介ですが、広々とした自然の中で見る群生は見応えがあります。
特に、雨上がりの露をまとった花穂の輝きは素晴らしいです。
手前がエノコログサ、中央右がチカラシバ、奥がススキです。大きさの違いがわかります。
葉が緑茶として使われているお馴染みのチャノキはツバキ科の常緑樹。
新茶となる初夏の艷やかな葉は眩しく輝き、とても美しいです。
10月から12月に白くて小さな花弁にあふれんばかりの黄色い雄しべが特徴的な花を咲かせます。
咲き始めの頃の花はどことなくゆで卵のような雰囲気で愛らしいです。
山道を歩いていると野生化した樹木も多々見かけます。 茶の花は冬の季語だそうで、秋も終わり花の少なくなった時期に目立ちます。
弾けた実には丸くてかわいらしい茶色の種子が入っています。
ツリガネニンジンはキキョウ科の多年草で、釣鐘状の花と朝鮮人参に似た形の根を持つ山野草です。
8月から10月にかけて咲く淡い青紫色のベルのような花の姿が可憐です。
根は朝鮮人参のような強壮作用はありませんが、強壮・鎮咳・去痰薬として使われる薬用植物です。
ツリガネニンジンは自家受粉を避ける両生花で雄性先熟です。
雄花期の雌しべの先端は棍棒状。
雌花期になると、雌しべの先端を浅く3裂させます。
春の若葉は山菜として親しまれていて、トトキの名でも知られています。
ツリフネソウ(釣船草・吊舟草)は花が舟に見立てられたことから名前がつけられたツリフネソウ科ツリフネソウ属の植物です。水辺などの湿潤な環境に自生します。
花は8月から10月頃に見ることができます。秋の草むらで大きくて鮮やかな花色は存在感があり、目を惹きます。
花の後ろのクルッと巻いた渦巻き状の距に甘い蜜をためていて虫を誘い込み授粉を促す妖しい雰囲気の花です。
花の中にハナバチが潜り込むと背中に花粉がジャストフィットする仕組みは見事です。
花弁の基部に短い花糸と葯が合着した白い5本の雄しべが、緑色の雌しべを包んでいます。
緑色に見えるところは雌しべの子房で柱頭は葯に包まれていて見えません。
雄しべが花粉を出し終えると雌しべが現れ、両性期になるそうです。
11月上旬に見かけた、舟というよりは魚のようなツリフネソウの花。
ツリフネソウの実はパンパンに膨れると、クルンと跳ねるように弾けて中の種子が飛び散る自力散布タイプです。
試しに実にわずかに触れると、即刻弾けて果皮の部分が瞬時にクルクルと巻き、原型がわからない状態に…。
未熟なツリフネソウの実の中を見てみると緑色の種子2つ入っていました。見慣れない構造です。
ツリフネソウは花も実もクルっと巻いてユニークです。
同様に種子を弾けて飛ばすホウセンカもツリフネソウ属の一年草です。
ツルウメモドキは秋に熟すと黄色い実が3裂し、鮮やかな朱色の種子が現れるニシキギ科の落葉つる性植物です。
黄色と朱色のコントラストの美しい実は生け花の花材やリースなど、装飾用素材として用いられ人気があります。
実は野鳥により、散布されます。
5月下旬から6月中旬にかけて、スギやヒノキ等の植林された山道を歩いていて、フッとスイカズラのような爽やかな香りがしてきたら、辺りを見回してみてください。たくさんの白い花を咲かせているテイカカズラが背の高い大きめの木にびっしりと巻きついている姿を見ることができるでしょう。
定家葛の名前の由来は平安末期・鎌倉初期の歌人で小倉百人一首の撰者でもあった藤原定家のストーカーめいた能の物語に拠ります。謡曲の中で定家が思い焦がれる式子内親王の墓に死んでもなお蔦葛となって、離れる事なく、まとわりつく様子が語られています。
真っ赤に紅葉したテイカカズラの葉も激しい情念を感じさせます。
ですが、奥武蔵の山付近で見かける多くのテイカカズラは1月の寒波がやってきても青々としていて、紅葉しないものが多いです。
テイカカズラはサヤインゲンを長〜くしたような赤褐色2本セットの袋果に収納している大量の種髪つきの種子を冬の寒空に旅立たせます。
真冬に乾燥しきったテイカカズラの実が登山道のあちらこちらに落ちていました。拾ってみると中には美しい種髪をつけた種子がぎっしりと格納され、飛び立つ機会を伺っていたようです。
冬の風の強い日などは澄みきった青空にふわふわと舞うテイカカズラの種子を見ることができます。
※テイカカズラはキョウチクトウ科の有毒植物。
ニリンソウは4〜5月頃に白い可憐な花をつけるキンポウゲ科の多年草。
白い花びらのように見えるのは萼片で花弁は無く、花の径は2cmほど。
春の妖精(スプリングエフェメラル)とも呼ばれる代表的な早春植物です。
春の時期に陽が射し込む山野の林内や渓流沿いの林床などのやや湿った場所で見かけることが多いです。
ニリンソウ(二輪草)の名は茎の先に花を2個つけることから。ひとつずつ時間差で咲くことが多いようです。
個体差により、1〜4つの花を咲かせることがあります。
萼片の数も5枚が多いけれど、もっと多いものも見られ、色もピンク色を帯びたものもあります。
ニリンソウの葉の表面には淡い斑模様があり、花序の基部につく葉に葉柄が無いのが特徴です。
ニリンソウの痩果
1つの茎から2輪の花が咲き揃う頃、先発隊の雌しべが膨らみ始めます。
複数の雌しべがあるニリンソウは数個の痩果ができます。
萼片が落ちる頃、ニリンソウには黄緑色から褐色になったものや小さな黄緑色のままの痩果が数個できています。
痩果の数や状態は未熟そうなものから完熟したものまで個体差があります。
痩果は軽く触れただけで、ポロポロと落ちてしまうほど外れやすいです。
終わりかけの花から種子がこぼれ落ちそうになっているものもありました。
種子の先端に痕跡的に残る黄色っぽいポッチの花柱はエライオソーム的な役割をしているのでしょうか?
エライオソーム(種枕)というのは植物が自分の種子をアリに遠くへ運んでもらうためのご褒美的な役割をする栄養豊富な付着物のこと。
エライオソームを持つ植物にはスミレやケマンの仲間、カタクリ、フクジュソウなどがよく知られ、ニリンソウにもあるといわれていますが、実際はどうなんでしょうか?
同じキンポウゲ科イチリンソウ属で華やかなアズマイチゲも紹介しています。
参照:アズマイチゲ ▶
ニワトコは春に他の樹木に先駆けて芽吹くので縁起が良いとされてきた落葉低木です。陽当たりの良い山野の林縁などに自生しています。
葉と花がセットで入った丸くて大きな冬芽 (混芽) とユニークな葉痕は冬の季節を楽しませてくれます。小さな冬芽は葉芽です。(1月中旬頃の様子)
2月上旬に冬芽が開き始めました。
寒波が到来して雪が残る中、一足早い美しい緑色の芽吹きです。
ニワトコの芽吹きは、まるで蝉が羽化するかのような躍動感があります。
色彩の乏しい季節においてその芽吹きはひときわ映えます。
2月下旬頃、春の訪れを喜んでポールダンスを踊っているような芽吹き。
力強く姿を現すニワトコのつぼみは樹になるブロッコリーのようで存在感があります。その後もスピーディーに成長します。(3月上旬頃の様子)
大きな頭飾りをつけたニワトコの葉痕もかわいらしい。
3〜5月にかけて円錐花序に黄白色の小さい花をたくさん咲かせます。
その後、実になります。
6〜8月にかけて赤から暗赤色に熟した果実は鳥の好物で、赤くなるとすぐになくなってしまいます。
珍しく残っていた赤い実。
骨折の治療の際に湿布剤として枝や幹を煎じて水あめ状になったものを使用しため、接骨木 (セッコツボク) という呼び名もあるのだそうです。
渓流沿いに自生するネコヤナギが2月下旬に見頃を迎えます。所によっては群落を見ることができます。
ふかふかとしたネコヤナギの花は寒さ厳しい中、見る者の心をほっと和ませてくれる嬉しい存在です。
午後の光の中、コガモやマガモなどの水鳥とネコヤナギが渓流でキラキラと輝いて、時も長閑に流れます。
その少し上流ではダイサギが辛抱強く獲物を狙っていました。
リズミカルに尾をフリフリする姿が愛らしい冬のふっくらキセキレイ。
5月から8月頃に日当たりのよい草地や芝生などで小さな花を螺旋状につけるネジバナ。ユニークなことに螺旋は右巻きであったり左巻きであったり、軌道修正していたりといろいろ。
ネジバナの別名はモジズリ (綟摺) 。
モジズリといえば百人一首。
陸奥の しのぶ もぢずり 誰ゆゑに
乱れそめにし われならなくに
現代語訳:
あなた以外のだれのために、みちのくのしのぶもぢずりの乱れ模様のように心を乱す、わたしでありましょうか
モジズリというのは、東北地方の信夫郡(しのぶぐん)で作られていた織物「信夫捩摺り」のよじれた模様と花のつき方が似ているところから、このように呼ばれるようになったんだとか。
特徴的なネジレは悶えているというよりは揚げドーナッツみたいなおもしろさがあり、なんだか美味しそうです。
5mm弱の小さな花ですが、ラン科の花だけあって、よく見るとゴージャスで綺麗です。
6月から7月にかけて、大仁田山を含む奥武蔵の渓流沿いなど、あちらこちらでフワフワとしたピンク色のネムノキの花を見ることができます。
ネムノキはマメ科の落葉高木で、芽吹きが遅いのが特徴です。
葉が出て来たと思ったら、意外と速く花を咲かせているスロースターター。
羽根のような葉が風を受けて波のように揺れ動くので、それに連動して揺られる枝先についた軽やかな花は、舞うように揺られて清涼感があります。
ほわほわとしたピンク色の鳥の羽毛のように見えるのは小さな花がたくさん集まっている雄しべです。
オジギソウのようなかわいい葉は夜になると閉じて垂れ下がり、眠るのだそうです。それでネムの木なんですね。
秋になるとノブドウの実は虹の七色のように変化に富んだ実となり、とても綺麗です。
ノブドウの実の素敵な色は虫の寄生によるものだとよく耳にします。その実態を考察をされている興味深いサイトを目にしました。▼こちらです。
ノブドウはブドウ科ノブドウ属のつる性植物で、野原や道端、山野などに自生し、実は食用になりませんが、乾燥させた茎葉や根は蛇葡萄、蛇葡萄根と呼ばれて関節痛などの生薬として用いられるのだそうです。
7月から8月にかけて、小さくて淡い黄緑色の花をたくさん咲かせますが、夏の強い日差しの中、目立ちません。
8月下旬頃になると、実が少し目立つようになります。
秋の七草の1つであるハギは夏から秋にかけて可憐な花を咲かせます。
普通、ハギというとヤマハギを指します。
ハギの仲間は種類が多く、よく見られるのが枝が長くて枝垂れやすいミヤギノハギでヤマハギの枝はほとんど枝垂れません。
ハギは漢字でも草かんむりに秋という表現をされる秋を代表する花で、山野に自生するマメ科の落葉低木です。
※萩は日本人が作った国字という和製漢字で、中国語の萩は別植物だそうです。
古くから、日本人に親しまれてきた植物だったようで万葉集において最もよく詠まれた花ということです。
ですが、開花期も葉と混在してまばらな印象のためか、昨今では見過ごされがちな存在となっているようです。
暑さが和らぐ頃に花の最盛期を迎え、初秋の風に軽やかに花枝が揺れる姿は風情があります。
白露も こぼさぬ萩の うねりかな
松尾芭蕉
花や葉にあふれるように白露を宿して、しなやかにたわんでいる萩の枝が、露を落とすことなく秋のそよ風になびいて、優美に大きくゆるやかに揺れている。
白いハギの花も清楚できれいです。
中秋の名月とハギの花で秋を楽しむのも良いのではないでしょうか。
8月中旬から秋にかけて樹林の下などの半日陰の草むらの中で、ポツンポツンとピンクの花が目立つハグロソウ。
キツネノマゴ科の多年草です。
口を大きく開けたような2裂した花冠がシンプルながらユニークです。
ハグロソウ (葉黒草) の名前は、木陰等の比較的暗い場所で育つ暗緑色の葉が黒っぽく見えたというのが由来だそうです。葉は角ばった茎に対生します。
6〜8月頃、ハナイカダのずんぐりとして艶のある実が葉の中央にチョコンと鎮座する様子が奇抜で面白いです。
ハナイカダは山地や林縁のやや日陰の湿った環境で見られる落葉低木です。
ハナイカダ(花筏)という風流な名前は花が葉の中央の葉脈上につく様子が葉の筏に乗っているように見えることに由来するそうです。
ハナイカダの花
ハナイカダは雌雄異株で4月から5月にかけて、それぞれの株に雌花と雄花を咲かせます。どちらも葉と似た色の小さな目立たない花です。
花柄と葉柄・葉脈の一部が合着しているため、主脈は花のつく所までが太くなっています。
新緑の季節、若葉の裏から花の影が見えるのもハナイカダならではの光景。
ハナイカダの雄花
ハナイカダの雄花は1枚の葉の主脈上に数個ずつ集まって咲きます。
ハナイカダの雌花
ハナイカダの雌花は通常、1枚の葉の主脈上に1つ咲きます。
時として複数の花を咲かせます。
受粉後の様子です。
ハナイカダの実
6月上旬頃から緑色の実は徐々に大きくなって目立ってきます。
筏に乗った実が楽しいです。
中には2つや3つの実がついているものもあります。
7月上旬には濃い紫色に色づき始めたものも見られます。
7月中旬から8月にかけて、黒紫色になり、ツヤツヤとして光る実は葉の上で目立ちます。
しばらくすると、葉からすっかり実が無くなっていました。
鳥や野生動物にとってはお皿に盛られたご馳走なのかもしれません。
ハナイカダの冬芽と葉痕
ヒメコウゾは雌雄同株のクワ科の落葉低木で4月から5月にかけ、展葉と同じ頃に雌雄異花の花を咲かせます。
奇妙な姿の雌花は新枝の上部につき、雄花は新枝の基部につきます。
この配置はヒメコウゾのような雌雄同株の風媒花に見られる特徴で、雌花の柱頭に同じ株の花粉をつきにくくして自家受粉率を下げるようです。
また、花粉の飛散が葉で遮られないように葉が茂る前に開花するようです。
前衛芸術の太陽のオブジェのようにも見える雌花の異様な風貌はウニのようにも、地球外生命体のようでもあり、ユニークです。
ボールのような球形に見えるのは雌花が集まった雌花序。鮮やかな赤紫色の糸状のものは花柱。
多数の雄花が集まった雄花序のつぼみはブドウかクワの実のよう。
風媒花のヒメコウゾは花粉量が多いために葯が大きいのだそうです。
雄花の萼片と雄しべは4個。
花糸は、折りたたまれた雄しべが弾けるように伸びて花粉が飛び散る仕掛けとなっています。
ヒメコウゾは低山の林縁や道端、荒れ地になどで見られます。
6月頃に実は徐々に朱色に熟します。
クワやキイチゴと雰囲気が似た綺麗で美味しそうな実です。
甘くて食べられるものの、食感が悪く評判は良くないです。
果実は痩果が集まった集合果で液質となった花被が痩果を包んでいます。
参考文献:草木の種子と果実 誠文堂新光社
和紙に使われるコウゾはヒメコウゾとカジノキの雑種で雌雄異株の落葉樹。
自然界では交配もあって区別が難しいのでヒメコウゾを通称コウゾとしてしている場合も多いのだとか。
成長の速いコウゾが中国から渡来するまではヒメコウゾが和紙の大事な原料の一つだったそうです。
コウゾと同様に和紙の原料として知られるミツマタに関してはこちら
▶ ふかふかのくす玉 ミツマタ
ヒメツルソバはストロベリーチョコレートを思わせるピンク色で、金平糖のような形の1cmほどの小さな花を地面を覆い隠すように咲かせます。
ヒマラヤ原産のタデ科の植物で、花期は夏を除く初夏から晩秋までと長く、半野生化している程丈夫な植物です。
咲きたての花は濃いピンク色ですが、徐々に白っぽくなっていきます。
秋にはがグラウンドカバー化した葉が紅葉して、花とのコンビネーションがきれいです。
フクジュソウは、枯れ色の早春に緑色の葉と光沢のある黄色の花を咲かせ、ひと際目立つ存在です。
フクジュソウのように春一番に先駆けて開花するスプリング・エフェメラル(春の妖精)の存在は色彩乏しい季節の山野歩きを楽しませてくれます。
フクジュソウの花が陽が当たると眩しく輝いて見えるのは太陽光を集めるように花びらを開いて反射させ、花の中の温度を上げる事で授粉にきてくれる虫たちを誘引するのだとか。
開いた花の中に指先を入れてみると、ほんのり温かい感じがしました。
開花期はまだ寒い時期なので、授粉してくれる虫たちに居心地の良い場所を提供するサービス戦略なんですね。
あったか作戦の効果か、あちらこちらに緑色の実がついていました。
※縁起の良い名前の福寿草ですが、キンポウゲ科の植物で毒性があります。
フサザクラは沢沿いに多い落葉小高木でパイオニア的植物です。色彩の少ない季節に枝に赤い花をたくさんつけるので樹全体が赤く見えて目立ちます。
3月下旬、葉に先駆けて房状の特徴的な赤い花を咲かせます。樹皮がサクラに似ているのでフサザクラという名前がついていますが桜ではありません。
フサザクラの花には花弁も萼もありません。蕾は化粧刷毛みたいです。
花はたくさんの雄しべと雌しべが房状に垂れ下がった両性花で、カツラの花と雰囲気が似ています。
淡緑~暗紅色だった雄しべの葯は徐々に色あせていきます。
雌しべは雄しべより短くて、雄しべの花糸の基部に隠れて目立ちません。
ゴルフクラブのような形をしているのが雌しべです。
初夏に、展開したばかりの赤味を帯びた若葉も綺麗です。
葉は大葉の切れ込みを不揃いにしたような形です。
目立たない色合いですが、実もついています。
冬芽もまた綺麗です。
芽鱗という言葉がぴったりの鱗状の艶やかなコートを身に纏った鱗芽。
フユイチゴはバラ科キイチゴ属の蔓性常緑小低木で湿り気のある山地の林下や林縁の道路沿い等で見られます。
花期は9〜10月頃で、11月〜1月頃に実が赤く美しく熟します。
晩秋から冬の彩りの少ない季節に赤い宝石のように輝くフユイチゴの実は葉の緑色とクリスマスカラーで暗い森の中でひときわ目立つ存在です。
蔓状の茎が地面を這うように伸びて広がり、冬のストロベリーフィールドを形成する光景は童話の世界のよう。
フユイチゴは葉の先が丸みを帯びて尖り、棘が無いのが特徴。
また、葉の裏や萼の外面や花柄に短毛が密生します。
ミヤマフユイチゴ
似た仲間にミヤマフユイチゴがあり、混在して見られることもあります。
ミヤマフユイチゴは葉が浅く3〜5裂して先端がやや尖り、葉の裏や葉柄、茎に棘があって、萼の外面がほとんど無毛なのが特徴。
赤い大きな粒は色違いのイクラのような雰囲気。(笑)
8月下旬から10月頃にかけて白い花を咲かせます。
その他、交雑種のアイノコフユイチゴなどもあります。
これらの美しい赤い実は甘酸っぱくて食べることができます。
鳥の名前のようなホトトギス(杜鵑)は夏から晩秋にかけて独特な斑模様の花を咲かせるユリ科ホトトギス属の多年草で山野の斜面などの日陰で目にすることがあります。
花びらの斑点模様が鳥のホトトギスの模様と似ているのが名前の由来だそうです。
ホトトギスは交雑が激しいらしくて、タイワンホトトギスや交雑種などの異なる花も多く見かけます。
激しい斑点模様の花は当時の不治の病を連想させ、正岡子規の苦悩や悲しみを感じさせます。
こちらはヤマジノホトトギス。
6月から7月にかけて、山地の林縁で目立つ白い葉はマタタビです。
マタタビはマタタビ科のツル性落葉樹でネコにマタタビで知られる植物。
マタタビは花の咲く6月頃になると、枝先の葉が白くなり始めます。
遠くからでも白く目立つ葉に惹かれてやってきた虫たちが茂った葉に隠れていた花に気づいて授粉をしてくれるという仕掛けになっているようです。
白い色は葉の表面側に空気が入っているためで、色素が抜けているわけでもカビなどの付着物でもありません。
近くで見ると本当に真っ白です。
よく茂って藪のようになっている中で白さが際立っています。
花の咲き始めた時期の葉を水の中で指で押すと、空気が押し出されて緑色に戻ります。
参照:またたびの葉が白くなるのは
7月下旬、マタタビの白い葉は少し緑色に戻りつつありました。
葉を水の中に浸して空気を出すと緑色に変化しました。白い葉の方が表面が滑らかですべすべしています。
しばらくすると、また空気が入ったのか元の色に戻りました。
白い葉の裏側は普通の緑色です。
マタタビの花
マタタビは雌雄異株で両性花(雌花)を咲かせる雌株と雄花を咲かせる雄株があります。どちらも白い花弁が5枚で多数の雄しべがあります。
マタタビは別名、夏梅といわれるだけあって梅の花と雰囲気の似た花を咲かせます。お茶の花にも似ています。
マタタビは本年枝の中間あたりに花を咲かせます。目立たない花の在り処を眩しい白い葉でアピールしています。
6月上旬から中旬にかけて白い葉の奥にたくさんの蕾が待機していました。
丸くて可愛らしい蕾が葉腋から下向きについて、実のようにも見えます。
マタタビの両性花
6月中旬から下旬にかけて、両性花と受粉を終えた実の赤ちゃんが下向きに並んでいました。
花の中央の白く放射状に広がっているのは雌しべの柱頭で、周囲を雄しべが取り囲んでいます。
両性花は受粉後、不要となった雄しべと花弁を落とします。
マタタビの両性花の葯に含まれる花粉には発芽力が無いそうで機能面からすると両性花ではなく、雌花になるようです。
しかしながら、雄しべには虫を誘引するという重要な役割があるようです。
詳しくは下記サイトへ。
参照:マタタビ 花と果実
マタタビの実
6月下旬から7月中旬にかけて、実が大きくなって目立ってきます。
マタタビの通常の実はドングリのような砲弾形をしています。
それとは別に、カボチャのようなでこぼこした大きな実もあります。
これは虫こぶ・虫えい果で、正確には果実ではありません。
虫こぶはマタタビミタマバエが蕾に産卵することによって出来たもので、雄花も同様の虫えい果になってしまいます。
気味が悪いのですが、こちらの実こそが木天蓼(もくてんりょう)と呼ばれる高級な生薬となります。
マタタビは白い葉と花粉つきの両性花により授粉客の確保に努めています。
でも種子を作る前に招かざる虫にやられてしまい、漁夫の利を得るのは人間と猫ということでしょうか。
猫にマタタビの諺があるとおり、ネコ科の動物に枝葉や果実を与えると陶酔する、とも言われていますが、大脳や脊髄、延髄を麻痺させる作用もあるそうなので、与え方には注意が必要だそうです。
秋になって熟してくると実はオレンジ色に変化します。
マツカゼソウ(松風草)はミカン科唯一の草本で、山地の林縁や林道脇などの日当たりの悪い林床に自生します。
クローバーやニセアカシアような薄くて柔らかい丸みを帯びた葉が大・中・小リズミカルに並び、平らに広がり風に揺れる姿は風情があります。
春の新緑、夏から秋にかけての小さく白い花は名前に風の名を持つ通り、いつも風にしなやかに揺れて地味ながらも美しいです。
柔らかくて美味しそうに見える葉ですが独特の臭いのせいでシカの食害から逃れているのだとか。
初冬の頃に見かけたマツカゼソウの花はほんのりピンク色で可憐でした。
辺り一面咲いている花は蕾も含めて、すべてピンク色を帯びていました。
実の大きさはかなり小さいですが、形は同じミカン科のコクサギによく似ています。
マユミはキャラメルのようなユニークな形の実を多数枝にぶら下げるようにつけるニシキギ科の樹木です。
10月から11月にかけて、花と見まがうばかりの白やピンク色となった美しい実の仮種皮が4つに割れて、鮮やかな朱色の種子が顔を出します。
材質は緻密で狂いが少なく粘りがあることから弓を作るのに使用されたため真弓と呼ばれるようになったのが名前の由来だそうです。
マユミの花は印象的な実とは異なり、小さな薄緑色の4弁花で地味です。
マユミは雌雄異株で、雄花 (退化的な雌しべがある) のみをつける雄個体と雌花 (退化的な雄しべがある) のみをつける雌個体に分かれるのだそうです。
参照:6-1. 花を構成する要素 単性花
マユミの花は花盤の表面全体が蜜腺となって蜜を出すのだそうで昆虫がよく訪花しています。
参照:6-6. 動物媒花:選別 6-6-4. 選別をしない花
8月から9月にかけてミズキの実の色の変化が、ブドウみたいにカラフルできれいです。熟すと赤い花柄に濃い紺色の実となり目立ちます。
ミズキの実は鳥やツキノワグマの好物なんだそうで、よほど美味しいのか、色づいた実はすぐに食べられてしまい見られる期間は短いです。
近年は奥武蔵でもツキノワグマの出没情報がありますので秋の山を歩く時はミズキの木を見かけたら注意が必要ですね。
ミズキの枝は横にしか伸びずに放射状に広がるので、 段々に並んでいるような特徴的な樹形となります。
ミズキ (水木) という名前は春先の芽吹きの頃に地中から多量の水を吸い上げるため、枝を切ると水のような樹液が出るからだそうです。
春に姿を現す蕾はブロッコリーみたいでかわいいです。
5月から6月にかけて枝先にたくさんの白い花をつけます。
冬芽も艶やかで鮮やかな赤い色をしていてきれいです。
ミズキは四季折々楽しい変化を見せてくれます。
ミゾソバは山野の水辺などに群生し、8月~10月にかわいらしいピンク色の花を咲かせるタデ科の一年草です。
ミゾソバは溝などの湿った場所に生育し、葉がソバに似ていることから名前がついたそうです。 (▼参照:ソバ)
ソバもまた、タデ科の一年草で綺麗な花を咲かせます。
白やピンク色の花弁に見えるものは萼が花弁状になったもので、開花と共に濃い色から淡い色に変化します。
蕾の時にコンペイトウ (金平糖) と似ているのでコンペイトウグサという呼び名もあるそうです。
ママコノシリヌグイやヒメツルソバなど、同じタデ科の花の蕾も金平糖と似ていてかわいいです。
参照:ヒメツルソバ ▶
ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い)の花は可憐ですが、茎や葉が棘だらけで、虐待めいた恐ろしい意味合いの名を持つ植物です。継子とは血のつながりのない実子でない子のことです。
また、藍染めに使われるタデアイも同じタデ科で似た雰囲気の花を咲かせます。
参照:タデアイの花 ▶
ミゾソバにもそれほどではないですが、下向きの棘と毛があります。
ミゾソバは葉の形が牛の額と似ているのでウシノヒタイという名前もあります。牛の顔にしては鼻先部分が尖り過ぎているので、額という表現になったのでしょうか。
葉の先端が丸かったら、牛の顔が犇いているようにも見えてユニークです。
※牛という漢字が3つで犇(ひしめく)めく。想像すると和む漢字です。
ミヤマシキミは晩秋から冬にかけて、マンリョウ (万両) より大きめの赤い実を上向きにつけ、オクリョウ (億両) という呼び名もある常緑低木です。
億両:ミヤマシキミ(ミカン科)
万両:マンリョウ (サクラソウ科)
千両:センリョウ (センリョウ科)
百両:カラタチバナ(サクラソウ科)
十両:ヤブコウジ (サクラソウ科)
一両:アリドオシ (アカネ科)
いぼとり地蔵さまの脇のミヤマシキミがきれいな赤い実をつけ、クリスマスカラーが森の中で目立ちます。
ミヤマシキミは大仁田山の頂上付近で多く見られますが、雌雄異株なので赤い実がついてないものもあります。
葉がシキミに似ていて山地に生える事から深山樒の名前がついたそうです。
芳香があって有毒なところもシキミと似ていますが、科の異なる植物です。
※ミヤマシキミはミカン科、シキミはマツブサ科
シキミ(樒) ▶
ミヤマシキミは初冬の頃に蕾をつけ、そのまま長い冬を越します。
茎頂に円錐花序をつけます。
4〜5月にかけて、芳香のある白い花を多数咲かせます。
雌花には中央に突起している雌しべの先端の柱頭が4裂していて、退化した白い雄しべがついています。
雄花は雄しべが黄色い花粉を出す頃がより華やかとなります。
ムラサキシキブはシソ科の落葉低木で、6月頃に薄紫色の花を小さな塊状に葉の上側に咲かせます。
シソ科 (APG) 旧クマツヅラ科 ムラサキシキブ属
葉の裏側に毛はありません。
初秋に美しい赤紫色の果実をたくさんつけ、紫式部という覚えやすい素敵な名前も手伝って人気があります。
近縁種のコムラサキはより美しい実をつけます。ムラサキシキブは葉の全体に鋸歯があるのに対し、コムラサキは葉の先端~中央部分にだけ鋸歯があるのが特徴です。また、ムラサキシキブの花序(果序)は葉の付け根から出るのに対し、コムラサキの花序は葉のつけ根から少し上のところに出ます。
庭などに植えられていてよく見かけるものはコムラサキが多いようです。
ムラサキシキブと似ていて、野趣あふれるヤブムラサキの花と実の様子は
ヤブムラサキ ▶
3月中旬頃から4月上旬頃にかけて山の中で美しく咲き誇るヤブツバキの花を見ることができます。
所によっては植林されたスギやヒノキの木々の合間にヤブツバキが見事な林を形成していて驚かされます。
静かな静かな山の中、毎年花を咲かせて楽しませてくれます。ちょっとしたヤブツバキの花の名所のよう。
可憐なヤブツバキの花の赤色が色彩の少ない木立の中で際立って綺麗です。
初夏の明るい新緑の中、あちらこちらでヤブデマリなどの白い花が咲き乱れて目を惹きます。
ヤブデマリは山の沢沿いの林縁などの湿った場所に生える落葉小高木です。
ヤブデマリはガクアジサイと雰囲気が似ていて、大きな装飾花がたくさんの小さな両性花を取り囲んでいます。
ヤブデマリの装飾花は無性花です。
ヤブデマリの白い装飾花は花弁が大きくなったもので、萼が変形して装飾花になったアジサイとは異なります。
なのでヤブデマリの白い装飾花の裏側には萼があります。
装飾花の花冠は5深裂し、両性花を隠さないように1つの裂片だけが小さくなっているようです。
これがヤブデマリの花の特徴ですが、蝶のように見えて可愛らしいです。
両性花は黄色みを帯びた白色で装飾花の開花後に開き始め、花冠の先は深く5裂して、やがて反り返ります。
花の最盛期には遠目からでも装飾花の白さが際立ちます。
装飾花の役割は両性花に虫を呼び寄せる看板広告みたいなものだと思われ、両性花は装飾花に比べると、それほど目立ちません。
ヤブデマリは花が枝の上で整列するように並んで咲くのが特徴。新緑に雪が積もったように見えて美しいです。
横から見ると、規律正しい集団行動のように水平に花が咲いています。
上から見ると、伸びた枝の両脇に花が隙間なく上向きにたくさんついて白い面が直線的に形成されています。
下から見ると葉も対生して、枝を中心に整然と並んで、ヤブという名にしては几帳面な感じがします。
6月になると、緑色の実が花と同じでお行儀よく並んでいます。
6月下旬頃から色づき始めます。
実と花柄は徐々に赤くなってサンゴのように華やかで目立ちます。
初夏には白かった花が夏には赤く緑色の森を彩ります。
8月中旬、赤い実が熟して黒くなったものがありました。
ヤブデマリの葉の表には毛がありますが脱落してしまいます。
葉の裏は星状毛で覆われています。
ヤブデマリと似た名前の花
ヤブミョウガは湿気の多い林縁の藪などに自生するツユクサ科の多年草。
花期が夏から秋にかけてと長いため、9月頃から白い花と不思議な光沢の藍色の実を同時に見ることができます。
葉がミョウガに似ているためにその名をつけられていますが、ショウガ科のミョウガとは別種で食べられません。
ヤブミョウガは同じ株に両性花と雄花をつけます。白い半透明の花弁と萼を3枚ずつつけます。
花は午後になると雄しべを巻き込んで丸まって閉じていきます。
果実は淡い緑色から褐色、深い藍色の玉へと変化します。径は約5mm。
果実が熟す頃、光を反射する金属光沢を持つ深い藍色となります。
パリッとした果皮は色素が出ることがなく、薄いプラスチックのような質感。その中に内包されている複数の種子は立体パズルのように球体を形成し、石垣のような質感も形もユニークで感嘆符の嵐!!! ミクロコスモス・驚異の世界です。
ヤブミョウガの種子の魅力については、下記のサイトがオススメです。
5月下旬から6月にかけて、四十八曲りルート付近などの登山道周辺で可憐に咲くヤブムラサキの花を見ることができます。道に覆い被さるように枝を出して薮を形成していたりします。
シソ科 (APG) 旧クマツヅラ科 ムラサキシキブ属
地味ながら花も葉の裏側もフカフカの産毛に覆われていて、優しい手触りで愛らしいです。
秋から初冬にかけてムラサキシキブと似た紫色のかわいい実をつけます。
実には花と同様、萼の星状毛が密生しています。これがムラサキシキブとの大きな違いです。
また、ムラサキシキブと違って実の数が少なく葉の裏側に実をつけることが多いので、日の当たらない山の中では色のわりには目立ちません。
ムラサキシキブの花と実の様子は
ムラサキシキブ ▶
ヤマエンゴサクは4〜5月に花を咲かせるスプリング・エフェメラルの一種で、ケシ科キケマン属の植物です。
水彩画のような淡い青から紫系の繊細な色合いの花が上品で素敵です。
山地の湿った林などにひっそりと花を咲かせるのであまり目立ちませんが、微妙な花色がとても綺麗です。
淡い紫色から少々濃い色、ブルー系等、どの花の色も爽やかで魅力的。
エンゴサク(延胡索)は漢方薬の原料の名前からつけられたのだそうですが、一般的には毒草です。
山地に自生するので、山延胡索。
ヤマエンゴサクの特徴は花の下の苞が切れ込んでいるところです。
通常閉じている内側の花弁が開いて、珍しく雌しべと雄しべが姿を現していました。訪虫があったようです。
ヤマハッカは9〜10月に山野で青紫色の花を咲かせるシソ科の多年草です。
雑然とした印象で見過ごされがちですが美しい秋の草叢を形成します。
花は近くで見ると清楚できれいです。
茎の先に長い花穂をつけ、次々に花を咲かせるので、長期に渡って花を見ることができます。
花弁の上唇に紫色の線状の斑点があるキツネ顔がヤマハッカ特徴です。
ハッカという名前がついていますが、清涼感のある香りはありません。
葉はハッカというよりはスペアミントの方が似ている感じがします。
花期が終わる頃の赤い萼も花のようできれいです。
ヤマルリソウはムラサキ科の多年草で4〜5月に沢沿いなど、やや薄暗い湿り気のあるの道端で1cmほどの小さな花をひっそりと咲かせます。
ヤマルリソウ(山瑠璃草)という美しい名前だけあって可憐で美しい花ですが、小さくて目立たないので見逃してしまいがちです。
茎が地面を這うようにのびて、その先に淡い青紫色の花をつけます。
根元の葉は大きく、上になるほど葉は小さめです。
葉や茎には白い毛があります。
花が終わると、花柄は下向きになり、果実を下向きにつけます。
大きくなった5枚の萼をひっくり返すとドーナツのような丸い縁取りのある4つの分果を見ることができます。
小さいながらユニークです。
ムラサキ科の可憐な花
ユキノシタは沢沿いの岩場など湿り気の多い半日陰の環境で育つ半常緑多年草で5月から6月にかけて小さな花を多数咲かせます。
ユキノシタの花の装いは白地にピンクと黄色で彩られた3枚の華やかな花弁と2枚の純白の長い花弁。
群生すると賑やかで雑然とした雰囲気ですが、近くで見ると、端正で綺麗なスッキリとした花です。
ユキノシタについて詳しくはコチラへ
参照:ユキノシタ ▶